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情報の窓

テキスタイル&ファッション誌(メールマガジン)バックナンバー

テキスタイル&ファッション Vol.19 (2002)

Vol.19/No.1~12
(2002年4月号~2003年3月号)
  1. ファッション情報
  2. 研究報告
  3. 技術解説
  4. 講習会要略
  5. 資料
  6. 調査報告
  7. 文献紹介
  8. 特許情報
  9. 技術情報の窓
  10. その他(新設機器紹介)
1-ファッション情報 No.
生活者の意識変化をふまえた2002秋冬マーケット・ビュー 1 4 1
2003春夏FDCテキスタイルコレクション 2 5 70
02/03秋冬FDCコレクション・ショー 2 5 76
急務となったアパレルリサイクルへの取り組み 3 6 122
わが国繊維・ファッション産業の行方 4 7 167
糸の国際見本市第47回エクスポフィル視察報告
―47th EXPOFIL 2003‐04 A/W
5 8 222
2003/2004秋冬ファッショントレンド 6 9 272
SPA業態に内在する、「強み」と「弱み」 7 10 321
Bishu Textile Exhibition 開催 8 11 361
「テキスタイルという長い旅の明日」
-未来を生み出す<JAPAN TEXTILE CONTEST 2002>によせて-
9 12 399
街が変わる、TOKYOが動く、ビジネスが変わる-2003年のFB業界展望- 10 1 431
図で見る21世紀のアパレル消費市場の実態 11 2 479
2002年秋冬の売れ筋アイテムと素材 12 3 521
04年春夏エクスポフィル報告 12 3 530
解説「今デザインを考える」 12 3 534
2-研究報告 No.
オープンソース共同開発方式による織物内部構造シミュレーションソフトの開発 2 5 78
次世代ポリエステル繊維の染色加工技術 3 6 125
ウールウォッシャブルスーツ企画設計のシステム化 4 7 173
素材の複合形態による織物の開発と筋・段との関係解析 5 8 230
高機能ハイブリッド構造織物の開発と快適性評価技術(その1) 6 9 275
環境対応型染色加工技術に関する研究-中性プロテアーゼによる綿の精錬- 7 10 326
高度快適素材の開発に関する研究-加工技術利用による開発設計- 8 11 375
天然高分子系フィラメントの多機能化に関する研究 8 11 382
ネットワークを応用した繊維技術の継承手法に関する研究
-製織技術情報のデータベース化-
9 12 405
天然物の機能開発に関する研究-繊維染色加工用リポソームの利用技術- 10 1 437
PCR法による羊毛とカシミヤの鑑別 11 2 492
高機能ハイブリッド構造織物の開発と快適性評価技術(その2) 12 3 542
3-技術解説 No.
環境調和を目指した繊維加工への酵素利用技術 1 4 6
捩り織物について 2 5 85
天然物の機能性繊維への応用 3 6 139
植物由来の生分解性材料であるポリ乳酸の動向 5 8 239
高齢者の体温調節機能の変化と衣服のありかた 6 9 287
最近目に留まる張力に起因するトラブル 7 10 332
抄繊糸(紙糸)は、第三に大型繊維製造法である 9 12 411
糸むらの評価法について 10 1 452
環境に配慮した繊維製品 11 2 483
4-講習会要略 No.
尾州産地人材脂質向上セミナー報告-デザイナーとジャパンテキスタイル- 1 4 31
染色加工高度化セミナー報告(1)染色整理業の現状の問題点と将来展望 1 4 45
染色加工高度化セミナー報告(2)バイオテクノロジーで拓く21世紀の繊維 2 5 93
染色加工高度化セミナー報告(3)超臨海流体の繊維加工への応用 3 6 147
染色加工高度化セミナー報告(4)羊毛繊維の表面構造に関する最近の研究 4 7 194
アパレル技術セミナー報告(1)急変する中国物流の最新動向と今後の見通し 11 2 498
アパレル技術セミナー報告(2)ウール新製品開発の動向と今後の羊毛産業の展 12 3 554
アパレル技術セミナー報告(2)生活者のニーズと百貨店の対応策 12 3 564
5-資料 No.
平成13年度愛知県尾張繊維技術センター研究速報 2 5 96
染色仕上関係海外文献情報 2 5 100
繊維関連用語の語源(1) 4 7 189
繊維関連用語の語源(2) 5 8 246
技術相談事例紹介(1) 5 8 251
繊維関連用語の語源(3) 6 9 291
技術相談事例紹介(2) 6 9 296
繊維関連用語の語源(4) 7 10 337
技術相談事例紹介(3) 7 10 340
繊維関連用語の語源(5) 8 11 389
繊維関連用語の語源(6) 9 12 416
繊維関連用語の語源(完) 10 1 459
6-調査報告 No.
7-文献紹介 No.
分散染料の粒子サイズに対する超音波の影響 1 4 17
画像処理による織物解析(第2報)撚り角度の計算 1 4 21
有限要素法による織物の応力 ―ひずみ挙動の予測 2 5 108
損傷羊毛繊維の表面特性の回復 3 6 151
獣毛(シャトゥーシュ)の電気泳動による鑑別 3 6 157
画像処理によるニット地の毛羽と毛玉の評価 4 7 201
カチオン染料による綿布の染色を改善するための表面改質 4 7 205
共焦点レーザー・ラマン顕微分光法を応用した
羊毛のチオールとジスルフィドの含有量の分析
4 7 211
遺伝プログラミング手法による綿織物の空隙性予測 5 8 254
プラズマ及びシリコーン処理した羊毛布の寸法変化と表面特性 5 8 259
有限要素法を使用した織物の圧縮変形の解析 6 9 301
リポソームを使用した新しい羊毛の低温染色方法 6 9 309
織物密度の児童測定への同時生起行列の利用 7 10 343
ポリエステルの酵素改質 7 10 349
テキスタイル染色プロセスにおける三次元流体計算 9 12 420
羊毛染色における様々なアンチ・セット処理の効果
-パート1:過酸化水素をベースとした処理法-
10 1 464
アルカリペクチナーゼによる綿の工業的バイオ精錬の進歩 10 1 469
紫外線照射によるウールの表面改質と低温染色性 11 2 505
3D製織 理論と実験運転 11 2 511
モヘア中の欠陥のある有髄繊維の特徴付けと測定 12 3 561
羊毛ケラチンスポンジの作成と動物細胞の長期培養 12 3 564
8-特許情報 No.
公開特許公報フロントページ 特許出願公開公報目次(平成14年4月分) 1 4 55
公開特許公報フロントページ 特許出願公開公報目次(平成14年5月分) 2 5 114
公開特許公報フロントページ 特許出願公開公報目次(平成14年6月分) 3 6 161
公開特許公報フロントページ 特許出願公開公報目次(平成14年7月分) 4 7 216
公開特許公報フロントページ 特許出願公開公報目次(平成14年8月分) 5 8 266
公開特許公報フロントページ 特許出願公開公報目次(平成14年9月分) 6 9 315
公開特許公報フロントページ 特許出願公開公報目次(平成14年10月分) 7 10 355
公開特許公報フロントページ 特許出願公開公報目次(平成14年11月分) 8 11 393
公開特許公報フロントページ 特許出願公開公報目次(平成14年12月分) 9 12 425
公開特許公報フロントページ 特許出願公開公報目次(平成15年1月分) 10 1 473
公開特許公報フロントページ 特許出願公開公報目次(平成15年2月分) 11 2 515
公開特許公報フロントページ 特許出願公開公報目次(平成15年3月分) 12 3 570
9-技術情報の窓 No.
技術情報の窓 1 4 60
技術情報の窓 2 5 119
技術情報の窓 3 6 166
技術情報の窓 4 7 221
技術情報の窓 5 8 271
技術情報の窓 6 9 320
技術情報の窓 7 10 360
技術情報の窓 8 11 398
技術情報の窓 9 12 430
技術情報の窓 10 1 478
技術情報の窓 11 2 520
技術情報の窓 12 3 575
10-その他(新設機器紹介) No.
新設機器紹介 放射温度測定システム、表面形状解析装置、
オープンウェアソフト共同開発サーバー、熱分析装置
1 4 27
新設機器紹介 粉砕機(ポットミルMNー10) 12 3 569

