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情報の窓

テキスタイル&ファッション誌(メールマガジン)バックナンバー

テキスタイル&ファッション Vol.18 (2001)

Vol.18/No.1~12
(2001年4月号~2002年3月号)
  1. ファッション情報
  2. 研究報告
  3. 技術解説
  4. 講習会要略
  5. 資料
  6. 調査報告
  7. 文献紹介
  8. 特許情報
  9. 技術情報の窓
  10. その他(新設機器紹介)
1-ファッション情報 No.
2002春夏テキスタイルコレクション開催 1 4 1
2001秋冬FDCコレクション 1 4 7
メンズアパレル市場を浮上させる方法 2 5 55
クラシック&エレガンスへのアプローチ 3 6 123
FBの問題解決は、個性化する需要と同質化する供給のズレを解消・・・・ 4 7 182
急ピッチな取引改善の動き「契約による信頼関係確立」
-百貨店とアパレル、アパレルとテキスタイルの合意-
5 8 235
2002/2003秋冬ファッショントレンド 6 9 292
ファッション・マネジメントにおけるビジネス・モデルの類型研究
―MD知識構造分析―
7 10 339
2002/2003秋冬 FDCテキスタイルコレクション 8 11 391
メンズファッションは、なぜダメなのか? 9 12 447
コンテストは技法開発のシンポジウム 繊細華麗な21世紀スタートライン
-ジャパン・テキスタイル・コンテスト2001によせて-
10 1 499
2002年ファッションビジネスの展望 11 2 554
2001年 秋冬の売筋アイテムと素材 12 3 607
2-研究報告 No.
織物の布目曲がり防止技術 1 4 9
ハイブリッド構造織物の製造方法 2 5 60
化学改質による脱臭素材の開発 3 6 127
繊維上の微量付着樹脂の解析に関する研究 4 7 187
染色・化学加工の識別手法 -損傷羊毛・絹の評価法- 5 8 240
オープンソースを用いた開発システムの構築 6 9 297
高度快適素材の開発に関する研究 -快適原糸の開発- 7 10 346
天然物の機能開発に関する研究 -繊維染色加工用リポソームの開発- 8 11 396
撚効果織物の開発と物性解析 9 12 452
ウールウォッシャブルスーツ向け素材規格の適正化 9 12 459
ハイテクウール新素材の成形化に関する研究 10 1 504
ネットワークを応用した繊維技術の継承手法に関する研究
-マルチメディア対応製織技術のデータベースの汎用化-
11 2 558
繊維加工に有用な新規酵素を生産する微生物の検索 12 3 616
3-技術解説 No.
21世紀型ファッションビジネスへの革新 1 4 16
Brierley(ブリアリー)の密度計算式の検討 2 5 73
オーストラリアにおける最近の羊毛品質調査について 3 6 137
繊維産業におけるオープンソース 4 7 193
繊維産業における環境・リサイクルに関する取り組みと将来展望 5 8 249
羊毛の生分解性とその利用 6 9 304
羊毛の生分解性に関する最近の研究 7 10 352
最近の私の海外出張(豪州、香港、モンゴル)から 9 12 474
ピリング性の評価について 10 1 515
最近話題のマイナスイオン 11 2 564
温熱生理学から見た快適な衣服づくり 12 3 625
4-講習会要略 No.
新しい染色ノウハウの構築 1 4 37
ポリアミド繊維の特性と高次加工 2 5 107
環境問題と加工技術・・・染色整理業にとってのPRTR制度 3 6 159
酵素による連続精錬法 4 7 214
中国WTO加盟と日本繊維産業へのインパクト 8 11 415
米国市場の動向 -米国企業に見る生き残り策は?- 9 12 482
百貨店のマーケティングの現状 -店頭で今何が、実際に売場を観測- 10 1 521
中国の最新動向と今後の我が国産業の対応策 11 2 568
水洗いできる商品の品質動向と今後の展開 11 2 580
高付加価値製品開発のための縫製技術のポイント 12 3 634
5-資料 No.
染色仕上関係海外文献情報(24) 2 5 96
平成12年度愛知県尾張繊維技術センター研究速報 2 5 103
技術相談事例(1)備長炭を使った繊維及び消臭性能の評価方法 3 6 170
技術相談事例(2)ポリアミノ酸繊維の合成法 3 6 171
技術相談事例(3)複合繊維の鑑別とその品質表示 3 6 173
技術相談事例(4)丸編地のチクチク感について 4 7 223
技術相談事例(5)アルパカ・ウール糸の製織性向上 4 7 224
技術相談事例(6)プリペラ(織物の名称)の外観異常と筬割について 4 77 226
技術相談事例(7)チェック柄織物のシボについて 5 8 282
技術相談事例(8)ニット地のすじ立ちについて 5 8 283
技術相談事例(9)ストレッチ織物の縫製方法 5 8 283
6-調査報告 No.
愛知県繊維産地実態調査報告書(1) 5 8 273
愛知県繊維産地実態調査報告書(2) 6 9 323
愛知県繊維産地実態調査報告書(3) 7 10 377
愛知県繊維産地実態調査報告書(4) 8 11 428
7-文献紹介 No.
・羊毛捺染における低温プラズマ前処理の効果 1 4 21
・ファインヤク繊維漂白織物の風合い 1 4 28
・画像分析を用いた織物の自動構造分析および客観的評価 2 5 83
綿キトサントゲン酸塩 -銅(Ⅱ)-
メトロニダゾール錯体の生成、特性及び抗菌活性
3 6 148
糸の熱力学分析による羊毛の構造特性試験 3 6 154
織物構造を決める要素の統合化技術 4 7 201
疑似日光への曝露によるリヨセル繊維の光劣化 4 7 207
織物の力学 織物の充填率理論とその応用(第4報) 5 8 256
ポリエチレンテレフタレートと生分解性脂肪族ポリエステルから構成される
芯鞘繊維の構造と特性
5 8 265
ウールや混紡織物の摩耗挙動 6 9 314
リヨセルの酵素処理 -脱ピリング機構の解明- 6 9 318
テキスタイル構造の階層および織物形状モデルのアーキテクチャ 7 10 359
媒染剤SCAーCrを使ったカシミアのクロム染色 7 10 372
芯地の接着特性 10 1 532
カタラーゼ酵素 10 1 539
ポリエステル織物の帯電防止加工へのキトサンの応用 10 1 542
生地の摩擦特性に関する温冷感 11 2 586
画像処理による繊維長計測方法 11 2 593
過酸化物・酵素・生体高分子で処理した羊毛の収縮特性 12 3 647
直径変動による羊毛繊維の強度変動の予測 12 3 653
8-特許情報 No.
公開特許公報フロントページ特許出願公開公報目次(平成13年1月分) 1 4 47
公開特許公報フロントページ特許出願公開公報目次(平成13年2月分) 2 5 116
公開特許公報フロントページ特許出願公開公報目次(平成13年3月分) 3 6 175
公開特許公報フロントページ特許出願公開公報目次(平成13年4月分) 4 7 228
公開特許公報フロントページ特許出願公開公報目次(平成13年5月分) 5 8 285
公開特許公報フロントページ特許出願公開公報目次(平成13年6月分) 6 9 332
公開特許公報フロントページ特許出願公開公報目次(平成13年7月分) 7 10 384
公開特許公報フロントページ特許出願公開公報目次(平成13年8月分) 8 11 440
公開特許公報フロントページ特許出願公開公報目次(平成13年9月分) 9 12 492
公開特許公報フロントページ特許出願公開公報目次(平成13年10月分) 10 1 547
公開特許公報フロントページ特許出願公開公報目次(平成13年11月分) 11 2 600
公開特許公報フロントページ特許出願公開公報目次(平成13年12月分) 12 3 657
9-技術情報の窓 No.
技術情報の窓 1 4 52
技術情報の窓 2 5 121
技術情報の窓 3 6 180
技術情報の窓 4 7 233
技術情報の窓 5 8 290
技術情報の窓 6 9 337
技術情報の窓 7 10 389
技術情報の窓 8 11 443
技術情報の窓 9 12 497
技術情報の窓 10 1 552
技術情報の窓 11 2 605
技術情報の窓 12 3 662
10-その他(新設機器紹介) No.
新設機器紹介 1 4 33

