JAPAN TEXTILE CONTEST ジャパン・テキスタイル・コンテスト2008
作品受付 9月1日〜9月30日 [必着
審査会 10月17日・18日
表彰式 11月12日
優秀作品展 11月12日〜14日

ジャパン・テキスタイル・コンテスト2008
受賞作品

審 査 総 評

審査員長 恵美和昭

 
 平成14年に始まったジャパン・テキスタイル・コンテストは、単なるアイデアの新しさだけではなく、
製品化が可能で、市場性も期待できるテキスタイルとしての完成度の高さ
を求めてきた。
  その結果、過去の応募作品が品質重視の無地調にやや偏る傾向があったことを危惧していた。
  しかし、今年度の応募作品を前にしてこれが杞憂に終わったことは喜ばしい限りであった。
 昨年は無地調が半数あったのに対して、今年度は1/3に減少し、デザインのバラエティが増してきている。とりわけ色彩の豊かさが極立っていることが今年の特徴である。
 技術的な面では例年通り、糸、織、編、染、整理の面で、様々な開発や工夫が行なわれ、日本のテキスタイルづくりの真骨頂が発揮されていることは、将来に向けて心強いことである。

入賞リスト(敬称略)

  

グランプリ(経済産業大臣賞)

石川 奈未
梶@ウエマツ
福井県 福井市

作品名 「mono-matrix」

本来、糸を染める先染桟を織物の染めに使い、新しい効果を出したところがユニークである。作者は一色の色が染まり行く迄の色の構成、変化の時間を切り取ったと述べているが、時間をデザインに取り込むという発想に創造性が伺える。

その効果が複雑な染着差で表現され、効果を生み出している。これが生地の光沢仕上と相俟って光の変化によるファンタジックな効果を高めている。

作者は2005年以来、当コンクールで毎年入選、受賞を重ねているが、年々進歩が伺えることは称讃に価する。

 審査員長 恵美和昭

素材

Pe100

準グランプリ(中小企業庁長官賞)

辻岡 三彦
エムティ・アート
愛知県 一宮市

作品名 「和の心、洋の技」

 非の打ちどころないベテランの仕事である。

 作品名に「和の心、洋の技」とあるのだが、この場合、和の心が洋の技を凌いだと言えるであろう。

 限られた装置を使いながら繊細にして自由大胆な表現が現代の和の心によって具現化されていて誠に喜ばしい。

思わず頬擦りを誘う見事な風合いで実現した。日本テキスタイル界のプロの技は和の心と洋の技の融合を果たした。

今後、益々のご活躍を期待して講評といたします。 

審査員長 恵美和昭

 

素材

Ca95 C5

デザイン賞

長島 美和
個人
東京都 練馬区

作品名 「Square Candy」

日本的であることで国際的であり得ること、古典的であることで現代的であること。これら両方を信じさせるに充分な作品ではなかろうか。単純な形・柄ながら、押し方や色糊の具合によって多彩な表情をかもし出すことに成功している。手仕事にこめられた祈りのようなものが、テキスタイルに具現化されたと言える。

小柄のパターンでありながら全体としては斜の構成をなし、ワンピースに仕立てて着た人がシャープな印象をもたらすことができる。

応募者の名称である「M’s color」には作者の自負が感じられ、その名称にふさわしい作品となった。

審査員 新井淳一・森山明子

                   
素材

Si100

テクノロジー賞

桂川 隆志
小池毛織
愛知県 一宮市

作品名 「本格派」

 作品名通り、まさに“本格派”の作品である。

 世の中の二極化現象の中で、究極のクオリティを生み出している。ウールの原点である基本素材を時間と手間をかけ、磨きあげた。

 極細番手の糸を高密度に打ち込み、その上でふくらみを持たせる事により、何とも言えない艶感が出ている。

 また、適度な重さが、素材そのものにドレープ感をもたらし、商品映えが期待できる。生産地を見ると、やはり尾州である。織の技術と整理の技術の高さは、他の産地が真似の出来ない、グローバルに通じる、地域限定生産による作品である。


審査員 伊藤香代子・今村秀一

素材

W100

トレンド賞

北島 信義
群馬県繊維工業試験場
群馬県 桐生市

作品名 「ペーパーウェーブ」 

紙糸を使っての織物であるが、エアリーな感触の中に柔らさもあり、四重織りのもたらす立体感はこれからの新しい布の空気を感じさせる。

 平面的な触感、光沢、透明感が何シーズンか続いた中で、今、新しい表現が求められ始めた。織り、エコロジカルな色彩感覚も含めて、この立体的なテキスタイル構成には、これからのトレンドを感じさせられるものがある。