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収集見本と解説(別冊見本帖) No.
第1号 紳士服地(タッサー、スーパー120’S糸使い) 
生産:猪飼毛織(株) 整理:(株)ソトー 収集:津島毛織工業(協)
第2号 紳士・婦人服地(2/2斜紋二重織、シャークスキン、スーパー100’S) 
生産:安達毛織(株) 整理:艶金興業(株) 収集:津島毛織工業(協)
第3号 婦人服地(2/2斜紋織、ラメ糸使い)
生産:内秀毛織(株) 整理:艶金興業(株) 収集:津島毛織工業(協)
第4号 婦人服地(緯ストレッチ、スパークナイロン糸使用)
生産:野口(株) 整理:片岡毛織(株) 収集:津島毛織工業(協)
第5号 婦人服地(リバーシブル、紡毛・綿交織)
生産:内秀毛織(株) 整理:艶金興業(株) 収集:津島毛織工業(協)
第6号 婦人服地(スラブ糸・ブークレ糸使い)
生産:猪飼毛織(株) 整理:(株)ソトー 収集:津島毛織工業(協)
第7号 婦人服地(12枚斜紋織、ナイロン・毛交織)
生産:野口(株) 整理:片岡毛織(株) 収集:津島毛織工業(協)
第8号 婦人服地(高密度織物、緯二重織、綿・ポリエステル交織) 
生産:安達毛織(株) 整理:艶金興業(株) 収集:津島毛織工業(協)
第9号 紳士服地(テンセル・麻使い、メッシュ)  11
生産:日本エース(株) 整理:艶金興業(株) 収集:(社)尾西化合繊貿易振興会
第10号 紳士・婦人服地(フクレ織、風通組織、ジャカード)  12
生産:浅四毛織物工業(有) 整理:みずほ興業(株) 収集:(社)尾西化合繊貿易振興会
第11号 婦人服地(フクレ織、風通組織、ツィードジャカード) 13
生産:浅四毛織物工業(有)  整理:みずほ興業(株) 収集:(社)尾西化合繊貿易振興会
第12号 婦人服地(クレープ、バラシャ) 14
生産:日本エース(株) 整理:艶金興業(株) 収集:(社)尾西化合繊貿易振興会
第13号 紳士服地(獣毛混サージ、モヘア、シルク・カシミヤ混紡糸使い) 21
生産:御幸毛織(株) 整理:御幸毛織(株) 収集:名古屋毛織工業(協)
第14号 紳士服地(サマードスキン、混繊糸使い)  22
生産:井立毛織(株) 整理:艶金興業(株) 収集:名古屋毛織工業(協)
第15号 紳士服地(薄地軽量、精紡交撚糸使い) 23
生産:井立毛織(株) 整理:艶金興業(株) 収集:名古屋毛織工業(協)
第16号 紳士・婦人服地(デニム、、カシミヤ紡毛糸使い) 24
生産:深喜毛織(株) 整理:深喜毛織(株) 収集:泉州毛織工業(協)
第17号 紳士・婦人服地(薄地軽量、カシミヤ紡毛糸使い) 25
生産:深喜毛織(株) 整理:深喜毛織(株) 収集:泉州毛織工業(協)
第18号 婦人服地(シャケット地、抄繊糸とアクリル糸交撚糸、毛強撚糸使い) 26
生産:御幸毛織(株) 整理:御幸毛織(株) 収集:名古屋毛織工業(協)
第19号 紳士服地(スーツ地、ゼオライト加工糸使い) 31
生産:中外国島(株) 整理:(株)ソトー 収集:尾西毛織工業(協)
第20号 紳士服地(スーツ地、精紡交撚糸使い)  32
生産:中外国島(株) 整理:艶金染工(株) 収集:尾西毛織工業(協)
第21号 紳士服地(スーツ地、カシミヤ混梳毛糸使い)  33
生産:第一毛織(株) 整理:(株)ソトー 収集:尾西毛織工業(協)
第22号 紳士服地(スーツ地、毛・ポリエステル混紡糸使い)  34
生産:第一毛織(株) 整理:(株)ソトー 収集:尾西毛織工業(協)
第23号 婦人服地(部分起毛、梳毛糸、レーヨン糸使い) 35
生産:長大(株) 整理:(株)ソトー 収集:尾西毛織工業(協)
第24号 婦人服地(絣染モール糸、スラブ糸使い) 36
生産:長大(株) 整理:(株)ソトー 収集:尾西毛織工業(協)
第25号 婦人服地(ラメ入ブークレ糸使い、緯ストレッチ) 37
生産:野村産業(株) 整理:艶金染工(株) 収集:尾西毛織工業(協)
第26号 婦人服地(ツィード、エアー交絡糸使い) 38
生産:野村産業(株) 整理:艶金染工(株) 収集:尾西毛織工業(協)
第27号 カーテン地(花柄、インターレース糸使い) 41
生産:山眞合名会社 整理:艶春整理(株) 収集:尾州絹化繊織物(協)
第28号 カーテン地(ベーズリー柄、インターレース糸使い) 42
生産:山眞合名会社 整理:艶春整理(株) 収集:尾州絹化繊織物(協)
第29号 カーテン地(植物柄、インターレース糸使い) 43
生産:(株)コザワインテックス 整理:小栗染色整理(株) 収集:尾州絹化繊織物(協)
第30号 カーテン地(抽象柄、インターレース糸使い) 44
生産:(株)コザワインテックス 整理:小栗染色整理(株) 収集:尾州絹化繊織物(協)
第31号 カーテン地(古典柄、難燃糸使い) 45
生産:中西織布合名会社 整理:尾張整染(株) 収集:尾州絹化繊織物(協)
第32号 カーテン地(花柄、収縮加工) 46
生産:中西織布合名会社 整理:尾張整染(株) 収集:尾州絹化繊織物(協)
第33号 椅子張地(発泡樹脂加工) 47
生産:大薮織物(株) 整理:日本グラスセン(株) 収集:尾州絹化繊織物(協)
第34号 椅子張地(発泡樹脂加工) 48
生産:大薮織物(株) 整理:コーヨードレープ(株) 収集:尾州絹化繊織物(協)
第35号 婦人服地(曲がり斜紋織、毛・綿交織、リング糸使い) 51
生産:松本紡織(株) 整理:(株)ソトー 収集:尾州織物工業(協)
第36号 婦人服地(蜂巣織、経緯ストレッチ、ポリウレタン糸使い) 52
生産:松本紡織(株) 整理:(株)ソトー 収集:尾州織物工業(協)
第37号 婦人服地(異番手交織、フレーク糸使い) 53
生産:虫文毛織(株) 整理:(株)ソトー 収集:尾州織物工業(協)
第38号 婦人服地(平織、毛・レーヨン交撚糸使い) 54
生産:虫文毛織(株) 整理:(株)ソトー 収集:尾州織物工業(協)
第39号 カーテン地(ジャカード葉柄、抗菌、ポリエステル・アクリル交織) 55
生産:尾関装飾織物(株) 整理:(株)コーヨードレープ 収集:尾州織物工業(協)
第40号 カーテン地(ジャカード、2浴後染、アクリル・ポリエステル交織) 56
生産:尾関装飾織物(株) 整理:コーテック(株) 収集:尾州織物工業(協)
第41号 椅子張地(モール糸、リング糸使い) 57
生産:栗本産業(株) 整理:日本グラスセン(株) 収集:尾州織物工業(協)
第42号 椅子張地(モール糸、リング糸使い) 58
生産:栗本産業(株) 整理:日本グラスセン(株) 収集:尾州織物工業(協)
第43号 紳士服地(二重織、ジョーゼット、水溶性ビニロン糸使い)  10 61
生産:ミズボウ(株) 整理:クラウン整絨(株) 収集:尾北毛織工業(協)
第44号 紳士服地(ジャケット地、ウレタン樹脂含浸加工紡毛糸使い)  10 62
生産:ミズボウ(株) 整理:(株)ソトー 収集:尾北毛織工業(協)
第45号 紳士服地(ストライプ柄、2/2斜子織)  10 63
生産:前島織物(株) 整理:(株)ソトー 収集:尾北毛織工業(協)
第46号 紳士服地(緯ストレッチ、変化うね織)  10 64
生産:前島織物(株) 整理:(株)ソトー 収集:尾北毛織工業(協)
第47号 紳士・婦人服地(緯ストレッチ、Z撚杢糸使い)  10 65
生産:山長(株) 整理:(株)ソトー 収集:尾北毛織工業(協)
第48号 紳士・婦人服地(ダブルクロス、生糸使い)  10 66
生産:山長(株) 整理:(株)ソトー 収集:尾北毛織工業(協)
第49号 婦人服地(ストレッチツイード、リング糸使い)  10 67
生産:鍛治松毛織(株) 整理:みづほ興業(株) 収集:尾北毛織工業(協)
第50号 婦人服地(ロービング、太番手糸使い)  10 68
生産:鍛治松毛織(株) 整理:三星染整(株) 収集:尾北毛織工業(協)
第51号 婦人服地(ガーゼ調、平織、緯ストレッチ)  11 71
生産:小池毛織(株) 整理:(株)ソトー 収集:尾西毛織工業(協)
第52号 婦人服地(1/2斜紋織、クレープ糸使い)  11 72
生産:小池毛織(株) 整理:(株)ソトー 収集:尾西毛織工業(協)
第53号 婦人服地(ツイード、ループ糸、ラメ糸使い)  11 73
生産:伸和ウール(株) 整理:(株)ソトー 収集:尾西毛織工業(協)
第54号 婦人服地(デニム調、ヘリンボン組織、緯ストレッチ)  11 74
生産:伸和ウール(株) 整理:艶金染工(株) 収集:尾西毛織工業(協)
第55号 婦人服地(ブリスタージャカード編、ナイロン・ポリウレタンFTY糸使い)  11 75
生産:中伝毛織(株) 整理:茶建興業(株) 収集:尾西毛織工業(協)
第56号 婦人服地(ジャカード、毛・モヘヤ混紡糸使い、起毛仕上げ)  11 76
生産:中伝毛織(株) 整理:藤井整絨(株) 収集:尾西毛織工業(協)
第57号 婦人服地(ナイロン糸、麻糸使い、ワッシャー加工)  11 77
生産:東京テキスタイル(株) 整理:(株)ソトー 収集:尾西毛織工業(協)
第58号 婦人服地(ジャカード、ラメ糸使い、撥水加工)  11 78
生産:東京テキスタイル(株) 整理:艶金染工(株) 収集:尾西毛織工業(協)
第59号 婦人服地(ジャカード編、ブークレ糸、絣糸使い)  11 101
生産:(株)滝善 整理:三星染整(株) 収集:愛知県撚糸工業組合
第60号 婦人服地(ダブルジャカード編、ブークレ糸使い)  11 102
生産:(株)滝善 整理:三星染整(株) 収集:愛知県撚糸工業組合
第61号 婦人服地(ジャカード経編、ネップ糸使い)  11 103
生産:(株)滝善 整理:三星染整(株) 収集:愛知県撚糸工業組合
第62号 婦人服地(平編、ウレタン糸使い)  11 104
生産:近藤(株) 整理:艶金染工(株) 収集:愛知県撚糸工業組合
第63号 婦人服地(ブリスタージャカード編、絣糸使い)  11 105
生産:近藤(株) 整理:艶金染工(株) 収集:愛知県撚糸工業組合
第64号 婦人服地(リンクスジャカード編、杢糸使い)  11 106
生産:近藤(株) 整理:藤井整絨(株) 収集:愛知県撚糸工業組合
第65号 婦人服地(平編、マイクロファイバー、モール糸使い)  11 107
生産:西撚糸(株) 収集:愛知県撚糸工業組合
第66号 婦人服地(平編、シルクベルベット調、モール糸使い)  11 108
生産:西撚糸(株)             収集:愛知県撚糸工業組合
開発見本と解説(別冊見本帖) No.
第1号 婦人服地(経ヒダ織物、四重織、アクリル高収縮糸使い)
設計・試作:愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター
第2号 婦人服地(平二重織、異色反染) 10
設計・試作:愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター
第3号 紳士服地(サクソニー、アルパカ使い) 15
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター
第4号 紳士・婦人服地(ビッグバーズアイ、シルク・ウール交織) 16
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター
第5号 紳士・婦人服地(カシミヤ、サクソニー) 17
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター
第6号 婦人服地(絣糸、ツィードストレッチ) 18
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター
第7号 婦人服地(チタンスパッタリング加工、収縮加工、モアレ模様表現) 19
設計・試作:愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター
第8号 婦人服地(チタンパッタリング加工、3層刺しゅう加工、モアレ模様表現) 20
設計・試作:愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター
第9号 紳士服地(スーツ地、毛・ポリプロピレン交撚糸使い) 27
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター
第10号 紳士・婦人服地(緯ストレッチ、PTT糸使い) 28
設計・試作:愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター
第11号 婦人服地(ツィード、甘撚双糸使い) 29
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター
第12号 婦人服地(緯筋変化、異形断面糸使い 30
設計・試作:愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター
第13号 婦人服地(紙糸、毛・紙交撚糸使い 39
設計・試作:愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター
第14号 婦人服地(ジャケット地、縮絨加工) 40
設計・試作:愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター
第15号 婦人服地(生分解性織物、ポリ乳酸繊維使い) 49
設計・試作:愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター
第16号 婦人服地(撚効果、異形断面糸使い、シャドウチェック、光沢) 50
設計・試作:愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター
第17号 紳士服地(高遮蔽、高通気性、別糸接結平二重織) 59
設計・試作:愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター
第18号 紳士服地(高遮蔽、高通気性、別糸接結平二重織) 60
設計・試作:愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター
第19号 婦人服地(酵素加工) 10 69
設計・試作:愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター
第20号 婦人服地(バイオ加工、ニュージーランドウール使い) 10 70
設計・試作:愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター
第21号 婦人服地(ファンシーコート地、疑似モール糸使い、二重ビーム使用) 11 79
設計・試作:愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター
第22号 紳士服地(二重織コート地、PVA混梳毛糸使い) 11 80
設計・試作:愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター
第23号 紳士服地(ロービング糸使い、アルパカ混) 12 81
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター、オガワテキスタイル(株)
第24号 紳士・婦人服地(シルクネップ・アルパカツイード) 12 82
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター、オガワテキスタイル(株)
第25号 紳士・婦人服地(ロービング糸使い、ホップサック織、ツーウェイストレッチ) 12 83
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター、オガワテキスタイル(株)
第26号 紳士・婦人服地(ビンテージチェック) 12 84
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター、オガワテキスタイル(株)
第27号 紳士・婦人服地(ナイロンモール糸使い) 12 85
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター、オガワテキスタイル(株)
第28号 紳士・婦人服地(ポリプロピレンエアー交絡糸使い) 12 86
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター、長大(株)
第29号 紳士・婦人服地(ポリプロピレンエアー交絡糸使い、網代格子) 12 87
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター、長大(株)
第30号 紳士・婦人服地(シャンブレー) 12 88
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター、長大(株)
第31号 紳士・婦人服地(ポリプロピレン使い、玉虫効果、変化デニム) 12 89
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター、長大(株)
第32号 婦人服地(アルパカレーシーツイード) 12 90
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター、オガワテキスタイル(株)
第33号 紳士服地(ブッチャー、癒し効果と消臭機能) 10 91
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター、長大(株)
第34号 紳士服地(ひだ織、毛・絹混紡糸使い) 10 92
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター、長大(株)
第35号 紳士服地(ダンガリー調、レーヨンスラブ糸使い) 10 93
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター、長大(株)
第36号 紳士・婦人服地(カラミ織、緯ストレッチ、紙糸使い) 10 94
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター、長大(株)
第37号 紳士・婦人服地(柄シボ効果、経緯ストレッチ) 10 95
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター、長大(株)
第38号 紳士・婦人服地(麻・綿交織、異番手使い) 10 96
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター、オガワテキスタイル(株)
第39号 紳士・婦人服地(綿扁平糸、異番手使い) 10 97
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター、オガワテキスタイル(株)
第40号 婦人服地(平織、ガーゼライク、絣染リング糸使い) 10 98
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター、オガワテキスタイル(株)
第41号 婦人服地(中央接結斜子織、絣染糸、綿扁平糸使い) 10 99
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター、オガワテキスタイル(株)
第42号 婦人服地(綿・麻交織、平二重織、楊柳風) 10 100
設計・試作:(財)一宮地場産業ファッションデザインセンター、オガワテキスタイル(株)
第43号 婦人服地(扁平リリヤン糸使い、プリペラ風組織) 11 109
設計・試作:愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター
第44号 婦人服地(扁平擬麻糸、綿・レーヨン交織) 11 110
設計・試作:愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター

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生活者の意識変化を踏まえた2002秋冬 マーケット・ビュー

(株)TCカンパニー代表 十三 千鶴

21世紀の対立軸の一つに「若い世代対高齢世代」がある。国立社会保障・人口問題研究所が先日発表した「将来推計人口」を読むと、この対立が一段と加速されるのではと危惧される。推計によると、日本の人口は2006年の1億2774万人をピークに減少を始める。
一人の女性が生涯に産む子供の人数(合計特殊出生率)が5年前の推計では、1.61だったのが1.31まで低下してしまっています。こうした少子化、急激に進む高齢化を背景とする社会保障制度の将来不安、経済不況に伴う社会不安のなか、ファッション業界も深刻な状況が続いています。こうしたなか、益々の企業間格差が進む現在、ファッションに対する生活者の意識も大きく変わろうとしています。先日、ファッション業界に衝撃を与えたイヴ・サンローランの引退。夢の舞台を演じ続けたハイクラスのためのオートクチュール服も時代とともに変化し、その主導権が移ったのが1960年代。以来、プレタポルテが主導権を握り毎シーズンのコレクションによるトレンドの発信が注目され、ファッション業界に大きな影響を及ぼしてきました。コレクション・トレンドをこなし消費 していくと言ったファッション業界の仕組みも生まれたわけですが、生活者の価値感も大きく変化しつつある今、衣に求める役割は、非日常性(憧れ)より生活 全体の快適さ、心のリフレッシュ、また生活空間、ライフスタイルという意識の高まりから、ファッションそのものよりライフスタイルをベースとする豊な日常 着へと変化しています。
・ ’01秋冬マーケット動向及び売れ筋アイテム
・昨シーズンのマーケットの特徴をまとめてみると・・・
・2002秋冬マーケットキーワード
・’02秋冬素材傾向
・’02秋冬カラー傾向
・’02秋冬テーマ別スタイルポイント及び注目アイテム