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収集見本と解説(別冊見本帖) No.
第1号 紳士服地(ストライプ柄,バロナ加工) 
生産:神田毛織(株) 整理:藤井整絨(株) 収集:津島毛織工業(協)
第2号 紳士服地(ストライプ柄,綿、ウール交織) 
生産:神田毛織(株) 整理:艶金興業(株) 収集:津島毛織工業(協)
第3号 紳士服地(シルク・ウールツイード,交撚糸使い)
生産:猪飼毛織(株) 整理:(株)ソトー 収集:津島毛織工業(協)
第4号 婦人服地(ツイード、スラブ糸使い)
生産:猪飼毛織(株) 整理:(株)ソトー 収集:津島毛織工業(協)
第5号 婦人服地(クレープ織物、強撚糸使い)
生産:昭和毛織(株) 整理:片岡毛織(株) 収集:津島毛織工業(協)
第6号 婦人服地(プリペラ組織、強撚糸使い)
生産:昭和毛織(株) 整理:片岡毛織(株) 収集:津島毛織工業(協)
第7号 婦人服地(シャンブレー、ナイロンフィルム糸使い)
生産:野口(株) 整理:片岡毛織(株) 収集:津島毛織工業(協)
第8号 婦人服地(後染、ドット柄) 
生産:野口(株) 整理:片岡毛織(株) 収集:津島毛織工業(協)
第9号 紳士・婦人服地(フクレ織、風通組織、ジャカード)  11
生産:浅四毛織物工業(有) 整理:艶清興業(株) 収集:(社)尾西化合繊貿易振興会
第10号 婦人服地(綿・ポリエステル交織、緯ストレッチ、ジャカード)  12
生産:浅四毛織物工業(有) 整理:艶清興業(株) 収集:(社)尾西化合繊貿易振興会
第11号 婦人服地(ラメ入り紡毛エタミン、薄起毛) 13
生産:日本エース(株) 整理:艶清興業(株) 収集:(社)尾西化合繊貿易振興会
第12号 婦人服地(絹・ポリエステル・ナイロン交織、緯ストレッチ) 14
生産:日本エース(株) 整理:艶清興業(株) 収集:(社)尾西化合繊貿易振興会
第13号 婦人服地(裏綾二重アムンゼン、レーヨン・ポリエステル混紡糸使い) 15
生産:興栄商事(株) 整理:艶清興業(株) 収集:(社)尾西化合繊貿易振興会
第14号 婦人服地(異番手レーヨン・ポリエステル混紡糸使い) 16
生産:興栄商事(株) 整理:艶清興業(株) 収集:(社)尾西化合繊貿易振興会
第15号 カーテン地(透け感、チェック柄、ノット糸使い) 17
生産:(株)小川商行 整理:(株)鈴寅 収集:(社)尾西化合繊貿易振興会
第16号 インテリア地(ポリエステル・レーヨン交織、収縮加工)  18
生産:(株)小川商工 整理:(株)鈴寅 収集:(社)尾西化合繊貿易振興会
第17号 紳士服地(トロピカル、モヘア混梳毛糸使い)  21
生産:井立毛織(株) 整理:艶金興業(株) 収集:名古屋毛織工業(協)
第18号 紳士服地(トロピカル、コード糸使い)  22
生産:井立毛織(株) 整理:艶金興業(株) 収集:名古屋毛織工業(協)
第19号 紳士服地(カシミア混梳毛糸使い) 23
生産:御幸毛織(株) 整理:御幸毛織(株) 収集:名古屋毛織工業(協)
第20号 紳士・婦人服地(ガンクラブチェック、アルパカ・モヘア混紡毛糸使い) 24
生産:深喜毛織(株) 整理:深喜毛織(株) 収集:泉州毛織工業(協)
第21号 婦人服地(インレイ編、アンゴラ混紡毛糸使い) 25
生産:深喜毛織(株) 整理:深喜毛織(株) 収集:泉州毛織工業(協)
第22号 婦人服地(シャンタン、シルクスラブ糸使い) 26
生産:御幸毛織(株) 整理:御幸毛織(株) 収集:名古屋毛織工業(協)
第23号 婦人服地(緯二重織、アンゴラ混紡毛糸使い、片染) 27
生産:大津毛織(株) 整理:大津毛織(株) 収集:泉州毛織工業(協)
第24号 婦人服地(インレイ編、ファンシー糸使い)  28
生産:大津毛織(株) 整理:大津毛織(株) 収集:泉州毛織工業(協)
第25号 紳士服地(サマースーツ地、ウール・ポリエステル交撚糸、綿強撚糸使い)  31
生産:吉民毛織(株) 整理:艶金興業(株) 収集:尾西毛織工業(協)
第26号 紳士服地(ジャケット地、平二重織、表裏異素材)  32
生産:吉民毛織(株) 整理:艶金興業(株) 収集:尾西毛織工業(協)
第27号 紳士・婦人服地(ジャケット地、異素材交織、エンボス加工) 33
生産:今信毛織(株) 整理:(株)ソトー 収集:尾西毛織工業(協)
第28号 婦人服地(ジャケット・コート地、緯ストレッチ) 34
生産:今信毛織(株) 整理:(株)ソトー 収集:尾西毛織工業(協)
第29号 婦人服地(コート・ジャケット地、ループカット、梳毛・紡毛交織) 35
生産:早善織物(株) 整理:三星染整(株) 収集:尾西毛織工業(協)
第30号 婦人服地(ジャケット地、プリペラ組織、ツイード、スラブ糸使い) 36
生産:早善織物(株) 整理:艶金染工(株) 収集:尾西毛織工業(協)
第31号 婦人服地(ジャケット・スカート地、ツイード、紡毛糸使い) 37
生産:大和ウール(株) 整理:艶金染工(株) 収集:尾西毛織工業(協)
第32号 婦人服地(スーツ・ジャケット地、紡毛糸とリング・ラメ巻糸交織)  38
生産:大和ウール(株) 整理:艶金染工(株) 収集:尾西毛織工業(協)
第33号 カーテン地(ボーダー柄、インターレース糸使い) 8 41
生産:中西織布(名) 整理:尾張整染(株) 収集:尾州絹化繊織物(協)
第34号 カーテン地(古典柄、インターレース糸使い) 42
生産:中西織布(名) 整理:尾張整染(株) 収集:尾州絹化繊織物(協)
第35号 カーテン地(古典柄、ブライト糸使い、防炎加工) 43
生産:山眞(名) 整理:日本グラスセン(株) 収集:尾州絹化繊織物(協)
第36号 カーテン地(古典柄、インターレース糸使い) 44
生産:山眞(名) 整理:日本グラスセン(株) 収集:尾州絹化繊織物(協)
第37号 椅子張地(植物柄、発泡樹脂加工、はっ水加工) 45
生産:中眞織物(株) 整理:日本グラスセン(株) 収集:尾州絹化繊織物(協)
第38号 椅子張地(植物柄、発泡樹脂) 46
生産:中眞織物(株) 整理:日本グラスセン(株) 収集:尾州絹化繊織物(協)
第39号 椅子張地(小紋柄、ポリプロピレン糸使用) 47
生産:大藪織物(株) 整理:羽島ドレープ工業(株) 収集:尾州絹化繊織物(協)
第40号 椅子張地(草花柄) 48
生産:大藪織物(株) 整理:羽島ドレープ工業(株) 収集:尾州絹化繊織物(協)
第41号 婦人服地(ネップ糸、ラメ糸使い、クリヤー仕上) 51
生産:虫文毛織(株) 整理:(株)ソトー 収集:尾州織物工業(協)
第42号 婦人服地(アンゴラ混、ピッケ調組織) 52
生産:虫文毛織(株) 整理:(株)ソトー 収集:尾州織物工業(協)
第43号 婦人服地(シャギー仕上、ループ糸使い) 53
生産:松本紡織(株) 整理:(株)ソトー 収集:尾州織物工業(協)
第44号 婦人服地(ジャケット地、楊柳チェック) 54
生産:松本紡織(株) 整理:(株)ソトー 収集:尾州織物工業(協)
第45号 カーテン地(ジャカード花柄、ポリエステル・アクリル交織) 55
生産:尾関装飾織物(株) 整理:(株)コーヨー・ドレープ 収集:尾州織物工業(協)
第46号 カーテン地(ジャカードストライブ柄、ポリエステル・アクリル交織) 56
生産:尾関装飾織物(株) 整理:(株)コーヨー・ドレープ 収集:尾州織物工業(協)
第47号 椅子張地(ドビー柄、再生ポリエステル糸・ポリエステルモール糸使い) 57
生産:栗本産業(株) 整理:尾張整染(株) 収集:尾州織物工業(協)
第48号 椅子張地(ドビー柄、綿モール糸使い) 58
生産:栗本産業(株) 整理:日本グラスセン(株) 収集:尾州織物工業(協)
第49号 紳士服地(モール糸、リング糸使い) 10 61
生産:木鉄毛織(株) 整理:艶金興業(株) 収集:尾北毛織工業(協)
第50号 紳士・婦人服地(ピケ、緯ストレッチ) 10 62
生産:テキスタイル龍神(株) 整理:藤井整絨(株) 収集:尾北毛織工業(協)
第51号 婦人服地(ツイード、絹紡糸使い、緯ストレッチ) 10 63
生産:テキスタイル龍神(株) 整理:藤井整絨(株) 収集:尾北毛織工業(協)
第52号 婦人服地(綿、ポリエステル糸使い、緯ストレッチ) 10 64
生産:木鉄毛織(株) 整理:艶清興業(株) 収集:尾北毛織工業(協)
第53号 婦人服地(風通織、ツイード、ネップ糸使い) 10 65
生産:和孝(株) 整理:(株)ソトーテクロス 収集:尾北毛織工業(協)
第54号 婦人服地(二重織、ツイード、ネップ糸使い) 10 66
生産:和孝(株) 整理:(株)ソトーテクロス 収集:尾北毛織工業(協)
第55号 婦人服地(デニム、ストレッチ糸使い) 10 67
生産:(株)ヒラノ 整理:艶金染工(株) 収集:尾北毛織工業(協)
第56号 婦人服地(サクソニー、ストレッチ糸使い) 10 68
生産:(株)ヒラノ 整理:艶金染工(株) 収集:尾北毛織工業(協)
第57号 紳士服地(スーツ地、蜂巣柄、強撚糸使い) 11 71
生産:市橋毛織物工業(株) 整理:日本毛織(株) 収集:尾西毛織工業(協)
第58号 紳士服地(スーツ地、バーズアイ柄、強撚糸使い) 11 72
生産:市橋毛織物工業(株) 整理:日本毛織(株) 収集:尾西毛織工業(協)
第59号 紳士服地(スーツ地、強撚糸使い) 11 73
生産:小吉製絨(株) 整理:艶金興業(株) 収集:尾西毛織工業(協)
第60号 紳士服地(スーツ地、毛、絹交織) 11 74
生産:小吉製絨(株) 整理:クラウン整絨(株) 収集:尾西毛織工業(協)
第61号 婦人服地(ジャケット・スカート地、ツイード、綿擬麻と紡毛交織) 11 75
生産:木玉毛織(株) 整理:藤井整絨(株) 収集:尾西毛織工業(協)
第62号 婦人服地(ブラウス・スカート地、からみ織) 11 76
生産:木玉毛織(株) 整理:(株)ソトーテクロス 収集:尾西毛織工業(協)
第63号 婦人服地(スーツ地、ラメ糸使い、組織による表面効果) 11 77
生産:岩半毛織(株) 整理:艶金染工(株) 収集:尾西毛織工業(協)
第64号 婦人服地(ジャケット地、ループ糸、ボンボンモール糸使い) 11 78
生産:岩半毛織(株) 整理:艶金染工(株) 収集:尾西毛織工業(協)
第65号 婦人服地(インレイ編、抄繊糸使い) 11 101
生産:近藤(株) 整理:艶金化学繊維(株) 収集:愛知県撚糸工業組合
第66号 婦人服地(ゴム編、ナイロンフィルム交撚糸使い) 11 102
生産:近藤(株) 整理:艶金化学繊維(株) 収集:愛知県撚糸工業組合
第67号 婦人服地(ゴム編、絣糸使い) 11 103
生産:近藤(株) 整理:艶金化学繊維(株) 収集:愛知県撚糸工業組合
第68号 婦人服地(ジャカード編、絣糸、カバーリング糸使い) 11 104
生産:(株)滝善 整理:艶金化学繊維(株) 収集:愛知県撚糸工業組合
第69号 婦人服地(インレイ経編。壁糸、リング糸使い) 11 105
生産:(株)滝善 整理:艶金化学繊維(株) 収集:愛知県撚糸工業組合
第70号 婦人服地(リップル編、壁糸使い) 11 106
生産:(株)滝善 整理:艶金化学繊維(株) 収集:愛知県撚糸工業組合
第71号 婦人服地(平編、モール糸使い、花柄抜染プリント) 11 107
生産:西撚糸(株) 整理:吉田整理(株) 収集:愛知県撚糸工業組合
第72号 婦人服地(平編、モール糸使い、ボーダー柄抜染プリント) 11 108
生産:西撚糸(株) 整理:吉田整理(株) 収集:愛知県撚糸工業組合
第73号 紳士服地(薄地軽量、光消臭糸使い) 12 111
生産:鈴弥(株) 整理:艶金興業(株) 収集:一宮繊維卸商団体連合会
第74号 紳士服地(薄地軽量、シャリ、強撚、精紡交撚糸) 12 112
生産:鈴弥(株) 整理:クラウン整絨(株) 収集:一宮繊維卸商団体連合会
第75号 紳士服地(ジャカード織、ニットライク、リング糸使い、後染め) 12 113
生産:トゥエンティ・ワン(株) 整理:(株)ソトー 収集:一宮繊維卸商団体連合会
第76号 紳士服地(ジャカード織、ヘリンボン、ピケ、強撚使い、後染め) 12 114
生産:トゥエンティ・ワン(株) 整理:(株)ソトー 収集:一宮繊維卸商団体連合会
第77号 婦人服地(リンクス編、綿強撚糸使い) 12 115
生産:トゥエンティ・ワン(株) 整理:三星染整(株) 収集:一宮繊維卸商団体連合会
第78号 婦人服地(綿・アクリル混紡糸使い、フリース仕上げ) 12 116
生産:ササキセルム(株) 整理:艶金染工(株) 収集:一宮繊維卸商団体連合会
第79号 婦人服地(グレンチェック、2ウェイストレッチ、精紡交撚糸使い) 12 117
生産:日本エース(株) 整理:艶金興業(株) 収集:一宮繊維卸商団体連合会
第80号 婦人服地(千鳥格子、緯ストレッチ、精紡交撚糸使い) 12 118
生産:日本エース(株) 整理:艶金興業(株) 収集:一宮繊維卸商団体連合会
開発見本と解説(別冊見本帖) No.
第1号 紳士・婦人服地(ウォッシャブルウールデニム、消臭加工)
設計・試作:愛知県尾張繊維技術センター
第2号 婦人服地(2ウェイストレッチ、強撚糸使い) 10
設計・試作:愛知県尾張繊維技術センター
第3号 紳士服地(ハイブリッド構造、高遮蔽・高通気、ストライプ柄) 19
設計・試作:愛知県尾張繊維技術センター
第4号 紳士服地(ハイブリッド構造、高遮蔽・高通気) 20
設計・試作:愛知県尾張繊維技術センター
第5号 紳士服地(ハイブリッド構造、高透湿・高通気) 29
設計・試作:愛知県尾張繊維技術センター
第6号 婦人服地(毛硬化加工、毛収縮加工、二重模写織、ふくれ織) 30
 設計・試作:FDC新商品開発部会・愛知県尾張繊維技術センター
第7号 婦人服地(塩縮調加工織物、梳毛糸使い) 39
 設計・試作:FDC新商品開発部会・愛知県尾張繊維技術センター
第8号 婦人服地(光沢変化織物、毛異型断面糸使い) 40
設計・試作:愛知県尾張繊維技術センター
第9号 紳士服地(高通気性、イージーケア) 49
設計・試作:愛知県尾張繊維技術センター
第10号 婦人服地(マルチモアレ、緯よろけ) 50
設計・試作:愛知県尾張繊維技術センター
第11号 紳士服地(サマースーツ地、ウォッシャブル、未加工と樹脂加工) 59
設計・試作:FDC新商品開発部会    愛知県尾張繊維技術センター
第12号 紳士服地(朱子変化組織、カシミヤ使い、極細ポリエステル使い) 60
設計・試作:愛知県尾張繊維技術センター
第13号 婦人服地(ウォッシャブル加工、カシミヤモール糸使い) 10 69
設計・試作:愛知県尾張繊維技術センター
第14号 婦人服地(よろけ織り、オパール加工、モアレ柄) 10 70
設計・試作:愛知県尾張繊維技術センター
第15号 婦人服地(防縮処理、縮絨差による表面効果) 11 79
設計・試作:愛知県尾張繊維技術センター
第16号 婦人服地(エコロジー繊維ケナフ、天然染料) 11 80
設計・試作:愛知県尾張繊維技術センター
第17号 紳士服地(ダイヤ柄組織、後染) 12 81
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター 寺田タカロン(株)
第18号 紳士・婦人服地(コーデュロイ、スピーマー綿、カシミヤ混紡糸使い) 12 82
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター 中外国島(株)
第19号 紳士・婦人服地(ビーバー仕上、PVA混紡糸使い) 12 83
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター 中外国島(株)
第20号 紳士・婦人服地(タッサー、カシミヤ混紡糸使い) 12 84
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター 中外国島(株)
第21号 紳士・婦人服地(ヘリンボーン、カシミヤ混紡糸使い) 12 85
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター 中外国島(株)
第22号 紳士・婦人服地(ヘリンボーン、壁糸使い) 12 86
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター 中外国島(株)
第23号 紳士・婦人服地(ピッケ、バイオ加工糸使い) 12 87
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター 中外国島(株)
第24号 紳士・婦人服地(ジョーゼット、ブークレ糸使い) 12 88
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター 寺田タカロン(株)
第25号 紳士・婦人服地(コーデュロイ、毛・綿交織) 12 89
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター 寺田タカロン(株)
第26号 紳士・婦人服地(コーデュロイ、テンセル糸使い) 12 90
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター 寺田タカロン(株)
第27号 紳士・婦人服地(イラクサ混、逆撚、クレープ風) 10 91
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター 中外国島(株)
第28号 紳士・婦人服地(麻とウール・レーヨンの交織、ブッチャーチェック) 10 92
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター 中外国島(株)
第29号 紳士・婦人服地(絹紡糸、イラクサ糸使い) 10 93
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター 中外国島(株)
第30号 紳士・婦人服地(ホップサック、ラミー糸使い) 10 94
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター 中外国島(株)
第31号 紳士・婦人服地(シャークスキン、ファインウールとシルク使い) 10 95
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター 中外国島(株)
第32号 紳士・婦人服地(イレギュラーホリゾンタル・ストライプ、ラメ意匠糸使い) 10 96
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター 寺田タカロン(株)
第33号 紳士・婦人服地(セラミック充・ウール・花崗織) 10 97
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター 寺田タカロン(株)
第34号 紳士・婦人服地(シャンタン、トリアセ・ヘンプ使い) 10 98
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター 寺田タカロン(株)
第35号 婦人服地(空羽風効果、キュプラ・ウール混トロピカル) 10 99
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター 寺田タカロン(株)
第36号 婦人服地(ウール・ナイロン交織縮緬風、緯ストレッチ) 10 100
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター 寺田タカロン(株)
第37号 婦人服地(サッカー、消臭抗菌) 11 109
 設計・試作:愛知県尾張繊維技術センター
第38号 婦人服地(二重ヘアピン織物) 11 110
 設計・試作:愛知県尾張繊維技術センター
第39号 婦人服地(紙リング糸使い、緯ストレッチ、天然染料染め) 12 119
 設計・試作:愛知県尾張繊維技術センター
第40号 婦人服地(紙モール糸使い、天然染料染め) 12 120
 設計・試作:愛知県尾張繊維技術センター

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2002春夏 FDC テキスタイルコレクション開催

平成13年3月14日から3月16日の3日間、一宮地場産業ファッションデザインセンター(FDC)において、2002年春夏のトレンドを提案する第34回2002春夏FDCテキスタイルコレクション(主催FDC)が開催。
今回のシーズンテーマを"ファン&FUNCTION"としました。このテーマの意図するところは、"遊び心や面白さに溢れていながら機能性がある。そんな楽しさが自分らしさを広げていく"というものです。

2002 SPRING & SUMMER

FASHION MESSAGELADIES'
.........主役はポジティブに生きる女性達.........

 ファッション本来の着る楽しさがあらためて見直される2002年春夏。前シーズンのクラシックな豪華さは影をひそめ、健康的な明るさを表現する傾向が強まる様々な柄物の拡がり、洗練されたイージー・ウェアなどどこか力の抜けた雰囲気が新鮮。ルールに縛られない自由さがファッションをアクティブな方向へ導いていく。単に面白い表情感だけではなく、そこへアート性、遊び心、機能性を組み込む、ビルト・イン発想がポイントに。

COLOR DIRECTION(LADIES')
............トーン・バランスで魅せるシンプルな明るさ............〈ファッション・メッセージ〉

 落ち着いた色合いに変わってみずみずしいクリアな色がメインとなる今シーズン。限りなく白に近いパステル・カラーや輝きのあるブライト・カラーが子供時代の伸びやかな感性を呼び起こしてくれる。そんな明度の高い色達をひきしめるのがグレイッシュなニュートラル・カラーと深みのあるダーク・カラーのグループ。明るい色使いを子供っぽく見せずにスッキリとまとめていく。
全体的に寒色系の勢いに押され気味な暖色系だが、オレンジは例外。淡いシャーベット・オレンジから元気なマンゴー、パプリカ・オレンジまでバリエーションも様々。メイク・アップと合わせて、生き生きとした輝きを表すキー・カラーとなる。

カラーポイント

POWDER/パウダー

 粉おしろいをたたいたような光沢のあるホワイト系。
ベビー服やグルーミング用品の定番ともいえる柔らかなパステル・トーン。
清潔感があり、どんな色ともなじみやすい。

FRUITY/フルーティー

 新鮮な果実や植物からインスピレーションを受けたブライト・カラー。
色味を抑えたナチュラル・カラーとあわせた動と静のコントラスト配色が新鮮。

HEARTFUL/ハートフル

肌になじむあたたかみのある中間色。
高彩度の色が目立つなか、バランスをとるトーナル・カラーとして、幅広いアイテムヘ活用される。

ETERNAL/エターナル

 トラディショナルな風格を持つサマーダーク。
暗さの中にもはっきりとした色味が感じられる。

FABRIC DIRECTION(LADIES')
.........2002年春夏 特に注目すべき素材群............