複雑な織り構成の中から自然の発散する美しい空気が感じとれる布であることに感銘を受けた。

審査員 新井明子・藤巻幸夫

   
素材

紙98 C1.8 Pu0.2

審査員特別賞

関戸 晃
小池毛織
愛知県 一宮市

作品名 「カシミアビロード」

 “国内に存在しない素材に挑戦”という企画意図が何よりも貴重である。パイルにカシミア、グランドにシルクという贅沢な素材からか、ソフトでありながらハリ感があり、カジュアルでいながらエレガントな表情を生みだすことに成功した。

リミックス感覚なマーケットニーズにもマッチしている。ビロード織機を使用しカシミア糸でここまでのパイル保持力をキープした技術力と、素材開発への探求心が、今回の審査員特別賞の理由である。 

審査員長 恵美和昭

素材

Ca68 Si32

審査員特別賞

佐野 真一郎
(有)遠州ネット
静岡県 磐田市

作品名 「ボイルカラミ 先染」

空気を感じさせるうす手の織物は、からみ織により実際に肌につけた時のやさしい触感、素材感を一目で感じさせる力を持つ。

ナチュラルな色の組み合わせは、ダイナミックな大きい格子柄を応用の広いファッションスタイルへと誘う。

これからの素材デザインの表現を考えると、男女を問わぬシャツやワンピースの魅力を感じさせる布である。

審査員長 恵美和昭

素材

C100

素材凡例
  Ac:アクリル C: 綿  Ca:カシミア Li: 麻 N: ナイロン  Pe:ポリエステル Pp:ポリプロピレン Pu:ポリウレタン R:レーヨン  Si: 絹  W: 羊毛

入選リスト

(敬称略、五十音順)

氏名 企業名 作品名 住所
1 浅井 弘義 / 船越 吾郎 / 中田 絵梨子 愛知県産業技術研究所尾張繊維技術センター ソフトタッチシャツ地 愛知県一宮市
2 浅野 芳信 (株)浅信 岐阜県岐阜市
3 足立 聖 (有)カナーレ サザンクロス 愛知県一宮市
4 石井 克明 群馬県繊維工業試験場 長尺リピート柄転写捺染布(渦) 群馬県桐生市
5 色変化ナノ加工布(吉祥市松柄)
6 石川 奈未 (株)ウエマツ oil float 福井県福井市
7 airy vintage
8 稲田 淳一 栃尾ニット(株) 錆(花バージョン) 新潟県見附市
9 上田 善則 (株)丸萬 trick dot 兵庫県西脇市
10 Destruction
11 大江 尚夫 / 角谷 篤 / 徳本 幸紘 京都府織物機械金属・振興センター シルク・ナイロン・オーガンジー 京都府京丹後市
12 レイヤード・モルフォ
13 奥田 保榮 高橋ニット(株) 神秘の空間 新潟県五泉市
14 小野内 政一 いわなか(株) レイヤープレゼンテーション@ 岐阜県安八郡輪之内町
15 門倉 福雄 TCRクラウン 花乱舞 愛知県一宮市
16 神田 明 藤井整絨(株) レッジェーロ 愛知県一宮市
17 木全 育睦 中外国島(株) 絵画 愛知県一宮市
18 金 大均 けやき天然染色工房 冬の青い山 慶尚北道清道郡韓国
19 夏、藍色の海
20 栗田 正孝 (株)ノームラトレーディング ハイテクヘリンボーン 愛知県一宮市
21 小出 博文 日本毛織(株) wool net 愛知県一宮市
22 小関 英雄 (有)サン・オリオン imitaition(贋物) embroidery(刺繍) 愛知県一宮市
23 五藤 貴誠 五大(株) オールドカスリチェック 愛知県一宮市
24 清水 巌 清水修毛織(株) デニムしみず織チェック 愛知県一宮市
25 高橋 智美 個人 tunolace 東京都杉並区
26 羊水
27 竹内 孝X (株)スリーエム企画 No More 想定外 福井県福井市
28 田島 貴子 中外国島(株) 共に在る ― 縦縞版 愛知県一宮市
29 中里 明宏 (株)マルナカ グラデーションジャガード 埼玉県飯能市
30 西角 博文 西角綿業(株) ハーフピッチ・ピーコック・ストライプ No.1 兵庫県加東市
31 平山 備 石慶毛織(株) ボカシ絵 愛知県一宮市
32 古谷 稔 兵庫県立工業技術センター繊維工業技術支援センター プリント&クラッシュ 兵庫県西脇市
33 ボーダー・リップル
34 撚綿膨面叔緬
35 水谷 仁 田中テキスタイル(株) ウリコットリバー 愛知県一宮市
36 アウトラストリバーシブル(温度調整素材)
37 森 益一 森技術士事務所 White Discharge Printing(白抜染) 愛知県一宮市
38 Futuro(フツーロ・未来)
39 森 良三 野村産業(株) シャイニーストライブ 愛知県一宮市
40 ロービングツィード
41 湯浅 益雄 三星毛糸(株) ピュアキッドモヘヤ 岐阜県羽島市
42 脇田 訓弘 中外国島(株) LASER CLOTH 愛知県一宮市
43 渡辺 忠司 個人 ソーシアル・シルク/リネン 愛知県一宮市