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2003春夏 FDCテキスタイルコレクション

平成14年4月10日から12日の3日間、“2003春夏 FDCテキスタイルコレクション”が一宮地場産業ファッションデザインセンター(FDC)において開催されました。
今回のシーズンテーマは「自遊を生きる」ということで、人々が思い思いに自分の好きな服、心地よさを選ぶ傾向が強まる中でファッションの世界でも今までのルールを越えた自分らしさが求められていくでしょう。この自由な開放感が「自遊を生きる」に繋がるのです。社会全体が不透明で閉塞感のある時代だけに未来に願いを込めてのメッセージなのです。
展示内容は今回のテーマに合わせた、2003春夏向け傾向を示すテキスタイル700点、アパレル30体が展示された。会期中、3,630人の参加者があり、手で触れたりメモを取ったりしながら熱心に見学していた。
■2003 SPRING & SUMMER
FASHION MESSAGE LADIES'
……… さぁ、自然体でいこう………
2003年春夏のキーワードは自由な開放感。思い思いに好きな服、心地良いモノを選ぶ傾向が強まる中、ファッションも構えないネイティブなスタイルが主流となる。そこに、あえて少しはずした部分、素材本来の持ち味を逆転させたりロマンチックなアイテムをコーディネートするなどの遊びが商品のそして着る人の‘顔’を決めていく。
COLOR DIRECTION(LADIES')
………基本は柔らかなニュアンス・カラー………
力強いダークカラーから一転し穏やかなニュートラル・カラーが浮上。白から派生したような淡いグレー系や人の肌に近い赤みのベージュ系がリラックスした気分を盛り上げる。配色も濃淡を問わずトーンを揃えたロー・コントラストが新鮮だ。また、ダークカラーの代わりに酸味がかったディープ・カラーを活用。明るいライト・カラーと合わせた光と影にも似た明暗効果を作り出す。
■ FABRIC DIRECTION(LADIES')
………2003年春夏 特に注目すべき素材群…………
ナチュラルで上質指向を重視しながらも高機能性に優れていることが重要。天然素材(特にコットン)を中心とした差別化複合に注目。細番手を中心としたコンパクトタイプと中~太番手テキスチャー・ヤーン使いの組織変化との二極分化。抑えた色使いに合わせたソフトなレリーフ感が重要。

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02/03 Autumn & Winter FDC Collection Show 02/03 秋冬FDCコレクションショー

平成14年4月10日開催

 FDCでは、新しい時代をリードする2名の新進ファッシンデザイナーが、尾州のテキスタイル企業の協力を得て製作した作品(44体)をファッションショーとして発表した。
このショーで発表した作品は、協力企業のテキスタイルデザイナーと、FDCが提携したファッションデザイナー(村上大輔、佐藤ヒサコ)が協力して、生地を開発するとともに、その生地を使用して48体の作品を製作した。
そして、7人のモデルが両デザイナーの作品でドレスアップし、約800人(午前、午後の2回)の観客を魅了した。
なお、これらの生地と作品は「2003 春夏テキスタイルコレクション」期間中、両デザイナー・ブースに展示した。
デザイナー    村上 大輔                 佐藤 ヒサコ
(ブランド名)   (DAMIANNE HALUME)         (beige shop)
協力企業     浅四毛織工業(株)           葛利毛織 工業(株) 
オガワテキスタイル(株)        昭和毛織(株)
鈴憲毛織(株)              鍜治松毛織(株)
東京テキスタイル(株)         新和ウール(株)
早善織物(株)              鈴憲毛織(株)
日の出紡織(株)            中伝毛織(株)
みづほ興業(株)             野口(株)佐藤ヒサコ
ブランド名:beige shop
1990 良品計画に入社
「無印良品」衣料品婦人デザイン担当
1993 新ブランド設立
1994 東京コレクションデビュー
1999 パリ・ニューヨークなどで展開
2001 ビギジャパンと提携。
(有)きなりや設立、[beige shop]ブランドの更なる展開を開始

村上 大輔
ブランド名:DAMIANNE HALUME
1992 BEAU Co. LTDに入社
1995 「村上大輔商店」設立
1999 コレッチオーネドンナ(ミラノ)に出展
2001 ラフォーレ新宿に直営店オープン ミュージカルの衣装を手がける

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急務となったアパレルリサイクルへの取り組み

ファッションジャーナリスト 福永成明

■はじめに
多くの人たちにとって「環境保護」という言葉から連想するのは大気汚染だろう。なかでも地球温暖化を招く二酸化炭素や、オゾンホールの原因といわれる特定フロンガスは、世界各国が排出規制を強めている。それとともに地球資源の有効活用も環境対策のひとつである。そのことは一連のリサイクル法の制定が物語っている。
このところ、繊維ファッション産業においても「リサイクル」への取り組みが増えてきた。だが、繊維リサイクル、それもアパレルリサイクルへの対応は緒についたばかりで、アパレル業界全体のリサイクル意識は、決して高くはない。アパレルゴミを焼却しても有毒ガスが出る可能性は低く、いまのままなら自治体が一般ゴミとして回収してくれる。こうした見方が、まだまだ多い。
だが、先進国の状況をみたら、そんな悠長なことは言っていられない。例えばドイツの場合、家庭から排出されるアパレルゴミ(不用アパレル)の70%以上がリサイクルとして再利用され、アメリカでも30%以上がリサイクルに回されている。それに対して日本はどうか。その数値は両国をはるかに下回り、わずか10%にすぎない。年間100万トン以上も出るアパレルゴミのうち、リサイクルで処理される量は10万トンでしかない。
いま日本は「循環型経済時代」を迎え、産業自らが循環システムを構築しなければならなくなった。アパレル業界でいえば、製造過程から排出される繊維屑もその一つだが、それとともに年間100万トンといわれる家庭から出るアパレルゴミを、どのようにリサイクルしていくか、その解決も急務である。このため、すでに幾つかのリサイクルシステムが動き始め、アパレル産業全体が取り組むシステム検討も行われている。ここでは、そうしたアパレルリサイクルの現状についてまとめてみる。
・本格的にスタートしたアパレルリサイクル
・いま、なぜアパレルリサイクルなのか
・これまで繊維リサイクルを担ってきた故繊維業界
・アパレルリサイクルへの取り組み
・アパレルリサイクル・ネットワークの機能と役割

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わが国繊維・ファッション産業の行方 素材は差別化の宝庫

マテリアル&サービス MS企画 山下征彦

始めに

 今、テキスタイルに大きなチャンスが生まれている。過去にもファッションの世界でテキスタイルがトレンドをリードしたことは、何回もあった。記憶に新しいところでは、1989年からの新合繊ブーム、1992年からの複合素材ブーム、94年からの機能素材ブームなど、数年に一回は素材がファッションをリードしてきた。
ブームは一過性で終わるものもあれば、その後に継続されるものもあるが、今回、改めて素材が注目されているのは、これまでのブーム的な流れではなく、構造的なものを背景にしているように思える。わが国のファッション業界は「素材を切り口」とした戦略で臨まないと更に地盤沈下してしまうかも知れない。
一方で欧米のブランド商品の氾濫、他方で中国からの値頃商品の洪水という狭間の中で、わが国ファッション業界が生き残っていくには、最も得意な分野、すなわち高度な技術と歴史に培われた「日本の素材」を前面に押し立てていくしかない、といえば過言だろうか。勝負は自分の得てとする土俵で仕掛けなくては勝 てない。
1.環境変化
1)更なる国際化が進展
2)輸入増の仕組み
3)伸びる欧米ブランド
2.日本の方向
1)素材を切り口に
3.産地の方向
1)進む素材開発
2)汎用付加価値へ
終わりに
「輸入攻勢には輸出で」と、JCを始め最近、輸出に対する取り組みが活発化している。日本綿スフ織物工業組合連合会が輸出部会を発足させたのに次いで日本ニット工業組合連合会は輸出振興のためニューヨークの展示会への出展や傘下企業の共同出資によるエージェント設置を2002年秋までに具体化することを決めた。
わが国の「国際化」はこれまで生産の海外移転と輸入を内容としたものだったが、ようやく輸出を含めたバランスの取れるものになりそうだ。輸出の際、キーポイントとなるのがジャパン・クォリティー、ジャパン・オリジナルである。産地で進む「汎用付加価値素材」がいよいよ国際舞台に飛躍する。

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糸の国際見本市第47回エクスポフィル視察報告 47th EXPOFIL 2003‐04 A/W

去る平成14年(2002)6月4日(火)~6日(木)の三日間の会期で、フランス・パリのノール見本市会場(Parc des Expositions パーク・デ・エクスポジシオン)で開催された第47回エクスポフィル(EXPOFIL)を視察する機会を、ジャパン・テキスタイル・コンテスト2002(JTC2002)より与えられた。今年のJTCの事業の一つとして計画されている第48回エクスポフィル展(12月3日~5日の三日間開催)へのJTC優秀作品の招待出展及びエクスポフィル賞・副賞(パリ招待)等のため、展示会を視察した。初めての海外繊維見本市への視察ではあるが、その会場の様子や主催者側との面談あるいは日本からの三つの出展企業のヒアリング結果等現地視察でしか得られない情報を含めて紹介。
○エクスポフィル展とは
エクスポフィルは、アパレル・家具あるいはテクニカル・テキスタイル分野における新製品の創造性および付加価値の源泉となるあらゆる種類の糸と紡績を、世界中のプロに提案する見本市である。年2回、6月(秋冬コレクション)と12月(春夏コレクション)にパリにて開催されている。 当初1979年にフランスの15社の糸メーカーによって創設されたこの見本市はその後順調に発展し、業界において世界のリーダーと言えるほどの規模に成長した。また、2001年6月よりエクスポフィルは、パリ北部のヴィルパントに位置する16,000m2以上の面積を持つ見本市会場に移転し、さらに大きな発展を遂げました。このパリ・ノール見本市会場は、出会い・情報・創造的なアイディアそしてビジネスを 演出するユニークな場として高い評価を受けている。昨年6月から国際化が導入され、今回で3シーズン目となり、今回は新たにブルガリア、ペルー、香港の参 加があった。ペルーについてはビキューナ等のファインな獣毛を使った紡績糸を特徴とし、香港からの出展企業は日本商社の系列で紡毛とアルパカ、アンゴラ、カシミヤ等との獣毛混を特徴とし主にニットへの用途を考えている。
日本の出展企業は尾州でいずれも一宮市に本社を置く、近藤(株)、滝善(株)、長谷川商店の3社である。
○エクスポフィル展会場視察
会場中央のパブリックスペースには、主催者側の6つのフォーラム展示(ジェネラル・フォーラム、カラー・フォーラム、ヌーボー・ルガール(新しい視点)、レ・エッセンシャル、家具のフォーラム、ファイバー・プロジェクション)が設けられていた。
ジェネラル・フォーラム:独立(インディペンデンス)をコンセプトに三つのテーマ……“自律(Autogenous)”、“開放 (Emancipated)”、“気紛れ(Fanciful)”について、見本市の出展社から提供された代表的なサンプル(布)や糸が、テーマを理解でき るように展示。各テーマの中央部分には、“フォーカス”エリアが設けられ、ここにはエクスポフィルのモードチームが、業界のパートナーの協力で、特別に開 発されたクリエイティブなサンプルを展示。テーマの強調したい点を引き立たせていた。
また、“新しい素材”というコーナーを設け、技術に関する説明付きで、特に独創的あるいは革新的なサンプルを展示。
日本から出展社の3社のサンプルはこのコーナーや各テーマの中央部分にも展示され、そのサンプルには出展社のブース番号等が付され、その出展社へのイントロとなっている。これらのコーナーへのサンプル採用は出展社の商談への強力な近道となっていると思われる。
○EXPOFIL展でのファッション情報の詳細
・シーズンカラーについて
・シーズン素材のエスプリ
○エクスポフィル出展日本企業のヒアリング
○主催者側との面談及び記者会見
主催者側との面談の中で、12月のJTCのEXPOFIL参加に向け、その意気込みやビジョン等については以下のようであった。
●PASQUET事務局長:日本と欧州の交流は非常に重要になっており、この2つの異なるコードが一緒になることによって何かが生まれると期待している。 そのためには一過性ではない長いお付き合いができるとよい。糸から織物の流れを一つのイベントとして明確に訴えていけるのではと考えている。今回の日本からの出展には、クォリティ、クリエーション、EU紡績には無いもの(長繊維アクリル、バンブーヤーン、ペーパーヤーン、バナナヤーン(アパカ)、カゼイン、プロミックス等あるいは細番手(ファイン)のもの)がある。
●TASTEMAINモード委員長:日本ならではの素晴らしいクリエイションとのコラボレーションはEXPOFIL展の来場者をも触発させるだろう。今後 は日欧という違う文化の両極が一緒になってシステマティックに、クリエイティブに、より高いポジションに持っていけるだろう。JTCのクリエーションにつ いて全く問題なくエキスポフィルへの出展に大きな期待を持っている。また、今回の日本からの出展各社との仕事には大きな喜びを持っている。
また、会期の最終日に主催者側(パスケ事務局長、テスタマン・モード委員長他)の記者会見があり、その中で一宮地場産業ファッションデザインセンター で開催されるジャパン・テキスタイル・コンテスト(JTC)が次回12月展に参加することがトピックスとして発表された。その要旨は次のとおりであった。
会見翻訳関連部分要旨一宮FDCとのコラボレーションを合意して、12月展には“ジャパン・テキスタイル・コンテスト”の入賞作品を展示するイベントを開催することが既に決まっている。非常に優秀な日本の作品が出展されるので、EXPOFIL出展社、来場者にとって興味深いイベントになる筈
(一宮地場産業ファッションデザインセンター 専務理事 河村博司)