 様々なファッション・イメージが濫立するなか、素材傾向もテイストの分散化や多種多様なタイプが登場。
なかでも糸染、先染後染を含む染色のバリエーションが拡がる。全体的には楽しさや安らぎを与え機能性のある軽い素材の追求がポイントに。
そのため、ナチュラル&テクニカルの表現は欠かせない。

天然素材ミックス

ナチュラル指向は依然として継続。
コットン、リネン、シルク、ウール等、天然素材の特徴を生かした異素材ミックス。
イージーケア性、ストレッチ性等、機能性付加はスタンダード。

化合繊複合

お互いの弱点を補いつつ機能性と新しい質感を求めた合成繊維中心の複合素材グループ。

アートクチュール

ファンシーヤーンによるアート性のある織物など、その表現方法はバリエーションに富んでいる。クチュール的デラックス味のあるツイードタイプがホット。

フィニシュド・ファンタジー(后加工)

視覚と質感を強く訴え、創意と工夫による新しいテイストなど、様々な后加工に注目。又、染色テクニックも重要。

プリント&パターンメドレー

プリント、染色がファッションを楽しく演出し、ボーダーやジャカード、チェック、更紗、花柄など多様なテーマ展開により柄ものが注目の的に。

レリーフ&シャイニー

サッカー、タック、ワッフル等の織組織を中心にしたレリーフ効果など表情豊かな素材とシャンブレー効果、シルキー光沢、プラチナ光沢などソフトな光沢感、艶感のグループ。

エンジョイ・コーディネート

素材感や組み合わせによってイメージがふくらみ、よりファッションを楽しませてくれる。

パン・ニット

コンフォータブルなセットアップを核とする大人っぽいニット素材が存在を再確認し、多種多様なテクニックがニットの広がりを見せている。

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若手デザイナーがテキスタイルメーカーとコラボレート
・・・2001秋冬FDCコレクション

13年3月14日

 FDCでは、新しい時代をリードする2名の新進ファッシンデザイナーが、尾州のテキスタイル企業の協力を得て製作した作品(44体)をファッションショーとして発表した。
このショーで発表した作品は、協力企業のテキスタイルデザイナーと、FDCが提携したファッションデザイナー(本間遊、木下美伽)が協力して、生地を開発するとともに、その生地を使用して44体の作品を製作した。
そして、7人のモデルが両デザイナーの作品でドレスアップし、約800人(午前、午後の2回)の観客を魅了した。
なお、これらの生地と作品は2002春夏テキスタイルコレクション期間中、両デザイナー・ブースに展示した。

デザイナー 本間  遊 木下 美伽
(ブランド名

(HOMMA) (IO SONO IO)
協力企業 石慶毛織
伸和ウール
鈴憲毛織
中伝毛織 野口
浅四毛織工業
オガワテキスタイル
鍜治松毛織
昭和毛織
東京テキスタイル
早善毛織

本間 遊

ブランド名:[HOMMA]
1990年 文化服飾学院デザイン専攻科卒
・・・・・在学中 第64回装苑賞受賞
ヨウジヤマモトファムに携わる
1994年 HOMMAブランド開始
1997年 プレタポルテパリ等合同展示会参加 
1997年 海外7カ国で展開を始める
1999年 東京コレクション初参加

木下 美伽

ブランド名:[IO SONO IO]
1990年 東京モード学園卒
1991年 マウリッツォ・ガランテ社(イタリア)入社
1996年 三屋とデザイン契約を結ぶ
1999年 IO SONO IOブランド開始
帝人とデザイン契約を結ぶ
東京コレクションランウェイデビュー
クリエーター・オブ・ザ・イヤー受賞

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メンズアパレル市場を浮上させる方法

ファッションリンクス代表 福永成明

年間1000店近くが減る"メンズショップ"

 かつてから日本のアパレル市場の構造には疑問を抱いてきた。人口でみれば半々の男女の比率が、マーケットでは1対3になる。日本のアパレル市場における市場支配率は、レディスウエア(以下=レディス)がメンズウエア(同=メンズ)の3倍である。こんなに格差のある国は、欧米をみても例がない。そのうえ、この不況によって市場がやせ細っているのはメンズのほうで、そのことは百貨店の業績が物語っている。

[全国百貨店の販売額](伸び率=%)

     全体  婦人服  紳士服
96年  1.8   3.8    1.3
97年 ▲1.9   0.2   ▲2.2
98年 ▲5.0  ▲3.6   ▲6.9
99年 ▲2.9  ▲2.1   ▲6.6
00年 ▲1.8  ▲0.6   ▲7.0

 これは日本百貨店協会のデータによるもので、レディスの販売額は常に全体を上回っているのに対し、メンズは大幅ダウン。一方、商業統計によるアパレル小売業(大型店を除く)の店舗数と販売額をみると、ここでも"男女格差"は歴然となる。

 [アパレル小売業の推移]

 (店舗数)   91年     97年
メンズ   3万5000店  3万店
レディス  8万4000店  8万9000店
(販売額)
メンズ   2兆2000億円 2兆円
レディス  5兆2000億円 5兆5000億円

 メンズショップの傾向をみると、91年からの6年間で、店舗数が5000店も減少。その結果、販売額は2000億円も目減りした。これとは対照的にレディスショップは、店舗数で5000店、販売額で3000億円の増加となっている。同じような経済状態にありながら、これだけのコントラストがつく、というのも不思議である。

スタンダード(定番)の強さ

 19世紀にアメリカで誕生したジーンズは、まことに不思議なアパレルである。誕生から100年以上を経過しているのに、デザインの基本は変わらないでいる。これに近いのはテーラードスーツぐらいで、しかもジーンズには年齢差がなく老若男女の誰もが似合ってしまう。さらに貧富の差がないのもジーンズならではの特徴である。この結果、先進国でも途上国でも大衆ファッションとして、ジーンズが定着した。
こういうと反論があるかもしれないが、アメリカンカジュアルには世界標準が多い。ヨーロッパのような階級社会がないためかもしれないが、ジーンズだけでなく、チノパンツ、Tシャツ、トレーナ[など、流行とは関係なく着続けられるアイテムが、アメリカンカジュアルには多い。
ユニクロという店は、アパレルのスタンダードナンバーを、もっとも買い安い価格で商品化し、それを適度な満足感をもって買い物ができるような状況をつくりあげた。したがって、扱っている商品に拒否反応が少ない。なぜなら、そこで売られる商品の大半が、不安感のないスタンダードだからである。
突飛なデザインを避け、世界の人々が愛用するデザインすれば、これほど生活着として理に適ったものはない。それをユニクロは、マーケティングの原則に従い、それとともにSCMという今日的なマネジメントによって、信じられない成功を体現した。
新しさはファッションビジネスの生命線である。だが、その新しさを商品だけでなく、ビジネス全体の組み合わせとして打ち出していく。もはや、話題のブランドを集積するだけでは"新しさ"はつくれなくなった。新鮮をどう具体化していくか、そんな問題提起を投げ掛けたのがユニクロ・シンドロームである。

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クラシック&エレガンスへのアプローチ

イマージュ 代表取締役 佐藤裕志

ファッションは現状確認から未来を予測する

  • 街に出てストリートで現状を確認しよう!
  • 売り場で定点観測をしよう!
  • 社会心理の動きが未来を予測する!

ファッションの変遷

既製服成長期時代→カジュアル全盛時代→アダルトファッション時代→DCブランド時代→海外ブランド志向時代→ストリート主導時代→エレガンス新時代

2001~'02年秋冬のマーチャンダイジング・ポイント

アダルトでクラシカルな女らしさを表現するテクニックに注目!

2001~'02年秋冬素材の傾向

洗練と機能性の融合

2001~'02年秋冬ファッション/テーマ・マトリックス

・CLASSICAL FANTASY/クラシカル・ファンタジー

 1930~40年代を彷彿とさせるエレガントで女らしく官能的なファッションを現代的にリメイク。

・ROMANTIC STORY/ロマンチック・ストーリー

 女性の内面に潜む優しさやかわいさをソフトな素材や、甘く上品なパステルカラーに包んで表現したフェミニン・カジュアル。

・COUNTRY FOLK/カントリー・フォーク

 自然や田園をイメージしながら、人の手の温もりを感じさせる手工芸テクニックや素朴な素材感を取り入れた優しさのあるフォークロア。

・CHIC ELEGANCE/シック・エレガンス

 シックなテーラードファッションをベースに、エレガントなインナーや小物を組み合わせながら感性で着崩したマニッシュファッション。

・OLD VINTAGE/オールド・ヴィンテージ

 現代においても、昔から変らぬ上質な素材や洗練されたスタイリング、ディテールを大切に守り通してきた古着感覚のファッション。

・ARTISTIC MODERN/アーティスティック・モダン

 大胆ではじけるようなグラフィカルアートをベースにしたカラフルなポップファッションと、クチュール感覚をミックスしたモダンカジュアル。

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FBの問題解決は、個性化する需要と同質化する供給のズレを解消することにある。 ―マーケティング理論に照らして、コンセプトの重要性を再認識する―

山村貴敬研究室主宰 山村貴敬

個性化する生活者と、同質化している小売現場

 今日の生活者は、商品を自主的に選択し、自主的にコーディネーションする時代と言われ、ますます個性化が進んでいると言われる。実際、70年代頃のストリート・スナップをひも解いてみれば、今日のスナップと比較して、人々がいかに同じトレンドの服を着て街を歩いているかが明らかにわかる。
それに対して現在、人と同じファッションを着用する消費層と言えば、昨年話題になった顔黒に代表されるジュニア層と、背広族と言われるサラリーマン層である。ジュニア層は、年齢面からも自分のライフスタイルが確立されていないため、情報の影響を大きく受け、短サイクルではあるが同質化する。またサラリーマン層は、個人の生き方よりも会社のルールを優先することから、無難な服を着用する傾向が強いためであろう。現に、個性的な装いをするヤング層であっても、リクルートスーツとなると同質化している。
今日の社会は、ヤング層はもちろんのこと、企業人であっても、自分の個性を仕事に反映することが問われており、すでに個性化しているヤング層や、団塊ジュニア層が参入しているヤングアダルト層のみならず、アダルト層にもファッションの個性化が必要とされる気運がある。
一方小売現場、特にファッションビル内、百貨店内には、同じトレンドの商品が大挙して並んでおり、大型店は何でもありそうで、欲しいものがないと言われる。各アパレルメーカーが、トレンド、売れ筋に基づいて商品を供給しているからだが、そのことは、アパレルメーカーの現場の担当者が、競合ブランドの売れ筋商品、トレンドの知識を熟知しているからに他ならない。
もちろんFBの世界には、ファッショントレンドが必ずあり、また売れ筋商品・ヒット商品も必ず出る。もとよりトレンド商品、ヒット商品とは、例えば百人ではなく千人が欲する商品のことを言うが、いくら千人が欲するかと言って1万人分を作ってしまえば、供給が需要を上回る。現在のFBは、まさに千人が欲する商品を1万人分供給している状況にあると言え、極端に言えば残りの9千人の市場に商品が供給されていないわけである。

  • モノの価値と利便性の価値は同質化し、コンテンツの価値は多様化する
  • 価格
  • コンテンツを顧客満足にむすびつける、マーケティング戦略上のコンセプト
  • 4Pを一貫したものにさせる、ブランドコンセプト(ショップコンセプト)
  • ファッションサイクルに留意する

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急ピッチな取引改善の動き「契約による信頼関係確立」 百貨店とアパレル、アパレルとテキスタイルの合意

繊研新聞社 取締役名古屋支店長 山下 征彦

通用しない、日本の常識

1.取引改善の背景

・待ったなしの業界情勢
・無駄を省いた取引へ

2.百貨店とアパレル

・委託から消化仕入れへ

3.アパレルとテキスタイル

・売買契約書交換へ(TA委員会)

4.垂直ネットワーク構築へ

・素材から小売りまでSCM

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2002/2003 秋冬ファッショントレンド

ファッションジャーナリスト 藤岡 篤子

日本で初めて2002/2003秋冬のファッショントレンドのまとまった情報として紹介されたのは、ミラノで開催されるモーダ・インの事前のショートセミナーです。こうしたタッチが来年は出てくるのではないかという程度で素材感など細かい部分までは出ていませんでしたが、私が考えていたものと重なる部分も多く予想通りといいますか、極端なブレはなく、その意味では妥当な流れといえるかもしれません。
そこで今年の秋冬から来年の秋冬へどういうポイントで繋がっていくのかについて解説いたします。私の場合どちらかというとキャリアを中心とした見方で特にストリートによっているわけでもなく新オトナ服といわれる40代、50代でもなくキャリア或いはエクゼクティブキャリアが主体になります。

2002/2003秋冬に注目したいトレンド

  • プレッピー&マリン

  • コケット

  • エッジ&エッジ(Wエッジ)

  • デラックス・リラックス

 この中で来年の秋に注目したいものが二つあります。
一つはエッジ&エッジで、相反するものを組み合わせたもの、スタイリングでは夜の衣服を思わせるネグリジェとモーターサイクルなどのハードなスポーツウエアを組み合わせたものなどである。
二つ目はスーパーラグジュアリな素材です。これはとてつもなく贅沢なという意味ですが、これは特にオートクチュール仕上げといった非常に手の込んだデザインということではありません。今年から来年にかけて言われているスーパーラグランジュは完全に素材のことであり、スタイルは今年の秋出てくるアメリカントラッドがベースになります。もう一つスポーツウェア、即ちスポーツアイテムを中心にしたセーター、パンツあるいはブルゾン若い人にはジャンパーなのですが、それ以上の年代層になると革、毛皮それも普通の革ではなくインディゴ風の染めにさらに手をかけて裏にはミンクを張るといった非常に上質というよりも一見上等には見えないが手も掛りお金も掛かりひとひねりしたスノップ或いは気取った洗練がスーパーラグジュアリなのです。Gジャンの裏が毛皮になっているとか素材で贅沢感を感じさせるものもこの系統です。
素材で言うとカシミヤを代表とするプレシャスウールと今年の秋も出てきますがコーデュロイ、ベルベットも非常に出てきます。太畝から細畝まであり太畝のコート、それも毛足のあるものを少し刈り上げたもの、こうしたものが来年の秋冬になるとベース素材になって出てきます。
今年の秋サンローランがクラッシュドベルベットを沢山出していますが、ベルベットの表面の面白さを出したものベルベットもカジュアルというよりも贅沢感のある表面に変化をつけたクチュールクラフトのような面白いシワをつけたもの、例えば、一見アトランダムに見えてもきちんとシワ付けがタックになっているような非常に考えられたものが出てきそうです。また、サテンも非常に増えています。これもカジュアルというよりもヘビーなサテンがかなりいけそうです。
いずれにしましても2002/2003秋冬は、今年のスーパー100,120や獣毛混など上質素材の流れを引き継いで高品質な素材へのこだわり、トレンド的にいえばスーパーラグランジュとエッジ&エッジの考え方が主流になっていくものと思われます。

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ファッション・マネジメントにおけるビジネス・モデルの類型研究 ―MD知識構造分析―