過去の受賞作品はこちら→


学生の部
スプラウト賞(愛知県知事賞)
金 希庭
文化服装学院
作品名 波

発泡プリントで更紗模様を表現するという創意を高く評価する。それも絵画的なイメージをワンピース等に仕立てて身にまとうという発想に、学生ならではの大胆さとトレンド性が感じられて、審査員一同スプラウト賞に推すことを喜んでいる。

作品の特質から、アパレルでなければ、タピストリーとしても使用できる。「サラサ」は「(花などの模様を)撤布する」意のジャワの古語に発するポルトガル語であり、インド、ジャワ、オランダ、日本へと広がりを見せる。モチーフとしては、鳥獣、花卉(かき)などを主体とするサラサを立体的な「波」とした点に、思考の飛躍が目覚ましい。

金 希庭さんはアニマル柄の別の応募作もシーズ賞を受賞しており、熱心な研究の姿勢とデザイン力に将来が大いに期待できる。

                          審査員 新井淳一・森山明子
                                                 


 シーズ賞
1 はつゆき

井出 亜梨紗
愛知県立起工業高等学校
愛知県一宮市


審査員より激励メッセージ

 発想は若々しく、仕上がりは端正である。そのギャップに魅力があり、今後の展開に期待する。

6 動物柄

金 希庭
文化服装学院
東京都渋谷区


審査員より激励メッセージ

 スプラウト賞受賞の「波」と同一作者であることに驚かされた。波と動物。「動的」なものに興味があるのだろうか。確かな力量に圧倒される。

2 夜の海

岡田 紗弥
京都精華大学
京都府京都市


審査員より激励メッセージ

 夜の海をテキスタイルに表現しようとの意欲に感心する。その手法も優れており、夜の海のイメージに新たな1ページを加えるものとなった。
7 種のついたワンピースドレスクロス

齋藤 知
川島テキスタイルスクール
京都府京都市


審査員より激励メッセージ

  原毛と手紡ぎした際に心を動かされた植物の種が発想の源だという。こういう発見、感動が真の創作を生むのだと思う。期待すべき感性である。
3 深呼吸

岡田 紗弥
京都精華大学
京都府京都市


審査員より激励メッセージ

 「夜の海」と同じ作者による受賞作。発想、手法は同一ながら、表現はテーマに合致した素晴らしさがある。雲に見立てたパーツの繊細さが魅力的だ。
8 へやのあかり

西俣 皓
金沢美術工芸大学
石川県金沢市


審査員より激励メッセージ

 「へやのあかり」は、集合すれば“街のあかり”にもなることだろう。均一性でなく“ムラ”を志向したところに若い感性を見てとることができ魅力がある。
4 dramatic irony

菊池 梨奈
文化服装学院
東京都渋谷区


審査員より激励メッセージ

 大胆なフォルムに力を感じる。帽子、竜巻、黒雲など、種々の連想を誘う。プリントによる独自な表現を追求してほしい。
9 小さなことからコツコツと!!

橋谷 愛子
武庫川女子大学
兵庫県西宮市


審査員より激励メッセージ

 描画力は造形の基本であって現代にあっても軽んじられるべきではない。その意味の「コツコツ」は大きな一歩となることを信じてほしい。
5 Alice in mysterious country

金 銀暎
文化服装学院
東京都渋谷区


審査員より激励メッセージ

 モダンアートの香りがただよう幾何学的且つ詩的な作品。アパレルとは遠そうでありながら、服に仕立てた状態を待望せずにはいられない。
10 laugh

丸山 愛
多摩美術大学
神奈川県伊勢原市


審査員より激励メッセージ

 アパレル用のテキスタイルの応募が大多数を占める中で、パーティション用であることに応募者の関心が見てとれる。この分野に新たな風を送るべく研究を深めてもらいたい。


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