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2003/2004秋冬ファッショントレンド

ファッションジャーナリスト 藤岡 篤子

この一年間、マーケティングのキーワードは、いやしと穏やかさに集中していた。特にラグジュアリーファッションの分野では、流通や小売の課題よりも、服やデザイナーのメッセージ性が優先され、2002年はファッション産業のグローバルスタンダードとして”ヒーリング”が主題であったと言えよう。
心の安らぎに終始した一年を経て、ここから次のステップに一歩踏み出そうという動きが目立つようになった。積極的でたくましい生命力溢れる動きだ。ヤングのファッションでは、この秋冬に”ゴシック”という暗い邪念を漂わせる”黒”、”十字架”、”ビッグルック”というファッションが急速に人気を得ていて、ベクトルは、ネガティブであるけれど”ナチュラル”一辺倒から”強さへの志向”へと確実に方向転換しているのがわかる。
2003年の流れは、こういった心情的な変化を受けながら、しかし、表面的な表現はそれほど大きな変化はないと、捕える方が正解。まず、心理状態を最も反映する”色”だが明るさ、力強さを感じさせるテーマが部分的に登場してきたものの、全体は、グレイッシュで、刺激のないトーナル配色が中心で落ち着いた雰囲気を保っている。突きつけられた現実に対して、冷静な気持ちに戻り現実と融和して行こうと言う事なのか。
2003年秋冬のファッショントレンドは、このカラートレンドと基本的な考え方を共有しながらも、スピード感を持ったダイナミックな展開になると予測される。ここで注目される03/04秋冬の四つのテーマを挙げてみよう。
●トラディション(伝統)
●エア・ミスト(空気・霧)
●グラフィック
●アンシャント ゴールド(古代の金)

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SPA業態に内在する、「強み」と「弱み」

山村貴敬研究室主宰 山村 貴敬

 近年のファッション業界では、SPAがビジネスモデルの成功例として注目を浴び、アパレルメーカー各社も次々とSPA新業態を開発する傾向にある。確かに、これまでに開発されたSPAは、それがメーカー発であろうと専門店発であろうと、好調な業績で上げてきた。しかし、これから開発されるSPAもこのような好調な業績を維持できるかと言えば、いささかの危惧を感じざるを得ない。
もとよりSPAという業態には、ビジネス上の強みと弱みが同居している。しかも、業界でSPAで注目される以前に、時代を先駆けるパイオニア企業によって開発された現在のSPAとは違い、今後開発されるSPAには、業界で注目された後に進出する、言わば2番手の追随型企業が主宰するケースが増えてくると思われる。
以下、SPA業態に内在する、下記の強みと弱みについて論じることにする。
●SPAの強み
・売れた時の粗利益率が高い
・コンセプトに沿った商品構成がしやすい
・顧客とダイレクトにコミュニケーションでき、それを企画・生産・販売に反映できる
・消費者と接しながら、自らが見える範囲で企画・生産・販売のリスクをもてる
・店頭の商品構成を想定しているために、アイテムごとの工場の枠を確保しやすい
●SPAの弱み
・売れなかった時のリスクが大きい
・コンセプトが不明確な時に、売れ筋に偏重しやすい
・メーカーと専門店の両方のビジネスノウハウを必要とする
・メーカー発SPAには店舗投資リスク、専門店発SPAには先物商品リスクが発生する
・相応のマーケット規模を必要とする

○プロパー消化率が高ければ、高い利益率につながる
○ダイレクトコミュニケーション、コンセプトを反映したマーチャンダイジング
○専門店MDとメーカーMDの、両方のノウハウを必要とする
○リスクと共存する利益
○相応のマーケット規模を必要とする

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FDCテキスタイルコレクション  “Bishu Textile Exhibition” (尾州テキスタイルエキシビション)開催

平成14年10月9日から11日の3日間、”Bishu Textile Exhibition”(尾州テキスタイルエキシビション)が一宮地場産業ファッションデザインセンター(FDC)で開催されました。
FDC主催のFDCテキスタイルコレクションとジャパン・テキスタイル・コンテスト(JTC)開催委員会主催のJTC事業のいずれもFDCで行われる繊維振興のための大きな事業ですが、本年はこの二つの事業を同時期に開催し、合同名称を”Bishu Textile Exhibition”として、開催されました。
また、JTC事業については、事業の見直しにより、JTC2002とユーロ・テキスタイル・ビジョンの二つの事業を中心として、JTC2002については「JTC2002優秀作品展」と「JTC審査員による公開トーク」が、ユーロ・テキスタイル・ビジョンについては「ネリー・ロディ・トレンドパネル展」と「2004年春夏ファッション・トレンドセミナー」が実施されました。
この中から、「2003/2004秋冬FDCテキスタイルコレクション」と「2004春夏ネリーロディトレンドパネル展」をご紹介します。
“2003/2004秋冬 FDCテキスタイルコレクション”
今回のシーズンテーマは”in Essence 本質をつかめ!”ということで、メインメッセージは「不安定なムードに流されるのは、もう止めよう。こんな時は、自分たちのルーツを改めて見直すべきだ。それが次の流れをつかむポイントになるのだから・・・」。
展示内容は今回のテーマに合わせた、2003/2004秋冬向け傾向を示すテキスタイル700点、アパレル30体が展示された。
FASHION MESSAGE
LADIES'
………控えめなエレガンスへ……… 本物志向に根ざしたテイイスト・ミックスが進む2003~2004年秋冬。手間と時間をかけた素材をシンプルな形に落とし込む上品な形に上品なディリー・ウェアが浮上。コンサバではない、さりげないドレス・アップ感覚が求められる。
自分らしさへを上手に表現したい、という女性達の声に応えエレガンスの定義がより内面的なモノへ変化していく。素材においても、消費者のニーズに合わせ的確にマイナーチェンジを重ねてこそ「定番」と呼ばれると、再認識することが大切に。
スモーキー・スモーキー :秋らしいシックなカラーコーディネート。素材感を生かす、穏やかなス  モーキーカラーに注目。
ダスティ加工:時を経て傷んだようなスレや毛羽感を再現した加工がホット。上質な素材で柔   らかく。
ラフ・クラシック:正統派のイブニング・ドレスを大胆にアレンジ。イレギュラーなスリットや裁切り  でカジュアルに。
ウルトラ・フィット:身体にぴったり添うカッティングやストレッチ素材のボディウェア。重ね着アイ  テムとしても活躍。
ルーミー・ルック:着心地の良さを重視した部屋着風のミックス・コーディネート。スポーツウェア  や古着などを自由に重ねて。
クチュール・レザー:むら染めやプリーツを施した型押しのレザーや人工スエード。従来の「革」  のイメージを裏切る凝った表情が新鮮。
COLOR DIRECTION
LADIES'
………落ち着きのあるソフトな色調………
色味をあまり感じさせない、スモーキーなカラーが主流となる今シーズン。淡く、弱いベリー・ペール(HAZY)や渋い中間色(HERITAGE)を中心に、少し差をつけたフォー・カマイユ配色が素材感を引き立てる。
一方でエネルギーの溢れたディープ・カラーも登場(RADICAL)。縁取りや帽子などに用いれば、効果的なアクセントに。
注目色は濃いブラウン(No.5)とパープル味のボルドーのグラデーション(No.4とNo.6)。黒よりもナチュラルで、温かみのあるダーク・グレイッシュカラーとして幅広いアイテムに活用。
NOBLE
・時代を超えて愛される品の良い茶系のバリエーション。
・グレイッシュなダークカラーと共に洗練されたムードを演出。
HAZY
・白濁した淡いペールトーン。
・素材によって、優しくもクールにも見えるカラード・ニュートラルのグループ。
HERITAGE
・曇った時の風景のような、かげりを帯びたグレイッシュ・カラー。
・歴史を感じさせる複雑な色合いが魅力。
RADICAL
・生き生きとした暖色と寒色のコンビネーション。
・くすんだ配色を引き締める活性化カラー。
FABRIC DIRECTION
LADIES’
2003秋冬は素材のカテゴリーを超えた差別化複合が進展。ナチュラルさ、軽量、洗練された上質感をベースに従来のイメージを裏切る表情やタッチがポイ ントに。冬に着るコットン、着古したようなベルベット、競技用スポーツや産業資材で培われた技術をファッションに応用したスマートファブリックが台頭して くる。ナチュラルライクな化合繊素材、天然原料による次世代繊維も登場。
更に、従来ミセスゾーンに多かった先染チェックやプリント、ジャガードがヤングやキャリア層へ、逆にヤングやキャリアに好評だった無地タイプがミセス用 へなど、異なる方向性がクロスオーバーされていく。又、新しい価値観が創造された後加工の多様化と合わせ職人的な作りも欠かせない。
・ウインター・コットン( Winter cotton)
汎用性のある暖かく着心地の良い綿複合タイプのグレードアップ化。産毛のような超短毛で柔らかなタッチが主流。ベルベットやコーデュロイ、フランネルタイプ等。又、デニム調などの差別化も重要。
・マジカル・トリートメント (Magical treatment)
コーティング、つや出し加工等の光沢質感。洗い晒し、シワ、薄い起毛加工、褪色や色落ち、オーバーダイ、ケミカルウォッシュ等の後加工を複合加工し新しい表情感と質感の追求を。
・ファジー&バルキー(Fuzzy & bulky)
シネ調ツイード、軽くぼやけたボリューム感や表情感のあるローゲージニット、ニードルパンチやキルティングでさらに厚みと軽量感がテーマ。
・スマート&コンパクト(天然素材複合) (Smart & compact)
上質原料を使ったベーシックでしなやかな素材群。一見してシンプルでベーシックな定番素材だが機能性や後加工による新しい付加価値を追求した実力素材が拡大。大人の上質感を表現。
・ヴィンテージ・クラフト(Vintage craft)
リッチ感を残し、使い古した風合による着心地の良い古着感覚の素材ストーリー。むら染、ほつれ、シャンブレー、ほぐし等ぼやけた見え方をリメイク。
・ネイチャー化合繊複合 (Nature man made mixed)
化合繊はより天然素材に近い雰囲気へ。ナチュラルなふくらみのあるソフト感、先染や表情感のある糸や、組織変化による凹凸感、ラフな質感など天然素材の要素を入れ、よりナチュラルな表情感へ。
・ヴィジュアル・オーナメント(Visual ornament)
ロマンティックでデコラティブな素材群。ヴィクトリアン調のタペストリーなクラシカル素材からボヘミアン調の光沢や半透明感を持つ柔らかなカットジャガードやレースなど新しい意匠効果で表現。
・ラグジュアリー・ニット(Luxury knit)
多色ジャガード、編地変化による表情感。シャーリングやタックテクニックによるふくらみ表現、光沢感など海外生産にはできにくい差別化されたニットのリカバリー。
FASHION THEME
LADIES'
今回のファッション・テーマを次の4つの感覚で表した。
・NOBLE AURA(ノーブル・オーラ)
エレガントを、もっと身近に感じる上質な日常着が登場。気品に溢れたクラシカルな装いをシンプルにリ・ワーク。
きたんとした仕立てやフォーマルな素材がベーシックをクラス・アップしてくれる。
・HAZY SMILE(ヘイジィー・スマイル)
おとぎ話の妖精が都会に迷い込んだら・・・そんなイマジネーションが広がる幻想的なスタイル。
甘さの中に人目を引く奇抜なボリューム感を秘かに忍ばせて、少し毒のあるロマンチックが今の気分。
・NEO HERITAGE(ネオ・ヘリテージ)
肌に馴染む古着の着やすさとトラディショナルな意匠を融合したカントリー調のコーディネート。
洗練された大人の休日を、秋の森を思わせるスモーキーな色合いで描いていく。
・RADICAL BEAT(ラディカル・ビート)
ストリートから発信された活動的なパワフル・レイヤード。年齢にとらわれず、柔軟な感性で様々な情報をミキシング、ハッピーな自分らしさを表現。実用的な素材を使い、ユニセックスに着こなす。