宝塚造形芸術大学 教授 感性工学研究所長 菅原 正博

学問体系の構築

平成10年12月に、わが国では初めて民間ベースでファッション産業21世紀ビジョンがまとめられた。この提言の中でソフト産業部門に大きな遅れがあることに注目している。同ビジョンでは、このソフト産業の強化の一環として学問体系構築のための英知の結集と産官による支援の必要性を強調している。
これまで、ファッション・マネジメント領域では、実務的には現場経験則が最優先され、ファッション業界はこういった学問的体系化に対する要望が極めて低かった。特にファッション・バイヤー論の体系化に関しては、皆無に近かった。
まだアパレル製造卸企業の分野では、商品企画を中心としたマーチャンダイジングの体系化が図られてきた。
そういった意味では、21世紀に向けて、マーチャンダイジングとしては消費者ともっとも密着しているファッション小売企業のバイヤー論の体系化が急務である。ファッション総研の小山田道弥氏は「ァッションやファッション産業に関する学問体系は創分野はともかくとして工・商の分野は整理上の段階にあるといってよい。しかし、学問体系の存在なしには、人材育成は不可能である。また創・工・商の研究開発・改善・再構築をリードして、産業の発展を支えたのも学問体系である。」また「ファッション産業の定義との関連で創・工・商の概念について、これまで商品にかかわる産業として商と工に分ける考え方が一般的であったが、ファッション商品分野のビジネスや業務では、創(デザイン、クリエーション)の重要性が高まり、創・工・商の三極を設ける考え方が定着するようになった。」
確かにファッション産業は大きく分けて製造(工)の部分と流通(商)の部門とから成り立っているために、その産業の国際的競争力の基盤を強化するためには、この2つの機能に創を加えて、この創・工・商を学問的に体系化し、それに沿って人材育成を図っていく必要がある。
ただ、21世紀に入って、ファッション企業は自社内の企画生産販売といった内部業務の統合化だけではなく、消費者から、商品の供給者であるサプライヤーまでもマネジメントできる外部融合型のファッション・マネジメント体制を確立する必要がある。このような体制を消商創工情と呼んでいる。この意味は消(消費者)、商(売場)、創(ファッション企画)、工(生産)、情(マーチャンダイジング)である。
このように、日本のファッション産業の学問体系は創・工・商の三極をもとにして体系化の基盤が整備されたが、すでに日本でもSPA(アパレル製造小売)企業やセレクトショップのビジネスモデルが主役の座につき始めてくると、ファッション・マネジメント論としては消商創工情という5極体制をカバーする学問体系が必要になってくる。
日本のファッション産業内でアパレル・マーチャンダイジングに関する理論的研究が注目されだしてまだわずか30年足らずであるが、現時点ではその成立期で体系化されたマーチャンダイジング論だけでは通用しなくなる。そういった意味で、いつの世にも通用する普遍的なマーチャンダイジング論はこの世に存在しないといえる。したがって、アパレル企業と同じように、マーチャンダイジング論に新しい理論を注入して、その理論的枠組みも、新たに再構築し組み替えていく必要がある。

  • 横編み産地の悲劇物語

  • 学問的体系化の内容の持つべき条件

  • マトリックス型MD知識構造の体系化

  • 実学的な学問的体系の構築

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2002/2003秋冬 FDCテキスタイルコレクション

平成13年10月2日から4日

テーマは"Sensing Evolution-気分が変わる、個性が咲く"。今テーマには"大人の上質さが感じられる控えめな表面変化や心地よいカラーバランスなど、様々な要素を複合し新しい価値の創造にチャレンジ"。

2002/2003 AUTUMN&WINTER  FDCテキスタイルトレンド提案(要旨)

(LADIES')

ファッション・メッセージ

強さの薫るセンシャリティ

カラー・ディレクション

色は口ほどに物をいう

カラーポイント

・GOTH/ゴス……濃色のダークトーンとそれを引き立てる白、シルバーグレーの無彩色のグループ。トレンドの核となる正反対のテイストを共存させたダブル・エッジの基本色となる。
・SILENT/サイレント……肌になじむスキントーン。ストレスの多い都市生活者をリラックスさせる穏やかな色合い。GOTHのオフ・ブラックとあわせポスト白黒としても提案。
・NORDIC/ノルディック……北欧のスッキリとしたデザインに似合うスモーキーなニュートラル・カラー。白木に着色したようなベージュ味を帯びたナチュラルな味わい。
・JEWEL/ジュエル……宝石の輝きを思わせるカラフルなストロング・カラー。渋い光沢のある糸や素材にのせることで、より日常的な光の見え方へ変化。ストリート向けではホップなコントラストを出す赤と青の補色配色に注目。

ファブリック・ディレクション

 ベーシックの再評価と上質感
・Nature Compact:暖かみのあるナチュラルさの中にクラシックをベースにする気品と上質感が明確に伝わるファブリックが中心となる。伝統的な素材を軽くソフトに仕上げることが重要。主に天然素材及びその複合タイプ。
・Magical Mixtured:多重組織など立体的表現やデリケートな意匠糸使い等、表情豊かな化合繊複合タイプに注目。
・Fake & Wild type:しなやかなレザータイプと遊び心を感じさせる楽しいミックスカラー使いによるロングヘアリーの、バリエーションが豊富。野生的な色の毛足の長いタイプが新鮮。
・Crystal & Rough:柔らかなパール光沢からカラフルなメタリック光沢まで光沢感も引き続き重要。特にクールな光沢感がホット。軽やかなぬくもりと同時に美的センスのあるラフなタイプでラグジュアリー感を表現。
・Textured Knit:上質原料使いのテクスチャードニットが久々に復活。ライト感やウォーム感と同時にソフトでしなやか、表情豊かなミドルゲージが中心。
・Relaxing Knit:トリコット、天竺、スムース、ポンチ等のベーシックなニットの浮上。 ソニア・リキエル風の女らしいニットスーツやアンサンブルのイメージ。同素材異柄によるリレーテッド・パターンも重要。
・Finished Fantasy:刺繍やキルト、パンチング、プリーツ、オパール、ボンディング加工、スパンコール使いなど、ファブリックの表情や質感が変えられる後加工がさらにリッチになり面白いものが多くなる。
・Sensitive Pattern:トラディショナル、レトロ、エスニック調の柄。コントラストの強いバイカラーのグラフィックパターン。ホップ調、だまし絵、漫画チックな、特に世相をひねったものなど多彩なモチーフが出現

ファッション・テーマ

・GOTH COUTURE(ゴス・クチュール):ブラックという言葉から連想されるのは都会的、フォーマルな美しさ、あるいはパンク、恐怖心…そんな多面性が魅力のダーク・ビューティー。贅沢な素材をレーザー・カットや塩縮加工でわざと汚す若々しいクチュール・テイストが新鮮。
・SILENT LUXE(サイレント・ラックス):カフェで過ごすくつろぎのひとときから生まれる音楽、インテリアの流行。洋服もほのぼのとした空気が伝わるスラウチなシルエットや上質なTシャッなどパーソナルな満足感をみたしてくれるナチュラルさが心地良い。
・NORDIC MODERN(ノルディック・モダン):無駄を省いたスマートな機能美にセンスの良さが感じられる北欧のインダストリアル・デザイン。直線のグラフィカル効果、流線形のライン、モダンな色使いをファッションで再現。装飾的なトレンドの次にくるニュー・シンプリシティ。
・JUNK JEWEL(ジャンク・ジュエル):カスタマイズの流れを受けてジュエリー、特に装飾的なジュエリーの存在感が見直されている。本物もイミテーションも取り混ぜた深い色の輝きや細部にわたる繊細なこだわり、ジュエリーを着る感覚で楽しむパワフルなクリエーション。

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メンズファッションは、なぜダメなのか?

ファッションインテリジェンス 代表取締役 遠井清一郎

売れない理由

 失われた10年といわれるこの不況は、一体何時まで続くのか?
言うまでも無く経済成長率が高いこと、即ち好況とは消費活動力がダイナミックであることであり。又逆に消費活動力が衰弱すれば、それに応じて生産活動や市場活動は停滞し、経済規模も縮小してしまう。
こうした理由のひとつに挙げられているのが個人消費支出の低迷だ。日本人全体で1400兆円もの個人資産を抱えながら、それが消費に回らなくなっているからだというのだ。GDPの60%(アメリカ人は70%)を占めるといわれる個人消費支出が活発に行われていないからだという。別に国やエコノミスト達に言いがかりをつけられる理由などまったく無い話なのだが...。
勤勉で貯蓄好きは良いことではないか。更にそれをむしろ強化しているのは、国の負債が666兆円もあって、将来に対して不安を感じさせているからだ。更にアメリカをお手本とする経済の世界共通基準グローバルスタンダード化することによって、自助努力は良いとしても自己責任だの、更に改革無くして経済成長無し、しかし改革には痛みが伴うなどと、痛みの後のビジョンが何ら示されないまま、不安材料の一方的押し付けや、恫喝まがいの改革論がやたらと多すぎるのだ。具体的に、将来の生活は必ずこう良くなるはずです。というような希望の持てる予想図を示されないまま、誰が楽しい消費生活を送っていられようか。
又、消費活動が不振なのは、生産者が消費者に対して魅力を感じてくれるような商品を提案しないからだ。とも言う。これも極めて漠然とした、乱暴な理屈だ。責任のなすりあいのような子供っぽさが気にかかる。安定した生活があってこそ、はじめて楽しく便利な商品も価値があるというものだ。リストラに怯え、自己責任と言い渡され、生活防衛に懸命に耐えている時期に良くもまあ能のう天てん気なことを言っていられるものだ。
更にデフレスパイラルに入っている。物の価値より、お金の価値の方が高い。お金で持っていた方が、供給過剰で売れない時代には断然有利である。商品の方から値を下げてすりよってくる。100円ショップ、ディスカウントストア、アウトレット等、さまざまな価格競争、価格破壊が、手を替え品を替え展開されている。待てば価格は必ず下がる。こうした購買習慣が定着している。
そうした状況に加えて新たな消費習慣が定着してきている。一時のフリーマーケット(蚤の市)ブームが発展、定着し、リサイクルやユーズド(古着)商品の市場が拡大してきている。ビンテージやレア(稀な、珍しい)物といわれる、例えば或る時代の商品の中でも、完成度の高い、上質なものは非常に価値も高く、いわゆるお宝物(骨董品とも言えそうな希少価値のあるもの)としてのニーズが高い。いまでは原料や技術的に再現できない素材や製造技術のものである。
ファッションの個性化にこれほど叶ったものは無い。そうしたものと現在のものとを組み合わせて、オリジナリティーを演出したセレクトショップが、トレンディーであるとされて増えてきている。
又そこまで徹底しないまでも、もっとポピュラーなものは安いしそれなりの雰囲気を持っている。特にインポートのユーズド商品をファミリー対象に扱う店がますます増えてきている。(余談だがこうしたリサイクル屋にメンズウエアを引き取って貰おうとしても、ヤングの一部の商品しか受けつけてもらえない。敬遠されがちだ。メンズウエアの不人気さを、改めて感じさせられる。)
環境や省資源、循環型社会が時代のキーワードになっている今、こうした消費スタイルが生活用品全般に浸透し、確実に定着しているといえる。

  • 買えない理由

  • 買わない理由

  • 売れる理由

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コンテストは技法開発のシンポジウム 繊細華麗な21世紀スタートライン ジャパン・テキスタイル・コンテスト2001によせて

現代構造研究所所長 三島 彰

不況が生み出すダンディズムが光る

ジャパン・テキスタイル・コンテストは、今回で10回を経過した。
この10年は、日本経済にとってまさに試練のディケード(10年)だった。そのなかにあって先発産業の繊維は、一方では需要の伸び悩み、他方では海外製品の洪水という腹背の敵によって苦闘を余儀なくされた。そのなかで生き残っていくには、たゆみないデザイン開発を欠くことはできず、そのために当コンテストの設立と運営は、まさに的を射た戦略だったと言っていい。
過剰気味のアパレルコンテストに対してテキスタイルコンテストは、産地展に当たっての表彰を除けば、その数は極めて限られている。尾州のコンテストに続いて設立されたジャパン・クリエーションのコンテストは重要であり、その業種別表彰は一つのアイデアとして注目に値するが、このコンテストが東京で行われていることもあってか、テキスタイルアーティストの参加が目立つのも一つの特徴であろう。これに対して尾州のコンテストでは、アーティストの参加もみられるにせよ、産業現場からの提案が圧倒的に際立っているのが、何よりの特色であろう。
そういう点で当コンテストは、コンテストという形式による技法シンポジウムの感があるのは注目すべきである。誰に栄冠が輝いたかは勿論重要だが、それと同様あるいはそれ以上に、当面の産業的課題に対して、どのような解決が提案されたかということが、重要な意味をもってきたといっていい。
ところで今回の応募内容で見れば、前年突出していたシルク、レーヨンは平常に服し、ウールが再び課題の焦点に浮上しているが注目された。
今回のコンテストを通じて、どのような問題が提起され、どういう回答が提示されたかを検討してみよう。湯浅益雄氏のトリプルシェードがグランプリに選ばれたことは、尾州コンテストの真骨頂といえるのではなかろうか。一目見た印象では黒一色のウール複合織物でしかない。しかし、それはウールにシルク、ポリエステルを配した三重織であって、視線によってシルクの格子が黒のなかから浮かび上がってくる。さらにそれが成金趣味にならぬようにシルクの艶を消し、シルクの一面であるラスティック、素朴な側面が浮かび上がるように計算されている。工夫をこらしながら、その意図を押しつけない。現代的ダンディズムを結晶する逸品といえよう。
糸の味を殺しながら活かすというダンディズムは、準グランプリ、森皇造氏のモダールエッセンスにも表現されている。今回の森氏の提案は経糸に梳毛糸、緯糸に紡毛とアンゴラ混モダールリング糸を緯浮きに交織し、特殊起毛を施して文様を作製したもので、ここまではノーマルなファンシーねらいだが、彼はそれにアルカリ処理を施すことによって、ファンシー表現を裏切ってみせた。目で見たファンシー感は、手に感じ取られる粗いタッチによって裏切られる。目と手の意外なギャップがこの作品のねらいなのである。

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2002年ファッションビジネスの展望

繊研新聞社 本社編集部長 山崎光弘

リセット(仕切り直し)
変化こそ成長の糧リスクとチャンスが渦巻く

 平成14年、21世紀第2番目の年が明けた。デフレ経済に突入した日本市場だけでなく、世界では深刻な同時不況の影が忍び寄ってきた。アメリカのITバブル崩壊と昨年9月の同時多発テロ事件による後遺症、ヨーロッパのユーロ通貨導入に基づく混乱、さらにはアルゼンチンのデフォルテ(経済破綻)、そして日本の金融危機など、である。
消費の消長に多大の影響を受けるファッションビジネスの今年の見通しは決して明るくない。ただ、全産業的にリセット(仕切り直し)がキーワードになっている中で、従来とは違う激変がFB業界を襲う、変化こそ成長の糧としてきたファッション産業にはリスクとチャンスが渦巻く“新世紀”の始まりである。

初売は福袋人気 ヤングブランドは大人気初商いは「福袋」人気に沸く

  • 新世紀の幕開けは今年から

  • 新旧交代が始まる

  • 変わるビジネスモデル

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2001年 秋冬の売筋アイテムと素材

テキスタイル・プランニング・ハンダ 半田 浩也

総論

 日本のマーケットは諸外国とくらべて、独特の特徴ある動きを見せる。海外の情報(特にコレクション)に敏感に反応を示す反面、特定のアイテムや素材が数年に亘って継続されると云った側面も見せたりする。特にこの1~2年はその傾向が顕著になって来た。
具体的に云えば、重衣料(コート、ジャケット、スーツ)などは比較的ベーシックで素材も極端な変化は見せないが、軽衣料(シャツ、ブラウス、カットソー、ニット、ガジュアル単品)は目に見える形でのトレンドの取込みが激しく、素材の変化も大きい。
1900年代中盤迄は全てのアイテムがトレンドに左右され、素材も大巾に変化を見せることが多かった。しかし2000年を境にして変化して来た。重衣料については投資価値に見合う安定したデザインや素材を求め、トレンドは比較的安価な軽衣料に求める様になって来た。その理由としては、やはり社会的、経済的な不安定要素が背景に在るものと思われる。従って比較的高価な重衣料が中心となる秋冬はオーソドックスで上質な素材が中心となり、トレンド性の強い素材 は軽衣料、又はカジュアル単品のアイテムで求められると云った流れになっている。

2001年秋冬の売筋

アイテムと売筋素材

 コート:Pコート.中綿入りコート.ロングコート
ジャケット:ファーアクセントジャケット.ラビットファージャケット.テーラーカラージャケット.ブルゾンジャケット ボトム:スカート.パンツ  セットアップ ニット、カットソー