ジャパン・テキスタイル・コンテスト
Bishu Textile ExhibitionでJTC主催のユーロ・テキスタイル・ビジョンとコンテスト2002の事業の中から、
・「2004春夏ネリーロディトレンド」のセミナーとパネルの一部
・「コンテスト2002優秀作品」について、審査講評と入賞者等(参照 JTC)

○2004年春夏 ネリーロディトレンドセミナーとパネル展
(セミナーレジュメ等よりの抜粋

総 論
我々を快楽主義に導く、多様な感受性をめざすと同時に、一定程度の自由が認められます。
自由放任ではないが、ある程度たずなを緩めます。
形式主義、硬直性を廃し、よりノンチャランとしたライフスタイルを目指します。
これは、ウエアの着方、ファッションの主要素材にも見られる社会的姿勢です。
素材、テキスタイルは、より柔軟な軽やかな方向に変化しています。
素材に関する手掛かりは消えています。
ウール、コットン、リネンなど… これらの素材は、かつては極めて体系化され、特殊なノウハウに腐心していました。
現在では、様々な素材が相互に影響しあい、技術の交換がふえ、それぞれの素材を豊かにし、進化させています。
混紡が大きな展開を見せた後、重視されている由は外観、手触り(多様な感受性という概念が見られるのはここです)です。4つのテーマ
総論での、多様な感受性という考え方を説明するために、つぎの4つのテーマが提案された。
(1)GLEAN&MINIMAL(クリーン、ミニマル)
<キーワード>
一般的に言って、薄手の素材を使用し、コットン・ルックが欠かせない。
各種のウールやウールの混紡でも、より爽やかで、モダンなこのコットン・ルックを追求すること。
このテーマの中で、完璧さ、コンテンポラリー・デザインにインスパイヤーされたクリーンなスタイルを追求。
追求するのはフェイク・シンプル。それゆえに、テクニックとシンプルさの絶妙のバランスが必要。微妙な外観とミックス。
極細の糸を追求。
ウール以外では、主役となる素材は、シルケット加工コットンのほか、マイクロファイバー、シルク、ビスコース、エラスタンとの混紡。
・強撚コットン コットン混紡 白っぽさ スムーズな表面 幾何模様のジャカード
ウィンドーペーン・チェック ダブル シャツ・ストライプ
(2)WASHED & HAZY (洗いざらし、ぼやけた印象)
<キーワード>
今シーズンのもう1つの大きなトレンドは、ウール系とリネン系の素材に対するカジュアルウエアの影響である。
カジュアルウエア素材、ヤング素材に通常採用するあらゆる処理と外観を、よりソフィスティケートされたシティ色の強い製品に合わせて展開。
使い古し、色落ち、洗いざらしの表面、仕上げ。
すべての無地素材を加工し、時には粗く処理し、目新しい外観を実現。
このテーマの基本素材は、ウール、リネン、コットン、合成繊維との混紡。
不規則な染めを実現。
・カラー 中間色、色落ちしたカラー、
ブルー・ピンク・グリーンを中心に2段階のトーンで処理
・砂風 ぼやけ効果 重ね染め 色あせ グラデーション パウダリー効果
ミスティ・コーティング スペシャル・デニム フォギー・ニット
(3)RUSTlC & VEGETAL(ラスティック、植物)
<キーワード>
天然繊維の外観と手作りのエスプリがインスピレーションの源泉。リネン、ウール、大麻、イラクサ、バンブー、コットンがメインの素材。合成繊維やエラスタンとの混紡によりモダンさを出す。
編み目、籐張りなど、織り方を見せる。
糸は、太いファンシー・ヤーン、スラブ・ヤーン、スペースダイ糸など。
凹凸効果、不規則な表面を重視。
・カラー
ダーク系カラー:太陽の光で乾いたつる植物のカラー、モス・グリーン、ウッド・カラー、樹皮カラー、植物カラーのレンジ。
チェック、ストライプにアクセントをつけるために、このカラー・レンジに、より暖かいカラー、派手目のカラーを添える。
・ざらざらしたドライな感じ ウールとリネンの間 スラブヤーン サマーツィード
ラスティックなボイル地 樹皮 ジャングル スペースダイ素材
チェック、ストライプ バスケット織り
(4)FLUID & SHINE(流動性、輝き)
このテーマのインスピレーションの源泉は水。まるで液体のような流動性と軽やかさを追求。
触覚と視覚が一義的な非常に官能的テーマ。
感覚で遊ぼう。
表面のインスピレーションの源泉も、やはり、水、海洋、水滴、海流。
ウール、ビスコース、レーヨン、リヨセル、マイクロファイバー、エラスタンを中心に展開するテーマ。
コーティング、ステッチについては、このテーマが非常に重要になる。
・サテン ソフトな流動性 魚の皮 レインボーカラー ウェットな光沢 泡のような水泡 パール光沢 波動

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テキスタイルという長い旅の明日 ―未来を生みだす〈JAPAN TEXTILE CONTEST 2002〉によせて―

ファッション産業人材育成機構 専務理事 恵美和昭

1.コンテストのリニューアルにあたって
コンテストの企画趣旨として、下記の要件を明確にした。
(1)わが国テキスタイル産業の国際的優位性確保を目指して、テキスタイル開発力の強化を図る
(2)次代のテキスタイル産業を担う人材の発掘・育成を図る
(3)テキスタイル産業におけるデザイン力、技術力、マーケティング力の総合的強化を促す
(4)世界のテキスタイル・ファッションのトレンド・セッターを目指す

2.ジャパン・テキスタイル・コンテストのコンセプト
テキスタイルは、原料の繊維自体、植物繊維、動物繊維、多種多様な人造繊維、さらにそれらの複合による極めて多様な様相を呈している。さらに紡績、撚糸、織布、染色、整理など、加工段階で多様な技術や技能によって付加価値が累積されていく。テキスタイルは、原料となる繊維の特性と企画・生産段階における創造性、高度な専門性を具えた技術・技能が総合的に集積された果実であり、それぞれ異なった物性と官能性能を具えた多様で高付加価値を具えた素材なのである。
クリエーションをテキスタイル・デザインとして具現化し、それを高度な生産加工技術と専門化された技能の融合が製品化していく。出来上がった製品は、市場ニーズやファッション・トレンドなどの情報集積のもとにマーケティング戦略が立てられ、市場に提案・導入される。またテキスタイルにはアパレル・デザインにインスピレーションをあたえて、ファッション創出を促すインパクトが具わっている。こうした要素が有機的に融合しあい表現される場がジャパン・テキスタイル・コンテストであり、技術開発や市場創出のフロンティアのとなることも期待される。
ジャパン・テキスタイル・コンテストは、アイデア・コンテストではなく、テキスタイル・デザインとして完成度の高いものを要求している。ここでいうテキスタイル・デザインとは、単なる図柄のことではなく、表面効果、風合い、アパレル造形の際の効果など、審美性と物性を含めたトータルのテキスタイル設計を指している。ただし、コンクールの意義は先行性にあり、必ずしも即製品化に結びつくことにはとらわれず、現状では多少の問題点はあっても、展開の可能性や新しい市場創出の可能性を示唆するテキスタイルの応募が期待された。

3.テキスタイルの長い流れ
「テキスタイルという長い旅の明日 あした 」これは審査総評のタイトルとして森山明子が選んだ言葉である。原始時代から人類が手に入れていた生産技術が伝承され、時を経て安土桃山時代には尾州で産 地が形成されて現在に至っているという歴史の長い旅。世界各地の民族の伝統や風俗が伝播して融合しながら、新しいものが生まれてくるという広範な文化の流れ。それがさらに未来に向かって旅立っていこうとしていることが実感される、レベルの高い応募作が集まった。過去から現在へと受け継がれ、さらに未来へ向かって発展しようとするテキスタイルの流れが続いているという審査員全員の実感がこの言葉に凝縮されている。

4.日本のテキスタイルのレベルを示す受賞作
(参照 JTCコーナー)

5.おわりに
テキスタイルの物理的性能は計測できるため客観的評価が可能である。しかしテキスタイルの価値の大きな部分を決める官能的性能は、評価が主観的になることは避けられない。審査の公平性を叫んだところで、完全な公平にはなりえない。そこで審査員はなぜ選び、何をどう評価したかを明確に示すことが必要となる。
ジャパン・テキスタイル・コンテストでは、表彰式に次ぐ公開トークで、応募者、受賞者と審査員がじっくりと話し合う場が設けられた。ここで審査員の選好理由が説明された。ファッションとテキスタイル、テキスタイル・デザインとは何か、日本のテキスタイルの競争力などについて、活発な討議が展開された。これは成功であった。新しいテキスタイルの表現や技術を開発し、業界や市場にインパクト与える活動を行っている者たちによる、こうしたシンポジウムが日本のテキスタイルの明日のために意義があると確信した。
今回のコンテストの大きな成果は、将来を期待できる若者の応募が多かったことである。入賞者7名のうち20歳台が3名、30歳台が3名で、まさに「テキスタイルという長い旅の明日」を期待させる結果となったことは喜ばしい限りである。

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街が変わる、TOKYOが動く、ビジネスが変わる ―2003年のFB業界展望―

繊研新聞社出版局 部長 山崎光弘

2003年を迎えた。衣料・繊維製品の市況は冴えない。ただし、ファッション消費となるとエルメス、カルティエ、ティファニーなど高級ブランド品から、こ洒落た雑貨・インテリアなど都心部を中心に旺盛でフレッシュな需要が話題になっている。
従来型アパレル提案からファッション消費への転換が、03年の大きな課題になりそう。
ファッション消費転換に最も敏感に反応しているのが、新設される巨大商業施設である。
4月25日にグランドオープンが予定される「東京・六本木ヒルズ」をベンチマークに追ってみた。
●注目の六本木ヒルズ
●文化都心をコンセプトに
ワールド、ファイブ・フォックスの2強を猛追するオンワード・・・レディスアパレル
◆商社も動く
市場低迷続き、回復遠し・・・メンズアパレル

(挿入・表1:レディスアパレル業績ランキング、表2:メンズアパレル業績ランキング)

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図で見る21世紀のアパレル消費市場の実態

経営コンサルタント 土田貞夫(前・上武大学教授)

21世紀に入っても依然として先の見えない厳しい不況の中で、消費市場は更に一層の低迷を余儀なくされている。一体、市場はどうなっているのか、長期的にはどのように変化しているのだろうか。その低迷の実態を正しく理解すると同時に、企業経営の生き残りをかけて、そうした消費市場に活路を拓くためにも、今後の市場の動向に対する的確な判断が求められている。アパレル市場の今後の動向を理解するには、まず現在までの長期的推移を知ることが肝要である。そこで、総務省の家計調査報告《資料》に基づいて、平成元年より平成13年(2001)にいたるまでのアパレル消費市場の長期的な市場の動向を図により端的に理解することとしたい。
1.21世紀に入り、伸びている消費と低迷する消費
2.低迷が顕著な衣料関連消費
(1)洋服の動向
(2)シャツ・セーター類の動向 
(3)下着類の動向
(4)衣料雑貨の動向
結 語
21世紀に入って、アパレル消費市場は90年代からの市場低迷を引き継ぎ、全体から見れば依然としてきわめて厳しい状況を示しているが、市場を細分化してみれば、大きく市場を拡大している分野もあることが知られる。これは、アパレル市場に限らず、我が国の消費市場全体の特徴であり、こうした市場の「分化」はすでに1980年代から見られた市場の様変わりの実態である。こうした消費市場の実態をふまえて、様変わりした市場にどのように対処すべきか、どこに活路を見出すべきか、またどのようにしてそうした市場ターゲットをつかむか、が業界に提起された戦略的課題であると言えよう。
《資料:総務省統計局『家計調査年報』平成13年》

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2002年 秋冬の売筋アイテムと素材

テキスタイル・プランニング・ハンダ 半田 浩也

1 総論
2002年春の立上りは、ボヘミアンなどの強力なトレンドが有り、順調 なすべりだしであったが、それも夏ぐらい迄で、秋には完全に消えてしまった。ブランドによっては、ヨーロピアンフォークを前面にうちだし、対応したところもあったが、結果は売上げにつながらず冬にはベーシックアイテム一辺倒の売場になってしまった。冬シーズンは重衣料がアイテムの中心になることもあり、例 年ベーシックにならざるを得ない、と云う事情もあるが、それにしても昨年の冬は、目新しい提案が無く、実績一辺倒の色、素材、デザインが売場を埋めつくす形になってしまった。特にコートは全く変りばえが無く、ほとんど前年と同じものが並べられた、と云っても過言ではないくらい変化に乏しかった。その結果、昨年の秋冬商戦は前年を下まわり、ほとんどの小売が売上げを落した。
不況と云われる現在、社会的、経済的な事情も当然あるが、それ以上に新しい提案が無く、新鮮味に乏しい品揃えをした業界側の姿勢にも大きな問題があると考えられる。
SPA型のブランドがその売上げをどんどん縮小して来ている内で、プロダクトアウト型のブランドが提案した商品が効率の良い売上げを見せ始めるなど、消費者の要望にも変化が見え始めている。ファッション衣料は提案が無ければ成立たない、と云う原点をもう一度確認する必要がある。そんなシーズンであった。

2 2002年秋冬の売筋
9月から10月前半にかけては気温が高く、商品の動きは鈍かった。特に期待されていた、ジャケットの売行きが悪く、売上げを落した。唯一売れたのはラビットファー付デニム地のジャケット。比較的健闘したアイテムはボトムスで、スカートを中心に動きがあった。薄手平ツイードの裾切替へのスカートなどが良かった。ストレッチフラノのラップスカートなどにも動きがあった。売筋の中心は、カットソーやニットで、ウールや綿の天竺のシャーリングデイテールTシャツ、アクリル、モヘアーのノースリーブケーブル編ニット、布帛とニットの使い合わせのニットなどが人気となった。
本格的に秋冬商品が動き出したのは10月20日以降からであった。売筋にジャケットが浮上して来た。ウール、アンゴラ、カシミヤなどのビーバー、ツイードのテーラージャケット、Pジャケット、ポリエステルタフタの薄中わたジャケットなどに動きがあった。
スカートではマーメイドフレアーが売筋の中心となり、ツイード、フラノが健闘した。
前年に続いて、ウールのチェックのスカートも健闘した。パンツはデニム、細コーデュロイ、別珍などで人気となったが、予想した程ではなかった。ニットではウールリブ編のVネックニット、天竺編のツインセットが良かった。11月中頃からコートが本格的に動きだした。予想された通り、中わたやダウンキルトの非ウールコートが健闘したが、ウールのコートにも動きはあった。アンゴラやカシミヤのビーバー、モッサーのラップロングコート、65cm丈のショートコート、スタンドネックコートなどが良かった。本格的気温の低下と共に活発な動きを見せたのが、厚手ツイードのスカートである。コートの丈が短くなったために防寒性の高い厚手のスカートが良く売れた。ツイードは予想以上に健闘したと云える。シーズン後半になって人気となったのはロービングツイード、リングツイード、ループツイードなどで段々とフェミニンなツイードに移行して来たのが特徴となっている。ニットはコースゲージ中心の動きでベビーアルパカ、モヘアー混、カシミヤ混などの編地組合わせニット、ボタンアップネックニットなどが人気となった。杢糸やスラブヤーンを使ってのファンシーヤーンニットも良かった。11月は総じて売上げを伸ばした。一方12月に入ってからは売場がコート一色に品揃えされ同質化された非ウールコートに翳りが見え始めた。
シーズン当初期待された、獣毛混コーデュロイや別珍は売上げに貢献するところまでゆかなかった。スエードも秋口に盛り上がった程度で一過性に終わった。総じて見れば、ツイードを中心にウールは予想以上の健闘をしたシーズンだったと云えると思う。
3 アイテムと売筋素材
(1) コート
☆ショートコート
☆ロングコート
☆薄中わた、ダウンコート
(2) ジャケット
☆ファー付Gジャン
☆テーラージャケット
☆Pジャケット
☆ダウンジャケット
(3) スカート
☆エスカルゴ切替えスカート
☆マーメイドフレアースカート
☆チェックスカート
☆ファンシーツイードスカート
☆後加工素材のスカート
(4) パンツ
当初売筋アイテムと見られていたパンツであったが、期待通りには行かなかった。安定していたのはデニムのヴィンテージ仕上のパンツぐらいのもので、別珍、コーデュロイ使いのものは期待はずれに終わった。
(5) ニット・アンド・カットソー
☆シャーリングTシャツ
☆ケーブル編ニット
☆ファンシーヤーンニット
☆異素材使いニット
☆ラグジュアリーニット
4 2003年秋冬につながる素材
期待される素材としては次の様なものがある。
☆綿複合素材、綿とウールの交織のデニム、ヒッコリー、メンズ調ストライプ、ツイードなどがある。特にメンズ調ストライプに期待がもたれる。
☆獣毛混別珍、今シーズンは本格的展開にしたいものの一ツである。昨年取上げたブランドでは消化率No.1の素材であった。
☆シルク複合、特に秋口から初冬にかけて、シルクの先染、シルクとウールのストライプウーステッドが期待される。ポイントはシルクの光沢を活かすこと。
☆ツイード、最も期待される素材の代表である。前半は薄手平ツイード、後半は中肉、厚手ツイード、紡毛糸よりは梳毛ロービングヤーンに期待が持たれる。マイクロループやリングヤーンとの交織、杢毛使いなど、フェミニンな感覚のツイードが良い。更にカルゼ、ウィップコードなどレリーフ効果のあるツイードも新 鮮である。チェックを作るのであればそれらを下地にすることが望ましい。
☆コート地、獣毛混は継続、カシミアがひさびさに浮上しそうである。ビーバー、モッサーの定番以外にレリーフ効果のあるウィップコード、ヘリンボンなどに期待が持てる。獣毛混のツイードのコートにも注目したい。
☆後加工素材、定積素材に後加工を施して、トレンド性を持たした素材が人気となっている。代表的なものは、ツイードにプリント、フロッキー、エンブロイダリー加工である。新しく、ウールレースをニードルパンチしたものなども登場して来た。ポイントは出来るだけメンズ調のツイードにフェミニンなモチーフを後加工することである。

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04年春夏エクスポフィル報告

繊研新聞社 編集部記者 若狭 純子

2002年12月5日、パリの糸見本市・エクスポフィルは04年春夏展を終えた。1979年に15社の参加で始まった同見本市にとって48回目。日本の6社を含む168の企業が出展、総来場者数は5257人(前年同期比9.8%減)だった。

世界の桧舞台
日本など欧州域外に出展の枠を広げて2年。衣料市場の低迷やファッション・トレンドの不在、ますます拍車がかかる短納期化など、生産設備を抱える川上企業に圧し掛かる厳しい現実の中で、欧州を代表する見本市の一つに数えられるエクスポフィルは、今回、特別な試みを発表した。
それが、ジャパン・テキスタイル・コンテスト(JTC)との連携による、優秀な作品群の展示である。これは、「一宮を中心とする日本の独自な創造性が、新しいノウハウを欧州に与える」(ダミエン・レスティエン・エクスポフィル会長)との高い評価を示したもの。その言葉だけに終わらない敬意を示すかのように、30ほどのJTC作品が飾られたのは、「ヌーボー・ルガール(新しい視点)」と銘打った空間だ。これは、同見本市全体の10%を占める情報コーナー(フォーラム)の中でも、「素材とのゲーム、ひらめき、そしてアイデアの玉手箱」と位置づけられ、アートと呼べそうなほどに独創的な多様な「素材」を取り上げてきた場所。必ずしも繊維の枠に収まる素材・原料という意味ではなく、新しい物作りのヒントになるような音楽や料理、だまし絵といったことを発表してきた実績がある。来場者の関心を引く目玉になる、この会場内でも核になる場所の一つを、エクスポフィルは今回、JTC作品に割り当てたのだ。
日本からやってきたJTC作品は、その名の通り、テキスタイルであり、糸の商談の場にやってくる来場者の多くにとっては、同業者の仕事を見ることになる。糸に関する新しい情報の発信を掲げるエクスポフィルが、糸そのものよりも、生地を通して、日本の技術蓄積の様子や現在進行形で進んでいる今の物作りにスポットライトを当てて、紹介した格好である。

日本へのエール
これは、文句無しに、「大きな成功」(フィリップ・パスケ事務局長)を収めた。並んだ作品のほとんどは、華美に人目を引くような類の物ではなかったのにもかかわらず、足を止めて見入る人々が後を絶たなかった。アパレルメーカーやデザイナーもそうだが、とりわけ、生地の出来栄えから設計、糸の構成などまで、織・編物業者が熱心に議論する姿が目立った。感嘆の声を挙げる者あり。記者(若狭)に質問をぶつけてくる者あり…。中には、頭を突き合わせて、作り方の解明を試み、周りに教えてあげる人もいたが、いずれにしても、欧州で生業を同じくする人たちが日本の物作りに驚いたのは確かである。「こんなに美しい物が、日本では作れるのか…」といった声も多く聞かれ、「来場者の関心は高かった。今後も続けていきたい」(フィリップ・パスケ事務局長)と締めくくられたほどだ。
逆から見ると、それだけ、日本が知られていない、とも言える。そこが、エクスポフィルにとっても、ねらい目だった訳だ。いち早く、欧州以外に門戸を開放、真の国際化を目指した同見本市だが、単純に出展企業を増やす、という方針ではない。”質と創造性”によるハードルの高さを強調する中で、一定以上の水準をクリアした商品・情報が集る見本市として生き残る構え。当然、その強い意志と、毎シーズンを彩る方向性を打ち出すために用意する、さまざまなフォーラムにも、貫かなければならない理念でもある。
その場で、今回、テーマに据えた”日本”は、世界的に見比べても、「欧州との共通点が多い」(フィリップ・パスケ事務局長)ところ。伝統的な繊維産地を多数抱え、産業として成り立ち、繁栄した歴史を持つ一方で、生産コストの低い国々からの容赦ない追い上げに苦しむ構造が、それだ。安価な製品輸入の浸透につれて、”消費市場”だけが浮き上がり、物作りの現場が消えていく。例え、それが、他の地域への生産拠点の移行であったにしても、糸や織・編物という繊維 製品の材料になる商品は、自国で作り、自国で売ることはできない。販売先を広げるにも、値段では、もはや勝負にならない国々との競合が待っている。
こうした状況下で、欧州も、日本も、進むべき道は一緒。伝統に裏打ちされた技術の革新によって、より創造的な物作りを打ち出していくこと。そんな考え方が、エクスポフィルの主催者側にはある、と見て良いだろう。だからこそ、まだ多くは知られていない、遠くて近い国・日本に眠る伝統の物作りと最新技術の紹介を試みたのである。互いに、上質で、創造的。世界の頂点にある者同士として、見習うべきものがあり、好敵手として磨き合える技がある。ただの競合者に終わらず、刺激を与え合える関係を前提とした、新しい交流の形を目指した提案でもあるだろう。
糸の商売のスタートラインである国際的な見本市。ここで、日本人が気づけないでいるかも知れない、日本への大きなエールが送られたことを報告したい。

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オープンソース共同開発方式による織物内部構造シミュレーションソフトの高度化

愛知県産業技術研究所尾張繊維技術センター 開発技術室 太田 幸一 池口 達治

「織物素材変形シミュレーションソフト」の開発を目標に、「織物内部構造シミュレーションソフト」に織物が変形した時に想定される糸の太さ変化や密度変化に対応した表現を行う機能を開発し追加した。この結果、異番手使いの織物や複雑な筬引き込みの織物についても組織図を入力するだけで織物の立体構造を容易に確認することが可能となった。また、シミュレーションソフトの開発効率を向上させるため、オープンソース方式によるシミュレーションソフト共同開発用Webサイトの構築を行った。

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次世代ポリエステル繊維の染色加工技術

愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター 加工技術室 浅井弘義、吉村 裕

 PTT(ポリトリメチレンテレフタレート)及びPLA(ポリ乳酸)繊維の染色性、染色堅牢度及び仕上りにおける物性変化などについて検討した。
PTTの染色は淡中色で100℃、濃色で110℃の温度で染色でき、特に毛との混紡品をノンキャリヤーで染色できる。PTTの特長であるストレッチ性はヒートセット条件を選択することにより目標の性能に仕上げることが可能である。染色堅牢度はPET(ポリエチレンテレフタレート)と同等程度の性能が得られる。
PLAは高温及びアルカリ側で加水分解されやすく、強度低下が起きる。このため、染色は酸性側が適しており、分散染料を用いて100~110℃、60分以内で行い、再染色は強度の面から見て困難である。染料の吸尽率は染料によってかなり違いがあり、染料濃度(1.5~2%以上)が高くなると吸尽率は低下する。このため、配合染色による色合わせが難しく、また染色したPLAの色相は、PETに比べて短波長側にずれる性質がある。染色堅牢度は乾摩擦が弱いことが分かった。PLAは染色加工による熱によって硬くなるため、特にヒートセット温度は130℃以下、できればより低い温度が望ましい。