2002年秋冬に続く売筋素材

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織物の布目曲がり防止技術

愛知県尾張繊維技術センター 柴田 善孝、大野 博

本研究は、織物の布目曲がり(斜行)防止を目指し、適切な織物設計による斜行制御技術を確立するため、ウール強撚糸織物の斜行と発生要因との関係を検討した。
糸のトルク及び織物の組織、密度、糸配列等の諸条件を変化させた織物を試織し、織物のせん断特性及び糸トルクの計測、織物断面及び表面形状の実体顕微鏡観察を行って、斜行と織物の規格・製造条件との関係を導いた。
その結果、せん断特性の異方性のある織物で斜行が発生しやすく、斜紋織のように経糸と緯糸の交錯によるせん断方向への力が働く織物組織で、斜行が起きやすいことを確認した。また、斜行する織物では、打込時に経糸と緯糸の交錯する部分において、糸にねじれが生じることが分かり、糸の撚り方向とこの綾線との関係によって織物表面形状に微妙な違いが生じるとともに、そのトルクにより斜行が起きることが明らかとなった。
この織物組織と糸のトルクのバランスを考慮することにより、布目曲がり防止が可能と推察できた。

はじめに

スタイリングや機能性、着心地など感性面がより重視され、快適で洗練された質感のある素材が注目を集めている。細くてしなやかな天然素材や清涼感のある触感素材がクローズアップされ、撚加工等の技術進歩とともに、薄地軽量化のための強撚糸使いやストレッチ、収縮糸等のデリケートな糸使いの織物が進展している。
こうしたデリケートな糸の増加に伴い、糸の撚り等の基本特性に起因するトラブルもまた、新たなクレームとして増加してきている。
糸は細くなればなるほど、また、しなやかになればなるほど、わずかな力で変形が起きやすく、織物設計に無理があると、幅不同、縮み、しわ、ゆがみなど織物の品質や物性に不安定性を与えてしまうことになる。
そこで本研究では、こうした糸の撚りに起因する織物の布目曲がりについて焦点をあて、適切な織物設計による斜行制御技術の確立を目指し、ウール強撚糸織物における斜行と織物設計・製造条件との関係を検討することとした。
この結果、織物組織と糸のトルクバランスを考慮することにより、強撚糸織物の斜行制御技術を確立し、布目曲がり防止が可能と推察できるので、ここにその成果を報告する。

まとめ

 織物の布目曲がり防止を目指し、ウール強撚糸織物の斜行と発生要因との関係を検討し、斜行発生機構を明らかにするとともに、強撚糸織物の斜行制御技術を確立した。
結果をまとめると次の通りである。

ア.織物の斜行は、せん断特性の異方性のある織物で発生し、斜紋織組織のように、経糸と緯糸の交差によるせん断方向への力が働く織物組織で斜行しやすいことが確認できた。

イ.斜紋織組織内の糸形状の観察から、撚り方向と綾方向の関係が大きく関与していることが見いだされ、緯糸の打込時に、綾線方向の向きの違いにより撚りがほどける現象が生じて、織物の表裏の表情に違いが起きるとともに、そのトルクにより斜行することが明らかになった。

ウ.斜行発生には、組織と撚り方向が大きな要因であることが明らかになったことから、企画設計において組織、綾方向を十分考慮するとともに、さらに、糸のトルクを低減させる手法(糸配列、太さ、密度、撚数等)を用いて、斜行制御することにより、布目曲がり防止が可能になると推察できた。

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ハイブリッド構造織物の製造技術

愛知県尾張繊維技術センター 古田正明 服部安紀 山田 圭

 模紗織の通気性・透湿性、平織の遮蔽性を兼ね備えたハイブリッド構造の夏用織物をつくるため、その構造や規格を検討して、織物を試作するとともに性能との関係を解析した。試作織物の性能試験結果から、平織の遮蔽率、模紗織の透湿度を上回り、模紗織の通気性に近いハイブリッド構造織物がいくつか得られた。また、回帰分析の結果や回帰式から、試作しなかった規格の織物でも高性能な織物の得られる可能性が明らかになった。

はじめに

 昨今の夏用衣料には高い通気性や透湿性が要求されているが、従来のように多孔なだけの織物は肌が透けて好まれない傾向にある。夏用の織物組織としては、平織や模紗織が多く用いられてきた。しかし、平織は目ずれ(目よれ)を防ぐために糸が比較的ち密に並んで織られており、薄く軽量で肌が透けない織物が得られるが通気性や透湿性が悪い。一方、模紗織は組織の特性上、糸が寄り合って束状になり大きな隙間をつくるため通気性や透湿性は大きいが、遮蔽性が悪い。そこで、両者の長所を組合せたハイブリッド構造織物について、構造や規格を検討するとともに性能との関係を解析した。

まとめ

 試作織物の性能試験結果から、平織の遮蔽率、模紗織の透湿度を上回り、模紗織の通気性に近いハイブリッド構造織物がいくつか得られた。
そして、分散分析の結果から、次のようなことが判明した。

【松・点・縞・杉綾・トルコ朱子に模紗織を配したものの場合】

  模紗織の割合が多い場合、通気性・透湿性に良い影響を及ぼすが、厚み、特に遮蔽性に悪影響を及ぼす。
密度が大きい場合、遮蔽性は若干向上するが、通気抵抗・目付に若干悪影響を及ぼす。
引込数が4本の場合、6本に比べて通気性・透湿性は若干向上するが、遮蔽率は極端に低下する。
糸を挿入しても影響がなく、遮蔽性が低下し、目付が増すのみである。

【模紗織をストライプに配したものの場合】

  裏糸を間引した場合、目付・厚みが若干減少するが、他の性能はほとんど影響されない。
枕糸が無かったり、細い場合、目付は若干軽くなるが、遮蔽率に悪影響を及ぼす。
また、回帰式から、試作しなかった規格の織物でも高性能な織物の得られる可能性が明らかになった。

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化学改質による脱臭素材の開発

愛知県尾張繊維技術センター 浅井 弘義 三輪 幸弘

 羊毛を含んだ廃繊維を化学改質や消臭剤で加工し、各種臭気の吸着性能を把握し、脱臭素材として再利用の可能性について検討した。
羊毛は他の繊維に比べて臭気などのガス吸着性に優れている。特にアンモニア、酢酸はよく吸着し、ホルムアルデヒド、ピリジンに対しても効果がある。しかし、硫化水素についてはほとんど吸着されない。羊毛をアルカリ、酸化、還元及び化炭することにより、臭気吸着速度は向上するが、吸着率に対する効果は少ない。
セラミック系及び天然系(天然抽出物質)消臭剤で加工した反毛ウェブは吸着しにくい硫化水素を飛躍的に吸着し、その他の臭気の吸着率も向上した。複合臭であるたばこの臭いをニオイセンサーで計測した結果、消臭加工した反毛ウェブは24時間で50%程度吸着することが分かった。

はじめに

 繊維製品の製造工程から出てくる繊維屑や使用済み繊維製品などの廃繊維の処理をどうするかは、最近の環境に対する厳しい社会情勢に伴って、重要な課題となっている。
特に繊維製品は多種類の素材を使った製品が多く、素材別に分別することは難しく、また繊維素材の価格が低下し、再び繊維製品への再利用にはコスト面から見て難しく、埋め立て処分か、焼却されている。しかし、最近は多方面で廃繊維のリサイクルが検討され、その成果が期待されている。
そこで、毛織物の産地である当地方の羊毛を含んだ廃繊維の活用について検討した。その利用法として、羊毛が持っているガス吸着特性を利用し、建築用内装材等への利用を主眼に、羊毛を含んだ廃繊維を化学的改質及び消臭加工し、臭気吸着性能を評価し、脱臭素材としての再利用の可能性について検討した。

まとめ

 羊毛はアニオン基もカチオン基も有する複雑な構造で、金属をはじめ種々の物質を吸着することが知られている。この報告では羊毛を含んだ廃繊維を脱臭素材として再利用するための基礎的な臭い吸着性能について検討した。
その結果、次のことが分かった。
羊毛は他の繊維に比べて臭いの吸着性が優れている。特にアンモニア、酢酸はよく吸着する。ホルムアルデヒド、ピリジンに対しても効果がある。しかし、硫化水素についてはほとんど吸着されない。アセトアルデヒドはホルムアルデヒドよりかなり吸着されにくい。
羊毛をアルカリ、酸化、還元及び化炭することにより、臭い吸着速度は向上する。しかし、吸着率向上効果は比較的小さい。
セラミック系及び天然系(天然抽出物質)消臭剤で加工した反毛ウェブは吸着しにくい硫化水素を飛躍的に吸着し、その他の臭気吸着率も向上した。
薬剤処理+消臭剤加工することにより、臭気吸着率はより向上する。
複合臭であるたばこ臭をニオイセンサーで計測した結果、消臭剤加工した反毛ウェブは24時間で50%程度吸着する。
しかし、脱臭素材として利用するには、より吸着性能を向上させる方法や持続性などについて検討が必要であるし、どのように使用するかなど多くの課題を解決しなければならない。

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繊維上の微量付着樹脂の解析に関する研究

愛知県尾張繊維技術センター  福田ゆか 野田栄造 坂川 登

 現在、JIS等の方法による樹脂の解析は、溶媒抽出などを必要とするため多量の試料を要し、また抽出に使用する溶媒の決定が困難で、さらに鑑別に時間がかかる。
そこで、微量な試料の測定を可能とするため溶媒で抽出することなく、試料から直接、赤外吸収スペクトル(以下IRスペクトル)を測定し、短時間で容易に微量な試料から樹脂を鑑別できる手法について研究した。
その結果、赤外顕微鏡を用いることによって、試料から直接樹脂のみのIRスペクトルを得ることができ、樹脂の解析が可能となった。

はじめに

 樹脂加工した繊維製品の樹脂の鑑別の要望は多い。現在、樹脂の解析に最適なフーリエ変換赤外分光法(以下FT‐IR)により樹脂のIRスペクトルを得るためには、まず試料から溶媒を用いて樹脂のみを抽出する必要がある。しかし、樹脂により抽出できる溶媒が異なるため、加工されている樹脂がある程度予想できるものでなければ、抽出に用いる溶媒を決定するのは困難である。また、繊維上に微量に付着する樹脂を溶媒で抽出するためには、多量の試料を必要とする。さらに、溶媒抽出には時間も要し、抽出溶媒の廃液処理も問題となる。
FT‐IR装置に付属した、全反射測定装置(ATR)や赤外顕微鏡を用いると、試料の限定された部分のみのIRスペクトルを得ることができる。ATR装置を用いたFT‐IR(以下ATR法)は、高い屈折率を持つプリズム中に光を通して測定する方法で、光はプリズムと試料の接している面で100%反射し、プリズム内部に戻ってくる全反射現象を用いた測定方法である。試料の表面のごく浅い部分で光を反射させるため、織物を加工し表面に付着している樹脂の測定には適した方法であると考えられる。また、赤外顕微鏡を用いたFT‐IR(以下顕微FT‐IR)は、顕微鏡の画像を見ながら微小な領域のIRスペクトルを得ることができるため、樹脂のみに焦点を当てれば、溶媒抽出することなく、樹脂のみのIRスペクトルを得ることができると考えられる。
本研究では、ATR法及び顕微FT‐IRを用いることにより、溶媒で抽出することなく、少量の試料上に付着した微量の樹脂を、直接解析できる方法を確立することを目的とした。

おわりに

 本研究により、試料から溶媒により樹脂を抽出しなくても、試料上の樹脂から直接IRスペクトルを得ることができ、樹脂の解析が可能であることがわかった。
微量な樹脂の分析の手法としては、ダイヤモンドセルを用いて樹脂を繊維から剥離させた後、顕微FT‐IRでの測定が最も適しており、この方法により今回測定した樹脂はすべて鑑別することができる。
その中でも、シリコン系樹脂のスペクトルは、他の樹脂に比べ特徴的なピークがあるため鑑別が容易である。逆に、ナイロン系の樹脂は、羊毛に加工した場合、両者のスペクトルが類似しているため剥離させた樹脂のみを測定しないと鑑別は困難である。また、エラストロンNEWBAP‐15(A‐2,B‐2)とPantex U‐51(A‐3,B‐3)は、得られるスペクトルがほぼ同じであることから、両者を区別することは困難である。
さらに、2種類以上の樹脂を混合して加工した試料の樹脂の鑑別も、可能であることが示唆された。

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オープンソースを用いた開発システムの構築

愛知県尾張繊維技術センター 太田 幸一、都筑 秀典、橋本 貴史

 ネットワーク接続型システムの構築に適しているとされるLinuxなどのオープンソースの工業用途への応用方法について検討を行い、それらを用いた開発システムの構築を行った。織物規格設計および製織工程での応用例として、織物組織図の設計・編集からドビー制御まで広範囲に使用されることを目的としたドビーデータフォーマットおよびクラスライブラリの設計を行い、オープンソースを用いてその有効性の検証を行った。

はじめに

 1990年代後半以降における情報処理技術のめざましい発展は、世界的規模にまでに発達したインターネットや、携帯電話などの移動体通信に代表される、従来にない情報通信メディアの充実をもたらした。その結果、電子商取引など、情報処理技術を活用した新しいビジネス形態が導入されるようになるととともに、日常生活にも大きな影響を与えており、様々な情報処理端末を利用する新たなライフスタイルが広まりつつあり、大きな変革をもたらしている。この変革は17世紀以降の産業革命に対比して、IT(Information Technology:情報処理技術)革命などと呼ばれるほどになっている。
繊維産業においては、情報処理技術の導入は比較的古くから行われてきているが、産業構造の変化に伴い、新たな設備投資を実施できない現状では情報処理技術に対する新たな投資も難しく、旧式のシステムを使い続けている企業も多い。また、中小零細企業が多くを占めているため、情報処理技術を全く導入できていない企業も数多く存在する。
本研究では、近年のIT技術の中で、比較的安価なシステム構築が可能であることから注目されているオープンソースと、その代表的なOSであるLinuxを工業用途特に、繊維産業用途への応用と有効性について検討を行った。

まとめ

 Linuxを使用したネットワーク接続型システムを開発するシステムの構築を行い、織物規格設計および製織 工程で使用するネットワーク接続型システムの例として、織物組織図の設計・編集からドビー制御まで広範囲に使用されることを目的としたドビーデータフォー マットおよびクラスライブラリの設計を行った。その結果、織物規格設計および製織工程のネットワーク接続型開発支援システムがLinuxなどのオープン ソースソフトウェアを応用することにより実現が可能であることが確認できた。

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高度快適素材の開発に関する研究―快適原糸の開発―

愛知県尾張繊維技術センター  都築 正廣

 セルロースは、マーセル化や高温処理によって結晶型が転移することが知られており、この現象を利用し、吸湿性に優れるがシワになりやすいレーヨンの改質に取り組んだ。160℃の高温高圧水蒸気処理を基本に、処理後の転移状況、結晶化度、染色性、収縮率、強伸度などについて検討した。
その結果、レーヨン糸に高温高圧水蒸気処理を施すことによる転移結果を得、処理条件によって、十分な機能を保つことを確認した。

はじめに

 消費者志向が大きくカジュアル化に進み、快適性、機能性、実用性に富んだ糸、織物の開発が求められるようになった。とりわけ、高温多湿の日本に対応したテキスタイルの開発余地は多く、吸汗、速乾、通気性、軽量、イージーケアなどの機能性の追及が重要となっている。そこで、レーヨン糸に着目し、これの改質による快適原糸の開発に取り組んだ。
レーヨンは、独自のドレープ性、高い吸湿性があり、素材の魅力は大きい。しかし、レーヨンなどの再生セルロース繊維は、非結晶領域が大きく、水分の影響を受けやすく、シワになりやすい。そこで、各種ポリノジックやテンセルなどが開発されており、レーヨンに比べ平均分子量が大きく結晶性も高いので湿潤時の性能はかなり改良されている。レーヨンは、その構造上、綿のサンフォライズ加工による防縮仕上げなどの対応はできない。湿潤により繊維は膨潤するため、洗濯の繰り返しにより、収縮が進行する。
こうした状況において、高圧水蒸気処理によるセルロースの改質現象に着目し、レーヨン糸の改質を検討した。