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ウールウォッシャブルスーツ企画設計のシステム化

愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター 応用技術室 板津敏彦、大津吉秋

水洗い可能なウールスーツの企画設計のシステム化について研究した結果、次の成果を得た。(1)水洗い対応織物の物性解析、ウールウォッシャブルスーツの試作結果から、繊維間を接合する樹脂加工織物使用の場合は家庭洗濯可能なスーツの製品化が可能となった。(2)水洗いに適した縫製副資材の評価等を行い、縫製副資材の水洗い適性に関して形態安定性、水はけの評価方法等を明らかにした。(3)水洗いに適した縫製方法として、縫目スリップ防止、ほつれ防止を検討し、縫目破断強度、伸びを評価することで、ウォッシャブル対応に効果的な縫目形式を明らかにした。以上の結果と試作縫製品の洗濯試験結果、各種縫製技術情報を取りまとめ、ウールウォッシャブル標準縫製仕様を設定した。

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素材の複合形態による織物の開発と筋・段との関係解析

愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター 開発技術室 大野 博、太田幸一

 本研究では、高質感のある表面変化織物の開発を目指し、新しい触感素材としての複合糸や強撚糸及び伸縮糸について、糸物性と織物の緯筋・段との関係を解析し、その防止技術について研究した。
素材、糸形状、撚形態及び織物組織を変化させた種々の織物を試織して、織物の表面及び断面形状の実体顕微鏡観察を行い、素材の複合形態に伴う糸物性変化や織物の経糸・緯糸曲がり構造変化を検討し、緯筋・段との関係を導いた。紡績糸とフィラメント糸の交織織物やFTY糸使いの変化斜紋織組織で緯筋・段が発生しやすいことが分かり、経・緯糸の張力バランスがポイントとなることを確認した。特に、変化斜紋織組織中の浮き組織変化と筬引込数が大きく影響しており、微妙な張力変化と緯糸間隔の変化を生じさせることを明らかにした。
これらのことから、素材の複合形態に伴い、経・緯糸張力に微妙な変動が生じやすくなり、緯筋・段を発生しやすくさせることが分かり、糸物性や織物の経・緯曲がり構造変化を考慮して適正な経・緯糸張力を制御することで緯筋・段を防止することができ、複合交織による高質感のある表面変化織物が可能と推察できた。

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高機能ハイブリッド構造織物の開発と快適性評価技術(その1)

愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター 古田正明 服部安紀 板津敏彦 都筑秀典

模紗織の通気性・透湿性、平織の遮蔽性を兼ね備えたハイブリッド構造の夏向織物をつくるため、昨年度はその構造や規格を検討して、ハイブリッド構造織物を試作するとともに性能との関係を解析した。そして、本年度は吸汗・吸湿性等に優れた異素材を組み合わせて快適性を向上させることを試みた。糸の複合方法、組織、接結方法、密度等が快適性に及ぼす影響について研究した結果、通気性、遮蔽性、遮熱性、吸汗性等に優れた織物が得られた。なお、(その2)で報告するように、夏向衣料素材の快適性を評価する新しい試験法として外部光や風の影響を加味しながら遮熱性、熱・水分移動特性を測定する方法についても検討した。

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環境対応型染色加工技術に関する研究 -中性プロテアーゼによる綿の精練-

愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター 応用技術室 三輪幸弘  加工技術室 加藤一徳、浅井弘義

従来の染色加工技術に対し、化学薬品を天然(生体)由来物質に置き換えた、環境対応型の染色加工技術について検討した。その結果、綿糸について、中性プロテアーゼによる酵素精練・中性漂白法で処理したところ、従来のアルカリ精練・アルカリ漂白法に比べ、白色度や綿かすの除去性はやや劣るが、吸水性や染色性は実用的に十分であり、手触り感は良好であることを確認した。また、綿/ケナフ混紡糸についても、中性プロテアーゼと中性セルラーゼの併用による酵素精練・中性漂白法が可能であることを確認した。

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高度快適素材の開発に関する研究 -加工技術利用による開発設計-

愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター 応用技術室  山田 圭、板津敏彦

 婦人向け冬物衣料の快適素材として、スパッタリング、ボンディング等の加工技術を利用し、軽量さと保温性という相反する性能を兼ね備えた織物の開発を試みた。その結果、婦人向け外衣用素材としてこれらの性能を有するとともに、意匠性にも優れた織物が得られた。

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天然高分子系フィラメントの多機能化に関する研究

愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター 加工技術室 加藤一徳 上原政美 森 彬子

羊毛ケラチンタンパク質とポリビニルアルコール(PVA)の混合水溶液から湿式紡糸法によって得られる天然高分子系フィラメントを機能化するために、オイゲノールおよび銀系抗菌剤を練り込み式紡糸により繊維内部に固定化した。そして、抗菌剤の固定化による繊維物性への影響を調べるとともに、抗菌剤の徐放性を調べた。その結果、オイゲノールおよび銀系抗菌剤ともに1から3%程度の含有濃度において、繊維の強度低下は認められなかった。また、繊維からのオイゲノール放出は比較的速く進行し、1時間以内で放出が完了するものの、銀系抗菌剤は24時間以上経過しても繊維からの放出が認められた。また、黄色ブドウ球菌を用いた抗菌試験において、オイゲノール、銀系抗菌剤を固定化した繊維は、ブランク繊維と比較して著しい抗菌性を示した。

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ネットワークを応用した繊維技術の継承手法に関する研究 -製織技術情報のデータベース化-

愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター 開発技術室 都筑秀典、柴田善孝、宮路千乃

 製織技術の継承を円滑に行うために、平成12年度に開発したデータベースシステムを用い、コンピュータネットワーク技術を応用したマルチメディアデータベースを構築し、次の成果が得られた。
ア.糸から織物を作るまでの技術について、文書、静止画(図・写真)、および動画をデジタル化し、214項目(動画154種類)をデータベース化した。
イ.各種織物の用語や特殊な織物の製織方法などの織物情報として995項目登録した。
ウ.インターネット上で検索・表示が容易に行うことができるホームページ「織布技術の達人」
(http://tech.owaritex.jp)を開設した。

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天然物の機能開発に関する研究 ―繊維染色加工用リポソームの利用技術―

愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター 加工技術室   北野道雄、山本周治

最近の繊維加工の特徴としては、健康で快適な生活を望む消費者の志向に対応した機能性加工があげられる。21世紀の課題として、環境に優しい材料や加工物質の開発についての努力が強く求められている。一方、食品や医薬品、化粧品分野においても天然系の物質の有効利用が地球環境を維持する上で不可欠であろう。このため、当センターにおいても数年前から繊維加工への酵素利用や天然物のみによる繊維加工に関する研究に取り組んできた。ここでは、脂質やその類似化合物をベシクルとして用いることにより、各種繊維の染色加工を効果的に行う技術を研究するとともに、染色加工した繊維の持つ機能についても明らかにした。この結果、脂質や類似化合物のベシクルを利用することにより、従来の染色加工をより効率的に行うことが可能となることが判明した。

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PCR法による羊毛とカシミヤの鑑別

愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター 応用技術室 福田ゆか 橋村靖彦 坂川 登

 現在、実用化されている獣毛の鑑別方法としては、熟練者の光学顕微鏡を用いた外観観察により行われている。そこで、本研究では遺伝子技術の一つであるPCR法を用い、それぞれのDNAの特異的な部分を分析することにより、羊毛とカシミヤを鑑別する手法を研究した。その結果、PCR法を用いて羊毛とカシミヤにそれぞれ特異的な部分のDNAを増幅することにより、羊毛とカシミヤの鑑別が可能であることが分かった。また、製品でも鑑別が可能であることから、この方法が実用的なものであることが示唆された。

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高機能ハイブリッド構造織物の開発と快適性評価技術(その2)

愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター 板津敏彦 古田正明 服部安紀 都筑秀典

ここでは、夏向け衣料素材の快適性を評価する新しい試験法として日射、風、外気温等の影響を加味しながら遮熱性、熱・水分移動特性を評価する方法について検討した内容を述べる。これらはそれぞれ別の要素だが、真夏に衣服が日光の直射を受けた場合、外気の状態、素材原料や色などによってどのような影響があるのかを明らかにするため、保温性評価試験機(KES-F7 サーモラボ型)を使用し、そのBT熱板(Bottom Temperature Box:熱源板)を一定温度(36℃)に維持するために必要な熱損失量の大きさで各種素材を比較し評価する手法について検討した。
1 日射時の衣服の熱特性測定
2 各種素材の遮熱性評価
3 複合環境下での熱損失測定による各種素材の熱・水分移動特性評価方法の検討
4 開発素材の評価結果

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環境調和を目指した繊維加工への酵素利用技術

大阪府立大学大学院工学研究科機能物質科学分野 教授 高岸 徹

 20世紀は高温・高圧型技術の時代といわれた。21世紀は常温・常圧型技術の時代といわれている。世の中の 流れは、エコロジーをふまえた人と地球の共生の時代に入った。PRTR(汚染物質排出移動登録)法が施行され、環境を考慮することなしに物作りができない時代になってきている。エコフレンドリー繊維、エコフレンドリー繊維加工がヨーロッパを中心に萌芽し、その流れは我が国にも浸透してきている。21世紀はエコフレンドリー繊維加工の幕開けになることは間違いない。
政府では「国家産業技術戦略」が策定され、繊維産業技術開発の目標が設定された。その中の4つの柱の1つとして、「環境と調和した循環型経済社会の構築」がある。そこでは、1)廃棄物ゼロと経済成長とを両立する経済社会の実現、2)有害化学物質のリスクを低減・管理する社会の実現がうたわれている。1)では、リサイクル、リデュース(リプレイス)、リユースいわゆる3Rが、2)ではいろいろの方法がテクノロジーとクリエーションの立場から提案され、とくにハロゲンフリープロセスの確立が要請されている。染色加工においては、とくに多量のエネルギー、水、化学薬品を使用している。この分野の宿命といってよい。繊維加工は多岐にわたっており、系統的にまとめることは難しいが、ここではリデュース(リプレイス)について、加工媒体を切り口にして、その可能性をまとめた。
近未来に実現可能なアプローチとして、技術的完成度、効果、コスト、汎用性、応用範囲、装置など諸条件を考慮すると、酵素利用技術が最右翼でターゲットになるのではないかと考えられる。エコフレンドリー繊維加工の大きな流れとして合成化学物質の代わりに天然(生体)由来物質(naturally‐ occurring material)の利用が考えられており、20世紀後半はその模索の時代であったが、その方向はほぼ定まったように思われる。バイオテクノロジー技術の応用であり、その意味でも酵素の役割は大きい。

おわりに

 我が国の繊維産業は中国をはじめとする諸外国からの攻勢によって窮地に立たされている。しかし日本の高い技術力はゆるぎないものであり、他では真似のできない、エコロジーにかなった高品質の製品作りは、日本の生き残る一つの道であり、酵素利用技術も大いに活用できるものと思われる。実際に、綿ニットの酵素精練は実用化に入っており、人と地球にやさしい、風合いのよい製品が上市されはじめている。多方面への酵素利用のさらなる展開を進めたい。
先にも述べたように、バイオテクノロジーの技術によって、高い活性をもつ酵素が得られるようになってきた。価格面でも排水処理コストを含めると、トータルコストでは従来の方法と変わらないところまできている。酵素利用には製造者の積極的な取り組みと同時に、消費者の衣料品に対するエコロジーをふまえた意識改革が必要になるだろう。徐々に高まりつつあるが食品に比べるとその意識はまだまだ低いように思われる。コットン・エコプロセシング研究会は、昨年12月に東京ビッグサイトで開催されたエコプロダクツ2001[産業環境管理協会、日本経済新聞社主催]にも出展し、酵素利用を積極的にPRしている。

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捩り織物について

県産業技術研究所尾張繊維技術センター 開発技術室 柴田 善孝

織物の基本組織には平織、綾織,朱子織がありこれを三原組織とよんでいる。この基本組織を基に色々な手法によって変化させたり、組み合わせたりして種々の変化組織が誘導されている。これらの組織の経糸は互いに平行して織り込まれ、隣り合った経糸と交差することはない。これに対し紗織や絽織は隣り合った経糸が互いに交差しながら緯糸を織り込んで織物が構成されている。このように経糸が捩り合った織物は、基本的な組織や変化組織を織るような綜絖では織ることはできないが、特殊なカラミ綜絖を使用することによって普通の織機(力織機)で製織することができる。しかし、このカラミ綜絖をもってしても製織できない捩り織物に羅織がある。羅織は紗織や絽織のように隣り合った経糸が交差しながら、更にその隣の経糸とも交差して織られている織物である。この羅織は振綜(ふるえ)と呼ばれる特殊な綜絖(糸綜絖)を使うことによって製織可能であるが、普通織機(力織機)では製織不可能で、もっぱら手織り機によって織られている。ここでは、この捩り織物(紗織・絽織・羅織)を中心に、その製織方法などについて解説する。