まとめ

 結晶構造の転移について、セルロース~をX線回析によって分析し、転移全体を見るとともに、レーヨンなどのセルロースが高温高圧水蒸気処理によってセルロースに転移することを確認した。回析図で、レーヨン、キュプラ、バンブーとも回析角21.1°の近似にピークが現れ、の特徴を示した。しかし、の状態で現れる回析角20°のピークが残っており、完全に転移していないことも分かった。
さらに、結晶化度をみると、の各素材が高温高圧水蒸気処理によってになり、結晶化度を高めており、明らかに結晶構造が変化していることを確かめられる。
高温高圧水蒸気処理によって、明らかに質的変化を起こしている。そこで、染色堅牢度、染色性、収縮率、強伸度の性能試験を行い、評価した。その結果、染色堅牢度には問題ない。染色性は、処理時間の多さによって後退し、やや難ある。収縮率はよい結果となった。強伸度は、キュプラにやや難あるが、レーヨン、バンブーレーヨンは良好な結果となった。このことは防シワ性などの実現に大きな可能性を示した。
今後は、時間や設置形状などの高温高圧水蒸気処理の最適条件の再検討、処理糸による織物での性能評価に取り組むべきと、思料している。

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天然物の機能開発に関する研究 -繊維染色加工用リポソームの開発-

愛知県尾張繊維技術センター 北野道雄、山本周治

 最近、各方面でバイオテクノロジーに関する話題が盛んであるが、繊維産業への導入利用も急速に検討され、一部は実用化されている。一方、食品や化粧品分野における天然志向ブームを背景に、染色加工業界においても薬品による加工を天然系の加工剤に置き換える新しい加工技術の開発が求められるようになった。このため、数年前から繊維加工への酵素利用技術や天然物による繊維加工に関する研究に取り組んできた。ここでは、脂質やその類似化合物のリポソームを用いて各種繊維を染色加工する技術を研究するとともに、染色加工した繊維の持つ機能についても明らかにした。この 結果、リポソームを利用することにより、従来の染色加工をより効果的に行うことが可能なばかりか、バイオ加工に応用することにより、高い添加効果を示すことが判明した。

はじめに

 リポソーム(Liposome)は脂質人工膜の一種で、リン脂質等に機械的な振動を与える方法等により二分子膜層で包まれた小胞が得られる。この小胞はベシクル(Vesicle)と呼ばれ、この中に蛋白質やコレステロール、あるいは種々の機能性分子を組み込むことにより、生体膜のモデル膜として膜物性や膜透過性の研究が盛んに行われている。さらに最近では、医薬品のカプセル化利用に大きな期待がかけられる徐放コントロールに対するリポソームの応用が注目されている。これは、薬物を生体内の特定の器官や組織などに選択的あるいは集中的に運び届ける機能と放出速度や期間などを任意にコントロールする機能を併せ持たせることを目的としており、一般にDDS(Drug Delivery System)と呼ばれている。
ここでは、このリポソームやベシクルを生体への利用と同様の目的で、繊維の染色加工に応用する技術について研究を行った結果を報告する。

まとめ

 以上の結果をまとめると、次のように要約できる。
(1)リポソームを各種酵素加工(バイオ精練、羊毛やポリエステルの改質)に応用することにより、加工効果が向上することが判明した。
(2)天然高分子による各種繊維素材の機能性加工にリポソームを応用することにより、吸水性の向上、帯電防止効果や防縮性の増大等が確認できた。
(3)羊毛やナイロン、ポリエステルの染色に対するリポソームの添加効果について調べた結果、分散染料によるナイロン染色においてのみ差異が認められ、低温でも濃染化が得られた。
(4)抗菌性を持つ天然物による羊毛やナイロンの抗菌加工にリポソームの応用を試みたところ、SEKの制菌や抗菌防臭基準をクリアーすることが分かった。

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撚効果織物の開発と物性解析

愛知県尾張繊維技術センター  大野 博、古田正明

 本研究では、高質感のある撚効果織物の開発を目指し、強撚糸や撚変化を持たせた織物について、撚効果と光沢及び物性の関係を研究した。
糸の撚方向・トルク及び織物組織を変化させた種々の織物を試織して、織物の光沢度、曲げ特性、せん断特性、通気性の測定及び織物表面形状の実体顕微鏡観察を行い、糸の撚効果と光沢変化、物性変化との関係を導いた。上撚Zの強撚糸では、曲げ特性、通気性が向上することが分かり、経糸、緯糸に関係なく浮き組織の影響が物性面に大きく反映することを確認した。一方、光沢度では、経糸、緯糸の撚りの組み合わせが大きく影響するとともに、経糸・緯糸の浮き組織の違いで大きな異方性が生じることが確認できた。また、せん断特性、曲げ特性の物性値にほとんど影響を与えない程度のわずかな糸トルクでも、織物表面形状に微妙な変化を生じさせることが分かり、光沢度の方向変化が大きくなることを明らかにした。
これらのことから、糸の撚方向・トルクと織物組織との関係を組み合わせることにより、織物表面における光沢度を方向制御し、微妙な光沢変化による高質感のある撚効果織物が可能と推察できた。

はじめに

 細くてしなやかな天然素材や清涼感のある触感素材が注目され、快適で洗練された質感のある織物が求められている。光沢のある糸使いや薄地軽量化のための強撚糸使いが進展してきており、微妙な表面変化を持つ感性面を重視した織物が増えつつある。
糸に細さを求めるほど、また、しなやかさを求めるほど糸はデリケートになり、わずかな力で変形しやすくなるため、糸の撚効果が大きく反映されるようになる。逆に、撚りの影響を考慮しないでこのような糸使いの織物を企画・設計すると、思わぬ光沢ムラや、縮み、しわなどが生じ、品質や物性面での大きなクレームとなってしまうことがある。
そこで本研究では、強撚糸や撚変化を持たせた織物に焦点をあて、高質感のある撚効果織物の開発を目指し、撚変化と光沢及び物性の関係を検討することにした。
この結果、糸の撚方向・トルクと織物組織との関係を組み合わせることにより、織物表面における光沢度を方向制御し、微妙な光沢変化による高質感のある撚効果織物が可能と推察できたので、ここにその成果を報告する。

まとめ

 高質感のある撚効果織物の開発を目指し、強撚糸や撚変化を持たせた織物を研究して、撚効果と光沢及び物性の関係を明らかにし、織物表面における光沢度の方向制御技術を確立した。結果をまとめると次の通りである。
(1)撚方向・トルクと織物組織との関係から織物内の糸形状に変化が生じて、織物表面形状に違いが生じることが確認できた。
(2)光沢度及び物性(曲げ特性、せん断特性、通気度)は、織物組織に大きく関係し、光沢度ではさらに、物性変化がほとんどないレベルの糸トルクによる微妙な表面変化(撚変化・糸形状変化)でも光沢度の方向変化が大きくなることを明らかにした。
(3)撚方向・トルク、綾線方向の組み合わせを考慮することにより、物性をほとんど変化させることなく、織物の光沢を方向制御し、高質感のある撚効果織物の開発が可能と推察できた。

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ウールウォッシャブルスーツ向け素材規格の適正化

愛知県尾張繊維技術センター  板津敏彦、大津吉秋

 水洗い可能なウール衣服の製造技術確立を図るため、水洗いに適したウール素材規格の適正化について研究し、次の成果を得た。収縮率と各要素との関係から、ブリアリーの理論密度が低くなるほど、また織物表面の浮き糸が長くなるほど、収縮が大きくなることを明らかにした。各種素材を用いて、既存のBAP加工、モノ過硫酸カリウム塩による表面改質加工を行い、性能評価した。またそれらを組み合わせてソフトな風合で比較的防縮性能の高い方法を明らかにした。ポリエステル極細繊維(0.4D)使いで、撚数、密度を変えた織物を試作し、ソフトで非常に防縮性の高い規格を明 らかとした。以上の結果をもとに、ウール混率、糸種、理論密度比、織物表面の浮き糸長さなどの要素から素材を分類し、防縮加工の選択を示す対応方法を示した。

はじめに

 地球環境への関心が世界的に高まる中で、ドライクリーニングに使用する溶剤の毒性や、環境への影響が懸念されるようになってきた。また消費者からは自宅で家庭洗濯したいとか、商業用水洗いクリーニングで汗などの水溶性汚れを十分に除去したいというニーズが高まってきた。
最近は、特にウールウォッシャブルスーツが注目され、従来困難とされてきたウール高率混で高級感のある質の高い製品を対象に、商業用水洗いクリーニング、家庭洗濯対応可能な製品に関心が寄せられている。
ウールウォッシャブルスーツの現状は、大手アパレル企業はポリエステル混紡素材で商業用水洗い可能な製品を主力に展開している。JAFET(繊維製品新機能評価協議会)では、これらのアパレル企業を中心に大手合繊メーカーやクリーニング業者、洗濯機器メーカー、洗剤メーカーなどから構成された水系洗濯性能評価研究会を発足し、アパレル製品の水系洗濯性能の評価基準を定め、またクリーニング企業の仕上げ技術指導などの普及活動にも努めている。
一方、ザ・ウールマーク・カンパニーがプロモーション活動を進めるイージーケア・ウールスーツは、ウール100%を主体に、ニューBAP加工という織物段階での防縮加工を行い、家庭洗濯可能とした織物素材を用いている。前者と評価基準を比較すると、前者ができるだけ多くの織物素材を採用する方向でやや軽度な試験、評価基準をあげているのに対し、後者は水洗いによる製品の型くずれ発生、寸法変化の問題を重視し、通常家庭洗濯の弱15回分に相当する洗濯試験とかなり厳しい評価基準をあげている。
これらの動きは、地場繊維産業はもとより、流通関係も注目しており、ウール関係を主力にする企業はそれぞれ何らかの対応を図らねばならない。産地では、多くの企業がその対応方法を検討している状況で、技術面でも多くの課題が残されている。このような中で、本報告では水洗い可能なウール衣服の製造技術確立をめざし、水洗いに適したウール素材規格の適正化について検討した。

まとめ

 ここで検討した結果をまとめると次のとおりである。
(1)防縮加工を行っていない市販のウール高率混素材20点をTM31法で洗濯試験した結果、収縮率と各要素との関係は、ブリアリー理論密度比が低くなる ほど、また織物表面の浮き糸が長くなるほど、収縮が大きくなることを明らかにした。織物表面の浮き糸長さは、表面の組織が見えない2~3点の織物を除いてほぼすべての織物で簡単に測定できた。経緯平均の収縮率と浮き糸長さとの関係は、R=0.79で、洗濯収縮の大きさを予測するのに利用できる要素とみられた。
(2)各種素材を用いて、既存のBAP加工、モノ過硫酸カリウム塩による表面改質加工を行い、性能評価した。その結果、未処理に比べ、BAP加工は高い防縮性を示し、表面改質加工+防縮加工用樹脂吸尽法では良好な結果を示す素材と不十分な素材があった。また、表面改質加工については、低濃度の防縮加工用樹脂をパッドして用いる方法により、ソフトな風合で比較的防縮性能の高い方法を明らかにした。
(3)平織、朱子組織で、密度、糸種など緯糸条件を段階的に変えた織物を試作して風合変化、洗濯収縮率、しわ回復率等を評価した。その主な結果は次のとおりである。平織では、低密度ほどしわ回復率が高くなった。朱子織物(低密度)では、BAP加工の防縮効果が優れ、それ以外の加工法では十分な防縮効果が得られなかった。朱子織物(高密度)では、ポリエステル極細繊維(0.4D)使いで、撚数、密度を変化させて試作し、ソフトで非常に防縮性の高い規格を明らかとした。
(4)以上の結果をもとに、ウール混率、糸種、理論密度比、織物表面の浮き糸長さなどの要素から素材を分類し、防縮加工の選択を示す対応方法を示した。対応方法は、防縮加工の選択を示すもので、収縮しにくい素材には風合がソフトになる加工を、収縮しやすい素材には防縮性能が高い加工を行うものである。

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ハイテクウール新素材の成形化に関する研究

愛知県尾張繊維技術センター  柴山幹生、加藤一徳、森 彬子

 羊毛より抽出したウールケラチンタンパク質を活用した生分解性プラスチックを開発するため、還元剤で抽出したケラチン水溶液より噴霧乾燥とアセトン析出の2方法により微粉化したケラチン粉末の成形化を検討した。その結果、可塑剤としてグリセリンを添加し、適切な成形条件を選択することで、柔軟で透明感のある良好なケラチン成形板を得た。得られた成形板は、高い吸放湿性や、分解速度の速い生分解性を有しており、生分解性プラスチックとして応用が可能と考えられた。

はじめに

 プラスチックは、軽量で丈夫、化学的に安定で腐りにくい、加工性が良い、低価格であるなど優れた特徴を多く有することなどから、20世紀の大量消費時代を代表する素材である。反面、これらの優れた特徴が消費後の廃棄段階では短所となり、自然界では分解されにくいため、ゴミとして大量に出されるプラスチック製品の処理が地球規模の大きな環境問題となっている。こうした背景の下、微生物等により容易に分解されることで、環境への負荷を少なくする生分解性のプラスチックが注目を集め、現在その実用化への取り組みが様々な分野で活発に行われている。生分解性プラスチックの製造方法には、微生物合成法、化学合成法、天然高分子の材料化などがある。従来より、我々は天然高分子である羊毛の生分解性に着目し、その主成分のケラチンタンパク質とポリビニルアルコールとを複合した繊維の製造技術について研究を進めてきた。
本研究では、こうした一連の研究の中で得た、羊毛からのケラチンタンパク質抽出技術、繊維化技術の成果を基に、ケラチンタンパク質の応用の一環として、ケラチンタンパク質粉末の成形化を研究し、生分解性プラスチックへの利用の可能性について検討した結果を述べる。

おわりに

 本研究では、羊毛より還元剤を用いてケラチンタンパク質を抽出して微粉化したケラチン粉末を利用した、新規な生分解性プラスチックの開発の可能性を検討した。
研究では抽出したケラチンタンパク質溶液を噴霧乾燥して粉末化、アセトンで析出後、機械粉砕して粉末化の2種類のケラチン粉末を作製し、成形性とその性能を評価した。可塑座視としてグリセリンを添加したケラチン粉末を成形温度120℃、成形圧力10MPaで加熱圧縮すると、柔軟で透明性の高いケラチン成形板を得ることができた。得られた成形板はポリカプロラクトン系生分解性プラスチックと同程度の曲げ強度、毛織物以上の吸放湿性、短期間での生分解性などの特徴を有していることが分かった。とりわけ、ケラチン成形板(噴霧)は、土中埋設後約1ヶ月で完全に消失し、急速な生分解性を示した。

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繊維技術の継承手法に関する研究 ―マルチメディア対応製織技術データベースの汎用化―

愛知県尾張繊維技術センター 都筑秀典、柴田善孝、太田幸一

はじめに

現在、繊維業界は他の製造業と同様、熟練技術者の高齢化、および減少がかなり進んでいる。これは、高度繊維技術を教える大学などの減少や繊維産業の魅力低下などに伴う若手人材の減少、およびこの長引く景気の低迷による企業のコストダウンや再構築などにより熟練技術者が減少しているためである。そのため、繊維産業としては後継者不足とともに繊維技術をいかに継承するかが大きな問題となっている。
さらに、熟練技術者の知識・ノウハウは長年の経験により培われたものがほとんどであり、経験の浅い技術者にとっては簡単に会得できるものではない。また、熟練技術者は経験的に会得したものであるため、経験の浅い技術者に体系的に指導することは容易なことではない。
技術の継承手段としては、実際に指導する方法の他に、経験で得られた知識を計数化し、疑似的に体験できるようにするシミュレーションや、知識・経験を体系的に蓄積し、必要に応じて提供するデータベースシステムが考えられる。シミュレーション技術については、織物設計の分野において、コンピュータにデータを入力するだけで、試し織りすることなく、織物のデザインを予測する技術が確立されている。一方、データベース化では、熟練技術者の経験・ノウハウを体系付けて整理することはほとんどなされていない。
熟練者の技術を再現するためには、文書や静止画だけでなく、実際の作業動作、音等も含めて再現することが重要なポイントとなり、さらに知りたい情報を早く、簡単に取得する手法が望ましい。
従来の情報構成要素である文書、画像に加えて、動画、音声を取り扱うことができ、容易に検索・抽出できるデータベースシステムを構築するメディアとして、ビデオテープやCD‐ROM等のメディアが考えられるが、ビデオテープは検索が難しく、CD‐ROMはデータの更新等ができない問題がある。
そこで、製織準備工程、製織工程での技術的なノウハウ、機器の設定調整に関する情報を蓄積して、情報の体系化を図ることで、経験の浅い技術者でも、必要とする情報が容易に検索できるような、コンピュータネットワーク技術を応用した汎用的なデータベースシステムの検討を行った。

まとめ

本システムは製織技術に関する情報をネットワーク端末用パソコンで検索することによって、経験の浅い技術者でも技術の習得が容易にできるようにするのが狙いである。複雑な製織技術の情報を文字情報だけでなく、静止画、動画を用いたマルチメディア情報として、ネットワークサーバーへ一元的に蓄積させ、これら情報の検索、抽出、表示が容易にできるようなシステムとした。
業界に広く利用してもらうには、インターネットで使用できることが望ましいが、容量の大きい動画ファイルをダウンロードするには時間が掛かりすぎるため、今後検討を行う。

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繊維加工に有用な新規酵素を生産する微生物の検索

愛知県尾張繊維技術センター  山本周治、北野道雄

 本研究の研究目的としては、羊毛クチクルのみに働く酵素、合成繊維(ポリエステル)を改質する酵素、これらを生産する微生物を土壌からスクリーニングし、これから培養調整した菌株から粗酵素を取り出し繊維への加工適性を評価した。その結果、粗酵素の段階であるが、羊毛の防縮加工に適した酵素が見出された。またポリエステルの改質酵素に関しては、微生物の検索をする前に市販酵素2種類(リパーゼ、ラッカーゼ)を用いて実験を行ったが、柔軟性、吸水性、帯電特性、強伸度等に変化が見られポリエステルの改質に関して有効であることが判った。

はじめに

 バイオテクノロジーは酒、味噌、醤油といった食品分野に多く用いられ、これらバイオに関する研究は食品業界がリードしていると言って過言ではない。しかしながら、酵素メーカーも食品業界にとどまらず他業種にも酵素利用を拡大していきたいと考えている。また、繊維業界においても汚濁物質を出さないという点からも酵素利用技術について注目したが、現在においては、綿・絹の精練といった一部のみに使われているだけである。羊毛分野において酵素を用いた改質研究は多く行われ、一部実用化しているが、現段階ではたんぱく質分解酵素は特定部位だけをアタックするものがないため、繊維全体の強度低下が大きな問題となっている。特定の部位、例えば羊毛においては羊毛クチクルのみに酵素が働いてくれれば、強度低下を危惧することなく防縮性、風合いの改質につながると考えられる。一方、合成繊維においては、世界における全合成繊維に占めるポリエステル繊維のシェアは約67%あり、日本国内でも約66万トンのポリエステル繊維が織編物に使用され、このうち、ポリエステル100%のものにはほとんど苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)を用いて風合い改質が行われている。しかし、高濃度の苛性ソーダを排出するため中和などの後処理が必要となる。こうした中、環境負荷の軽減を考えて、天然物を利用した酵素加工が注目を集めている。酵素を用いた改質に関する研究もいくらか見られるが、現段階においても脂肪族ポリエステル繊維に限られた分解による実験程度に限られている。本研究では、リパーゼによってポリエステル繊維を構成する主鎖部分であるエステル結合を切断し、さらに骨格を成すベンゼン環をラッカーゼによって切断することでポリエステル繊維に可能となると考え実験を行った。

おわりに

 本研究は、平成12年度から3年間の予定で愛知県食品工業技術センターと共同で研究を行っている。その初年度として土壌から採取した菌株より粗酵素を取り出し、羊毛の羊毛クチクルのみに働く酵素の探索。合成繊維(ポリエステル)を改質する酵素を土壌から探索する前実験として市販品酵素を使用してポリエステル繊維の改質を試みた。では土壌より採取した菌株より取り出した7種類の粗酵素によって処理した羊毛繊維布では市販の酵素で処理した羊毛繊維布に比べて防縮性は優れていた。また、強度低下も少ないものがあることから、本酵素は従来の酵素より優れた特性を持ち、羊毛防縮加工に有用である酵素が探索できた。来年度よりこれらを精製した酵素を用いてさらに羊毛に対する特性を調べる予定である。では市販用酵素(リパー ゼとラッカーゼ)を組み合わせることにより大きな表面変化が見られた。特に、今回の柔軟性、吸水性、帯電特性、強伸度、防しわ性、染色性に係わる結果を総合的に見た場合、リパーゼとラッカーゼ両方の処理をポリエステル布に対して行うのが最も効果の高い処理方法であると思われる。また、酵素処理した試験布のデータを個々に見てみると数値のばらつきが大きな場合もあった。これは、酵素が不均一に作用し脆化が大きいところとそうでないところがあるためと考えられる。今年度の研究から、酵素を使用してポリエステル繊維を改質できることからアルカリ剤が不用で、羊毛等あらゆる繊維との混紡、交織品に対してもポリエステル繊維の改質が可能となる。ただ、水酸化ナトリウムによる処理とは異なる表面変化を確認できたが、今回はアルカリ処理に比べて酵素処理の減量変化はあまり大きくないと思われるので、今後はさらに分解を促す酵素の発見が待たれる。

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21世紀型ファッションビジネスへの革新

元瀧定株式会社 紳士部門企画室長 小森利勝

○ファッションビジネスを取り巻く環境
・時代の潮流と新しい文明への挑戦
・IT革命がもたらす社会経済への影響
・消費者主導のコンシューマーセントリック時代へ
○IT革命とファッションビジネス革新
・IT革命によるグローバル化の加速と大競争時代へ
・IT活用によるファッションビジネス構造の革新
IT活用による組織革新
A.企業組織は階層からフラットになり、中間管理職が不要になることもある。専門職の時代となり、専門的能力が必要となる
B.企業と個人の関係が変わり、企業が中心であった会社の求心力の問い直しが始まる。遠心力として自立して外に出る個の時代へ。
IT活用によるプロダクト革新
A.大量生産から個型生産に転換可能となる。
B.グローバルな生産管理が可能となる。
C.無人の工場を遠隔操作できる。
IT活用による技術革新
A.技術技能のデータベース化が進む。
B.CADの三次元化及び高度化が進む。
IT活用による企画開発革新
A.インターネットや画像システムが活用される。
B.先端的情報技術が活用される。(APS、DWH、POS、EDI)
C.予測システムが活用される。
IT活用による流通革新
A.流通の中抜き現象が起こり、卸売りや時には小売りも不要となる。
B.新中間業として代行業、物流業が注目される。
C.電子市場が開設され、電子商取引が拡大する。
D.サプライチェーンマネージメント(SCM)が進展し、流通構造が改革される。
a.計画、調達、生産、物流、小売りの一気通貫の仕組みを持つ情報活用型システム。効率的な流通システム。
b.顧客中心。スピード経営。ローコストオペレーション。
c.世界のSPA型企業が活用。
上記のように、SCMは分業化、専門化の長所とプロセスの結合の二律背反の難問を解決する。顧客の満足を実現するために必要な統合的ビジネスプロセスを最適な企業の組み合わせで実現する。それはあたかも一つの企業の行動のごとく実現する。また、SCMシステムは在庫の削減、業務の削減、リードタイムの短縮、調達受発注の効率化、物流の合理化、市場変動の早期対応、価格革命、キャッシュフロー経営などに活用できる。
IT活用によるマーケティング革新。
A.インターネットの登場で企業と企業、企業と個人、個人と個人を結ぶ巨大なネットワークが形成された。
B.ネットワークを介して、企業と顧客が対話できるようになった。
C.企業と顧客との関係は、一方通行から双方向の関係となる。
D.消費財メーカー、ショップのマーケティングがIT活用で劇的に変わる。
a.マスマーケティングからワンツーワンマーケティングへ。
b.顔の見えない多数の顧客対応から顧客の嗜好や過去の購買データに基づいた顧客ごとの対応へ。
c.マルチメディアを活用し、多数の顧客に大量から一人の顧客に長く多くへ。
d.供給者の押しつけから、個人の好みを基に逆提案や注文生産へ。

失われた10年を経て、21世紀を迎えた日本経済にとってITは救世主になるか、それとも一時的ブームに終わるか、今結論は出せない。それは始まったば かりだから。しかし、IT革命は勝者と敗者を生みつつ、産業基盤と生活スタイルを根底から変える大きなうねりになりつつあることも事実である。

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Brierley(ブリアリー)の密度計算式の検討

愛知県尾張繊維技術センター 服部 安紀

はじめに

 これを検討するきっかけは、機屋さんからブリアリーの密度計算式がおかしいのではないか?との質問をいただいたことから始まります。
アッセンハーストの密度計算式は、糸直径から糸が潰れないという仮定のもと、糸の屈曲構造(クリンプ理論)をもとに理論的に展開されており、組織と経緯糸の番手から、経緯密度をそれぞれ求めることができます。また、計算が簡単にできることから、広く利用されています。しかし、アッセンハーストの考えでは、経密度が緯密度より倍近く多いギャバジンのようなイレギュラーな織物の想定がありません。そこで、ブリアリーの一連の考えが必要になるわけです。

まとめ

 ブリアリーの一連の密度計算式(2.1項)について、
○経緯糸が同番手で異密度(2.1項2))の場合と経緯糸の番手、密度ともに異なり経糸より緯糸が太い場合(2.1項3)の)との間には経密度を与えて求めた緯密度に連続性がある。
しかし、
○経緯糸が同番手で異密度(2.1項2))の場合と経緯糸の番手、密度ともに異なり経糸より緯糸が細い場合(2.1項3)の)との間には経密度を与えて求めた緯密度に連続性がない。
この連続性がない点に着目し検討を行った。
その結果、ブリアリーの一連の密度計算式(2.1項)を一つの式に修正することを提案する。

この修正案で、経緯密度を与えて求めたギャバジンの織物固さが87%以下であれば、現有する見本からして、製織可能と推察できる。
この提案の計算も非常に簡単になることから議論のたたき台としていただければ幸いです。
最後に、TEXTILE HANDBOOK(愛知県繊維振興協会発行)1999,p84に掲載されている例題を修正した式で求めてみる。

組織:2/2斜紋織
経糸:梳毛糸2/48(1/24)
緯糸:梳毛糸2/24(1/12)
経密度:60本/in
の時、最適(K=119)な緯密度はいくらか?
55.8(本/in)
ちなみに、ブリアリーの計算式で求めた結果は55.9(本/in)である。

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オーストラリアにおける最近の羊毛品質検査について

はじめに

 尾州になじみの深いウール原料の産毛国オーストラリアは、世界の羊毛需要(greasy wool base)の29%を供給している。21.0μm前後のファイングレードの羊毛は、90%がオーストラリア産である。オーストラリア羊毛の最大のバイヤーは1999年実績で中国(22%)、次いでイタリア(20%)、日本は5%を購入している。オーストラリア羊毛の独自性は、天然物であるにもかかわらず工 業的なレベルで高品質な均質性が保たれていることである。
その品質的な特長は、ファイングレード(18.6~20.5μm)主体で、平均繊維直径21.0μm、植物性夾雑物(VM)の含有量1.0%以下であることと、輸出用羊毛の91%が品質検査証明付きであることにある。
オーストラリアの輸出用羊毛は、現物を個別に品質検査し、その試験結果を付けて取引する、セール・バイ・サンプル方式により行われるので、原料の品質に対する信頼性が高い。Australian Wool Testing Authority Limited(以下AWTA)という機関で、国内の輸出用羊毛における品質検査の98%が手がけられている。
最近は、品質検査方法のエレクトロニクス化やデータを電子商取引にのせる方法が用いられている。オーストラリア羊毛工業の概要やAWTAに関する内容は、インターネットでのホームページアドレスのドメイン名、http://www.awta.com.au./とwww.aussiesheep.com/で紹介されている。図1にAWTAのホームページ画面を示す。
ここではAWTAの1999年から2001年にかけて報告された羊毛に関するNewsletterとTesting The Wool Clipを紹介する。この内容は、本年3月にオーストラリアAWTA Melbourne Laboratoryを訪れた時に、AWTAの担当者から説明を受けた技術資料の一部でもある。

おわりに

 インターネットの世界が、我々を取りまく情報関連分野を変革し、オーストラリア羊毛工業の最新情報が瞬時に 個人でも容易に知ることができるようになってきた。今回、技術解説で紹介したATWAに関する羊毛品質検査に関する情報は、羊毛工業に携わる企業や技術者 にとって毛織物の善し悪しがまず原料で決まることを考えると、常に留意しなければならない情報である。羊の品種改良は、今後とも続くであろうし、それに 伴って品質管理や品質評価法の高精度化も進行していくであろう。そのための、インターネットから得られる情報を見ることには必要である。さらに、計測技術 へのコンピューター自動測定技術の導入や試験評価法の改善は、続くであろう。

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繊維産業におけるオープンソース

愛知県尾張繊維技術センター  池口達治

はじめに

 コンピュータのエンドユーザーにとって、ほとんどのソフトウェアは中身がわからないブラックボックスである。基本ソフト(WindowsやMacOSなど)もビジネスソフトもゲームも内部でどんな演算処理をしているのかはソフトメーカーの秘密であり、中身を知られないようにするのがあたりまえと考えられてきた。この価値観を覆すのがオープンソースであり、IT業界やインターネットの世界における重要なキーワードのひとつとして注目されている。
繊維に限ったことではないが製造業界でも主力製品に関しては模倣されることを防ぐため、製造技術を秘密にするか、特許を取得して権利を守るのが常識である。その考え方に基づくと、オープンソースを導入することによりどんなメリットがあるのか、ビジネスとして成立するのか、多くの疑問が持たれる。本報ではオープンソースの意義と成功に結びついている理由について紹介する。

おわりに

 現状ではオープンソースソフトウェアの活用分野はサーバー、機器制御、携帯型端末などに限られており、一般ユーザーがソースを書き換えて利用できるような状況ではない。しかしオープンソースの考え方は実に有効性が高く今後の普及が見込まれる。
愛知県尾張繊維技術センターではこれまでに開発したソフトウェアのうち、企業でも有用と思われるものを順次オープンソースとして公開していく事を計画している。

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羊毛の生分解性とその利用

財団法人 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)中部事業所 遠藤 忍

はじめに

 羊毛は再生産可能な自然循環型天然繊維である。また繰返し再利用できるリサイクル可能繊維である。この循環方式は環境に有害なものを排出することなく、リサイクルに要する加工エネルギーも少なく、自然への適合性も優れている。
羊毛生産地の多くは痩せた土地、乾燥した気候、干ばつ地帯のようなところであり、過酷な自然環境の中で羊は生息している。羊体を保護するために、羊毛は水分を最も効率的に保持し、吸湿性と放湿性を併せ持ち、高い断熱性能を備えて羊体の生理環境を維持している。
羊毛は通常の保管状態であれば、絨毯などのように幾世代も用いられる耐久性を持ち、また衣服素材としても優れた特性を長期間持続することがきる。一方、羊毛を土壌中に埋設すると非常に短期間で分解し消滅する優れた生分解性能をもっている。
最近、環境意識の高まりの中で、合成繊維による生分解性繊維が注目されているが、最も環境に適合しやすい天然繊維の羊毛の生分解性についてここで一端を紹介する。

おわりに

 羊毛と微生物の影響については古くからかびの発生などを通して研究されてきた。羊毛の生分解による肥料効果については体験的に知られていることであるが、広く実用化にはいたっていない。羊毛堆肥の研究については愛知県農業総合試験場の加藤保氏、農業環境技術研究所の酒井順子氏の方々よりご指導と資料提供をいただいた。最近、リサイクル羊毛を用いた園芸資材としての効果がザ・ウールマークカンパニー日本支社より紹介されている*9。また羊毛の生分解性に関する新しい研究も報告されている*10*11。
羊毛は地球の環境保全にとって極めて有効な資源であり、多くの分野への羊毛の利用が地球環境改善への貢献につながると期待できる。企業経営と環境保全活動の両立は、この地球上に存在するすべての企業に課せられた共通のテーマであると考える。

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羊毛の生分解性に関する最近の研究

京都女子大学 上甲恭平

はじめに

 地球規模での環境問題は、1990年代に入って急速に取り組みが進行した。繊維業界におけるモノづくりにお いても、環境負荷の軽減を考慮したリサイクル生産システムが望まれている。リサイクル化の例には、再生ポリエステルの製品化システムの構築があげられる。羊毛繊維においては、新規再生繊維資材および蛋白質資源としての応用技術が検討されてきたが、従来から行われてきたリサイクル資材としての活用域を出ていないのが現状であり、新たなリサイクル技術の開発が望まれている。その一例として、羊毛が持つ生分解性に着目した製品化、特に屋外使用資材としての種々の要望を満たした製品化が挙げられる。そのためには、繊維の生分解を制御する技術が不可欠となるが、羊毛の日光・水・微生物が関与する自然環境下での生分解性そのものについて十分に解明されているとは言い難く、現状では生分解を制御することは難しいと言わざるを得ない。
そこで、羊毛繊維の生分解制御技術の開発をめざして、現在、羊毛繊維の土壌中での分解機構の解明に着手している。羊毛の生分解には微生物(生物)が産出する酵素の働きが不可欠であるが、その作用機構は環境因子と絡み合ってたいへん複雑である。これまでにも羊毛繊維の微生物による生化学的分解挙動、食害虫の消化過程での分解挙動、タンパク分解酵素による分解挙動などが検討されてきた。本報では、これまでに知られている羊毛繊維の生分解挙動に関する知見の整理を行うとともに、土壌埋設による羊毛繊維の形態および構造変化について得られた結果を紹介し、土壌埋設下での羊毛繊維の生分解挙動について考えてみる。
・食害虫による羊毛の消化分解挙動
・微生物による分解挙動
・タンパク分解酵素溶液中での分解挙動
・土壌中での分解挙動

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最近の私の海外出張(豪州、香港、モンゴル)から

元・東洋紡績技監・京都工芸繊維大学教授、技術コンサルタント 松尾達樹

はじめに

 今年の海外出張(6回)の中から特に下記の三つの出張を選び、私の仕事上の体験や印象を中心にまとめて、ご紹介することにする。すなわち、
豪州(メルボルン、ジーロング)4月1-4日、Textile Institute世界大会への出席など、
香港 8月22-25日、Asian Textile Conferenceへの出席など、
モンゴル(ウランバートル)9月6-14日、モンゴル科学技術大学での講演など、
であるが、本報告が読者の皆様に少しでも御参考になることがあれば、幸いである。
○豪州出張
・第81回Textile Institute(TI)世界大会
・CSIRO Textile訪問など
○香港出張
・第6回Asian Textile Conference(ATC‐6)の概要
・ATC‐6のフォーラム、学生コンペ、論文内容、全体の感想など
・香港理工科大学のこと
○モンゴル出張
・モンゴルのあらまし
・モンゴル科学技術大学、繊維研究所
・繊維産業
同国は3500tのカシミアを生産し、そのかなりの割合がdehaired webならびに繊維製品として輸出されている。その他18000tの獣毛があり、原料輸出の他、フェルト、カーペット、セーターなどが作られている。
約50社の繊維会社があるということだが、その最大の会社はウランバートルにあるGobi社である。これは1980年頃政府間協定により、日本の資金援 助のもと、ユニチカ(太田敏夫氏)の技術指導で作られたもので、その副社長は京都工芸繊維大学で修士を取得したTumenbayar氏である。同会社は 2000名の規模で、原料から最終製品までを一貫して生産している。工場見学したが、なかなか整然としたものであった。しかし同企業は、最近米国企業から の買収の話があるという。 
・街、近郊田舎、暮しぶり、博物館

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ピリング性の評価について

愛知県尾張繊維技術センター 大津吉秋

はじめに

 衣服は着用中に色々な摩擦作用を受けるため布表面に毛羽立ちや毛玉が発生し外観が著しく損なわれることがある。こうした現象をピリングと言い、毛玉はピルと呼ばれているが、ピリング性の評価は一般的にはJIS L 1076(織物および編物のピリング試験方法)によって行われている。ここでは、クレーム事例から見たピリング性評価の問題点として、濡れた織物のピリング性及び、織物の裏面の毛羽が表面のピリング性に与える影響について行った試験を報告する。

まとめ

 通常のピリング試験では評価されない問題点として、濡れた状態(湿試験)におけるピリング性と裏面で発現した毛羽が表面に与える影響について行った試験を解説した。ピリング試験は当産地で一般によく利用されているJIS試験のA法(ICI形法)、D法(ランダム・タンブル形法)及び、毛織物の評価で用いられるIWS試験のTM196法(マーチンデール法)によって検討した。湿試験はランダム・タンブル法とマーチンデール法で検討したが、試料No.1(目風が粗くてソフトな織物)、No.2(フラノ調で毛羽の多い織物)では湿試験によるピリング性の低下が大きく、フェルト収縮も起きやすい傾向を示した。乾試験と湿試験とのピリング性の差は試料によって異なるが、乾試験は一般的なICI法、湿試験はランダム・タンブル法(水分を与えることでカーリング現象を起こす試料には適さない)または、マーチンデール法などの試験方法でピリング性を評価するのが好ましい。裏面の毛羽の影響では、試料No.5(裏ソフトの緯二重織物)、No.6(裏ソフトの経二重織物)のランダム・タンブル法試験で、裏緯、裏経糸に発現した毛羽が表面に飛び出すことが確認された。試料No.5、No.6の様に表裏特性が著しく異なる織物のピリング性は、表面、裏面について検討することが要求される。

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最近話題のマイナスイオン

愛知県尾張繊維技術センター 宮路千乃

はじめに

 最近、マスコミやテレビのCMなどでマイナスイオンという言葉をよく耳にする。マイナスイオンには精神をリラックスさせる効果や生体機能を高める効果などがあると話題になり、それを売り物にした商品を多く目にするようになった。
特に家電業界では、マイナスイオン発生機構搭載の空気清浄機やエアコン、ドライヤーと相次いで新しい製品が売り出されている。また、繊維製品でも、マイナスイオンを発生するインテリアや寝具、下着、靴下など幅広い商品がでている。
ここでは、これらのマイナスイオンとはどんなものかをまとめてみた。

おわりに

 マイナスイオンを利用した商品が次々と登場している一方で、その測定方法には基準がなく、発生するイオン量の測り方や健康上適しているイオン濃度なども明確ではない。そのため、現在、測定器と測定法の標準化を進めているようであるが、まだ課題は多い。
また、マイナスイオンの発生技術を応用した機能性製品による人体への効果については、生理的反応や心理的な作用の面から大学や試験機関などで研究が行われており、商品開発をしている各社もその効果を検証するためにデータ収集をしているようである。しかし、生理反応や官能評価には個体差による影響の変動が大きく、被験者によって結果が異なることもあるようである。マイナスイオン素材についての研究にはさらなる検討が必要であると思われる。

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温熱生理学から見た快適な衣服づくり

金城学院大学家政学部 教授 成瀬正春

・産熱と放熱の平衡
・身体冷却域
・温熱性発汗
・精神性発汗
・不感蒸泄:自覚症状としては感じとれない水分の蒸泄です。
・中核温:身体の核心部の温度のことを中核温と呼びます。中核温は心臓中の血液の温度ですが、この温度を直接測定することはできません。測定の簡便性の理由により、日常生活においては腋窩温が中核温として用いられます。
・平均皮膚温:身体各部位の皮膚温は、環境温度によって大きく変化します。環境の温度変化に対応した快適な衣服づくりを考える場合には、身体の部位の相違による皮膚温の違いを包含した総合的な皮膚温の指標が必要となります。そのために考え出されたのが、平均皮膚温という概念です。平均皮膚温は、身体の各部位の皮膚温を、各部位の皮膚表面積で按分して求めた身体全体の皮膚温の平均値です。平均皮膚温と全身温冷感の研究結果2)によりますと、裸体時も着衣時も、男女の性別の相違や、夏冬の季節の相違に関係なく、平均皮膚温が33℃の時、暑くも寒くもなく快適と回答するものが最も多かったと報告しています。
・血管調節域:皮膚毛細血管の拡張または収縮によって、産熱と放熱の平衡をとる環境温度域を血管調節域と呼びます。毛細血管を拡張したり収縮したりすることは、身体にとって甚だしい負担ではないので、私たちは、暑くも寒くもなく、快適と感じます。裸体時の血管調節域の環境温度域は、28.0~32.0℃であるのに対し、適当な着衣状態では28.0~13.5℃です。適当に着衣することによって、血管調節域を裸体時よりも大幅に拡張することができます。温熱生理学から見た快適な衣服づくりとは、まさに、この血管調節域の温度域が少しでも広がる衣服を作ることなのです。
・衣服気候:温熱生理学から見た快適な衣服づくりとは、温度32±1℃、湿度50±10%、および気流25±15cm/sの快適な衣服気候が形成されるような衣服を作ることです。
・衣服の保温力
衣服の保温力を表す単位として、クロー(clo)があります。1クローとは、気温21℃、湿度50%、気流10cm/sの環境で、着衣して椅子に腰掛けている被験者が快適と感じ、平均皮膚温を33℃に維持している時に、その被験者が着ている衣服の保温力を1クローと定義します。椅子に腰掛けている場合は、気温が9℃降下する毎に1クロー分の衣服を着用すれば快適な衣服気候が得られることになります。

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 中国WTO加盟と日本繊維産業へのインパクト

伊藤忠繊維研究所 代表取締役 米良章生

・日中貿易及び対中投資の現状
・日中繊維貿易の現状
・世界の繊維貿易の動向
・中国の繊維貿易動向
中国の繊維製品輸出の構造をみると、一般貿易と加工貿易が約半々、内資と外資は2対1、アジアの比率は3分の2、綿と化合繊とその他は大体3分の1ず つ。地域別にみると、上海を含めた広東省が4分の1、あとはばらばらですが、バランスが取れているといえば言える。しかも98年から2000年にかけては 軒並みに伸びている。
繊維品貿易額は2000年度で輸出が532億ドル、輸入が165億ドルで貿易収支の黒字は363億ドル。総貿易収支の黒字が240億ドルなのに、繊維だけではこれを上回るのですから、繊維以外では貿易収支が赤字の産業が多いということです。外貨獲得という意味では、輸出額の多い電気機器、機械などよりも繊維がダントツ。中国政府もしたがっていかに繊維を伸ばすかが国策になっていることが、この数字からもはっきり分かると思います。
・中国のWTO加盟
・WTO加盟後にどんなことが起きるか
・中国の対日繊維輸出の見通し
私は中国の対日繊維品輸出は、WTOに加盟して先進国化すれば競争力が増して、ますます増えるのではないかというトーンで申し上げましたが、実はそうではないだろうという人もかなりいます。
1つは2004年末で枠がなくなることと関連して、米中合意の均霑効果、つまり一定の伸びを超えた中国産繊維品に対しては、SSG(スペシャルセーフガード)を発動することを中国に認めさせました。これは日本など他の国も同様な権利が認められるわけですから、中国はいくら輸出余力があっても、無茶な輸出はできない、一定のブレーキがかかるのじゃないかという見方です。
2番目は枠というものは、制約要因であると同時に一種の保障・権利でもある。枠がなくなるということは、逆にいうと発展途上国にとっては先進国と同じスタートラインにもう一回立つことを意味する。いままで枠で保障された分をスクラッチから取りに行かなくてはならない。したがって途上国間、あるいは途上国・先進国間の競争は激しくなって、逆に中国は途上国に食われるのではないかという見方もあります。これは中国とアセアン、東欧、インド・パキスタンとの競合という形で出てくるのではないか、ということであります。
3番目は中国の繊維産業は問題点が多いわけで、関税は下がり、非関税障壁が撤廃され、競争が激化すると、今まで見えなかった中国の問題点がいっぺんに出て来て、伸びるものも伸ばせないのではないかということです。4番目は、外資企業へ輸出枠が開放されると、欧米向けに輸出が増えた分、日本向けには輸出圧力が軽くなる。
・生産拠点のRelocation
・日本の対応
それでは中京地区の強みとは一体何であるか。1つは、地の利を生かした低コスト物流です。東西の中間にあるということからいえば当然なのですが、この中間にあることの意味は皆さんが思っておられる以上に大きいのです。例えば大阪ですと合繊メーカーの工場、本社があって、いうなれば工の拠点です。東京はアパレル卸の人なんかが中心でマーケット、商の地帯であります。名古屋はその中間にあって、違った強みを発揮できる。
2番目の強み、安定した人材の供給・確保と客先との長期の良好な関係ということを挙げてみました。何故かというと、息子さんが親父さんの跡を継ぐケースが非常に多い。これはイタリーのミラノなどと同じようなところである。3番目には、名古屋は偉大なる地方都市ということができる。上海に行きますと、虹橋空港と名古屋空港には直行便があるけれども、お客さんはほとんど繊維関係の人だといいます。聞いてみると、上海の縫製業は名古屋にヘッドクオーター機能を持ち、現地の生産機能と分けているために、人の往来が盛んなのだといいます。
最後に結びということで、3つほど申し上げたい。繊維ビジネスの特徴は何かということです。1つは変化が非常に多い。素材、色、スタイル、生産地、マーケットなど、変化が多いのに、どう対応していくかといったチャレンジングなビジネスであるということ。もう1つはグローバルで、自国だけではつとまらない。と同時に3つ目、競争が激しいので、やる気と知恵のある人だけが勝っていけるビジネスだということです。中国で今、チャイニーズ・ドリームという言葉がはやっている。小さな商売から始めて4、5年で億万長者になれるのは繊維しかないと言われて、この分野に優秀な人材が集まっている。そうなると日本の人は追い出されかねない。やはり日本でもその恵まれたハブ機能を生かして頭を使ってやっていく必要があるだろう。ただ、あくまでも製造業でという議論もあるだろうが、私はそうは思わない。先端技術というものは日本に残ると思いますが、それを商品にかえて、供給力を伴ったもので戦おうとすると、日本の場合は悲しいかな、その供給力を確保するだけの人が集まらない。それはそれで限定された中で製造業は寄与すべきであろうけれども、その時には基本的にはハブ機能をもっと生かした戦略を持たなければならないと思います。

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