まとめ

 以上、捩り織物(紗織、絽織、羅織)について述べてきたが、紗織や絽織は一般的にカラミ織物としてよく知られているが、羅織については文献にはよく出ていても、その製織法について書かれた文献はほとんどなく、どのようにして経糸を捩らせ製織するものかあまり知られていない。今回、京都の川島織物株式会社のご協力により、羅織の製織法について指導していただく機会があり、経糸の引き通し方法、振綜の使い方、文様の作り方等について知ることができました。羅織は一般的な織物の製織に使われている織機(力織機)では織ることはできず、もっぱら手織り機によらなければならないため、その生産性は非常に悪いが、呉服関係では夏用の生地として人気のある織物である。今後織物を生産して行く上で何かの参考になれば幸いです。
今回ご指導頂きました川島織物株式会社の草崎明様はじめ楳垣典康様、徳倉修様には貴重な資料をいだき感謝いたします。
なお、紗織や絽織のカラミ織物のについては概略を述べただけで、製織方法の詳細については、前述した本誌Vol.17、No.1の研究報告「特殊カラミ装置の開発」を参照してください

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天然物の機能性繊維への応用

愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター 加工技術室 北野道雄

 最近の繊維加工の特徴としては、健康で快適な生活を望む消費者の志向に対応した機能性加工があげられる。21世紀の課題として、環境に優しい材料や加工物質の開発についての努力が強く求められている。一方、食品や医薬品、化粧品分野においても天然系の物質の有効利用が地球環境を維持する上で不可欠であろう。このため、当センターにおいても10年程前から繊維加工への酵素利用や天然物のみによる繊維加工に関する研究に取り組んできた。ここでは、酵素や天然由来物質を用いたバイオテクノロジー関連の研究成果を紹介する。
1.酵素による繊維の改質
2.天然高分子による形状記憶加工
3.天然物による抗菌・防虫加工
4.繊維のスキンケア加工
5.機能性ペプタイドによる繊維加工
6.リポソームによる繊維加工

まとめ

 本稿では、主として天然物あるいは天然由来の加工物質を用いた繊維の機能性加工について紹介した。繊維産業においては、高齢化社会の到来を背景に、健康で快適な生活を目指した新しい素材や加工技術が今後益々重要になるものと考えられる。このため、当センターにおいても、快適な衣生活や住環境の実現を求めて、地球環境に優しく、人にも優しい高機能繊維の開発研究を進めていく所存である。本報告が、繊維の機能性加工の開発研究に少しでも参考になれば幸いである。

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植物由来の生分解性材料であるポリ乳酸の動向

愛知県産業技術研究所尾張繊維技術センター 加工技術室 吉村 裕

はじめに

高分子化学工業の発展は、石油などを原料として、自然界には存在しない化学物質であるプラスチックや合成繊維などを生成して人類の生活を豊かにしてきた。
しかしながら、これらの自然界には存在しない化学物質は、焼却によるダイオキシンの発生などの環境汚染をもたらすことになり、また、長期安定性があるために廃棄物処理は大きな問題となっている。
このため、最近、自然界に異質な物質をもたらすことなく分解する材料である生分解性材料が注目を浴びている。とりわけ、トウモロコシなどの植物のでんぷんを原料とするポリ乳酸は、使用後には微生物などの働きにより炭酸ガスと水に分解するため、汎用プラスチックとしての利用の他、衣料用としても期待がもたれている。
ここでは、次世代の新合成繊維として期待されるポリ乳酸繊維の特徴と今後の可能性について述べる
○生分解性材料とは
○ポリ乳酸

・生成方法
・特徴
・用途
・ポリ乳酸繊維の特徴と染色性
・衣料用への展開
○繊維リサイクル材料としての利用
○おわりに

石油を原料とする合成繊維の代表格であるポリエステルは、我々の生活を豊かにしてきた。しかし、地球環境保護に対する関心が強くなってきた今日では、製品には環境との調和、共生が求められるようになってきた。ポリエステルと綿、毛等の他の繊維との混紡品は、リサイクル、廃棄処分の際に問題となってくる。また、ポリエステルの使用については、石油資源の枯渇問題に対処するためにも、見直しも必要となるのではないかと考えられる。
さらに繊維業界は、消費量に対するリサイクル率が低いことが指摘されているなど環境問題には対応が遅れていることから、繊維業界全体で早急に取り組んでいくことが求められる。
そこで、植物由来の生分解性であるポリ乳酸繊維については、今後、合成繊維の代替材料として繊維業界で注目される素材となるものと考えられる。ポリ乳酸は現在では各種問題があるものの、改良により利用の拡大が期待できることから、特徴を生かした商品づくりを模索していくべきである。

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高齢者の体温調節機能の変化と衣服のありかた

愛知医科大学 医学部 生理学第2講座 研究員 加藤雅子  教 授 菅屋潤壹

はじめに

安全、快適かつ機能的な衣服のありかたを模索するうえで、ヒト・衣服・環境の3つの要因を考慮に入れることは不可欠である(1)。特にヒトの体温調節の側面から衣服のありかたについて検討することは、極端な温度環境、極寒・極暑環境下にある場合には生死を左右する重要な課題となる。着衣行動は生体において主要な行動性体温調節反応のひとつであると同時に、衣服(衣服素材、衣服型、被服面積、着衣方法など)は自律性の体温調節反応にも影響を与えることが多くの研究によって示されており、それらの影響をふまえて、あらゆる環境における快適で安全な衣服がこれまでに提示されてきた。
しかし、加齢によって体温調節機能は変化することから、それにともなった高齢者の衣服の再検討が必要となる。さらにその課題へのとりくみを、体温調節機能の低下から頻発する高齢者の事故性の低・高体温症の多少の改善につなげることは、高齢化が進むわが国の社会にあって大きな意義を持つといえる。
そこで、本編では現在報告のある高齢者の体温調節機能の変化、さらに高齢者と衣服のあり方について報告している主な論文をとりあげ、検討を加えたい。
○体温調節機構について
○高齢者の体温調節機能

・温度受容機能の変化
・自律性体温調節反応の変化
○高齢者の衣服

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最近目に留まる張力に起因するトラブル

愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター 開発技術室 大野  博

はじめに

長引く消費低迷に加え、海外製品との競合が激しさを増す中、新しさを感じさせる素材や快適・健康を意識した素材が、次々と登場し始めてきている。自然な肌触りや清涼感のある天然素材が見直され、新製法の毛羽の少ない綿や毛、紙糸も注目されつつある。交撚、交織等の複合化技術の進展とともに、こうした新しい触感を持つ複合交織織物の開発が進む中、試行錯誤の面から起きる製織上のトラブルもまた増えてきている。特に、収縮性能等の異なるデリケートな糸が多用されるようになってきたことから、取り扱い上の問題で、従来糸では問題になりにくかった微妙な筋や段が発生しやすくなってきている。張力管理が一つの技術ポイントとして大きくクローズアップされるようになり、その重要性は増し始めてきている。
そこで、ここでは最近のクレーム相談から張力に起因すると考えられるトラブル例をいくつか紹介し、デリケートな糸素材を用いる時の張力管理の重要性について、解説してみることとした。
○張力に影響されやすい糸素材
○張力に起因するトラブル
・筋・段
・ニットの緯筋
・織物の緯段
・斜行(経糸張力の影響、3子糸の撚トルク)
○織機の調整に伴う張力変化
・伸縮糸の張力設定
・レピア織機の左右

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抄繊糸(紙糸)は、第三の大型繊維製造法である

王子ファイバー株式会社 取締役 土肥 学

[1]抄繊糸・抄繊糸織物の近代史
[2]世界における日本のファイバー生産事業の現状
[3]紙糸繊維・抄繊糸事業が発展し得なかった主な要因
[4]第三の原糸製造法としての抄繊糸の製造特性の本質
主な既存繊維の製造法
1、第一の原糸製造法としては、綿、ウール等の原料の直接紡績法
2 、第二の原糸製造法は化合繊を中心とした長繊維製造法
紙糸の製造方法
1 、学術的表現としては、「微小短繊維利用紡績法」である。
2 、天然短繊維原料(楮、三椏、マニラ麻等)の性質を有した「フィラメント加工糸」である。
3 、環境型天然原料での抄造技術の活用による、「間接紡績法」である。
4 、間接紡績法であった為、当時の技術力では高コストな生産体制の環境にあった。
以上が、既存繊維と比較した「第三の繊維製造法」と呼ぶ最も重要なポイントである。
[5]抄繊糸の素材面及び、環境面の基本特性
素材特性             
1 、非常に軽い(比重0.5)   2 、毛羽がない   3 、強い繊維である
4 、麻以上に張り腰がある   5 、吸湿、吸水、吸汗性に優れている
6 、さらっとした爽やかな触感  7 、通気性に優れている   8 、夏の衣料としての涼感
9 、冬衣料としての軽さと、保温力 10、他繊維との複合化に最適
11、生活・産業資材に適している

環境特性
1 、マニラ麻(草木類)は、環境型資源      2 、植物の生育が早い
3 、二酸化炭素の吸収に優れている       4 、生分解性繊維である
5 、焼却しても有害物質が発生しない      6 、木材パルプ原料での原糸製造が可能
7 、新しい環境型繊維原料の利用が可能
[6]紙糸繊維/マニラ麻の説明
[7]紙糸製造フローチャート(微小短繊維利用紡績法)
製造工程
1 、パルプ工程   2 、抄紙工程   3 、スリット工程
4 、撚糸工程(乾式撚糸/湿式撚糸、他繊維との複合撚糸、他繊維との精紡交撚糸、その他撚糸)
[8]紙糸(OJO+坪量15g/㎡ スリット幅1.5mm 撚り数550T/M)繊維の性能表

[9]紙糸規格決定の5つの要素
1 、原紙原料   2 、原紙坪量   3 、テープ幅   4 、撚糸
[10]紙糸(OJO+)の工業化の必要性と紙糸生分解性繊維の将来性
天然繊維の、綿、毛、絹、麻、の原糸製造技術は長い歴史の中で大変高度に発達し、品質、品位、数量、コストの全てに於いて、洗練された高性能な繊維に成 長し広く世界の人々に愛用されている。紙糸OJO+は、このように大変高度に成熟した繊維産業の環境の中で、天然原料利用のナチュラルフィラメントファイバー麻のフィラメント加工糸として、今までにないファッションの表現領域を格段に広げ、新しい触感、新しい風合いを世界の人々に提案出来る原糸製造技術である。既存の主要繊維と根本的に異なった第三の間接繊維製造法による原糸であり、日本国内に於いて、大量生産体制を可能にする天然の生分解性繊維生産技術である。

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糸むらの評価法について

愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター 応用技術室 大津吉秋

はじめに

紡績糸のむらは一般に糸断面の太さむらと、単位長さ当たりの重量むらを指すが、糸むらは製織、製編行程や最終製品の品質に及ぼす影響が他の諸性質に比べて大きく、数多くある紡績糸の評価項目の中でも糸むらの占めるウエイトは高い。ここでは、JIS L1095一般紡績糸試験方法に定められている糸むら評価法について概説し、紡績糸の品質レベルの統計データーと、最近の糸むら試験機による織物、ニットのシミュレーション事例について紹介する。

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環境に配慮した繊維製品

サカノ・テクノコンサルタンツ 坂野照夫

地球温暖化防止に向けて各方面で取り組みが進んでいるが、環境を評価する方法として製造から廃棄に至るライフサイクルで考えることが重要。定量的解析法としてライフサイクルインベントリー(LCI)があり、積上げ法が基本となっているがデータ整理が大変な作業になる。産業連関表を利用したデータベースを使用し、繊維製造に要するエネルギー及び炭酸ガス発生量から織物の環境負荷を調べた。マクロ的ではあるが意外な結果が得られ今後の環境負荷低減に資すことが分かった。染色工業は織物製造に占めるウエイトが高く、エネルギー多消費で、温暖化防止のため一層の努力が必要とされる。染色の再現性向上が重要。繊維製品サプライチェーン各分野の連携とコミュニケーションを高め、リサイクルまで見据えた環境設計に取り組むことによって炭酸ガス発生低減化が実現できる。

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尾州産地人材資質向上セミナー報告(4) デザイナーとジャパンテキスタイル

講 師 ファッションデザイナー 田山淳朗氏 コーディネーター コンドウタカシデザイン事務所 代表取締役 近藤隆司氏

 平成14年2月7日にファッションデザインセンターで開催されたセミナーの概要報告
今回は著名なファッションデザイナー田山淳朗氏を迎えて、対談形式で実施されました。

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染色加工高度化セミナー報告(1) 染色整理業の現状の問題点と将来展望

日本染色協会 森本 國宏

はじめに

 21世紀を迎え、多くの産業が昨年来20世紀後半(戦後50年)の日本を支えてきた産業構造の急激な変化への対応を余儀なくされており、新しい世紀での展望について議論がされてきた。我々の繊維産業においても経済産業省(旧通産省)の委嘱を受けて日本化学繊維協会が2015年を着地点とする(分野別国家産業技術戦略―繊維産業)「繊推産業技術戦略の目標設定」を川上から川下までいくつかの分野につきその目標テーマと着地点につき議論を重ねられ、一昨年11月に中間報告、昨年3月に最終答申が出された。さらにこの論議の実践可能性についてその技術面でのデータベース検索が行われその実用化に向けてのシーズ分布の解析が行われた。今回の議論は繊維産業をあらゆる角度からとらえ21世紀の展望を模索されているが、ここにおいても従来の日本型繊維産業の構図である川上主導型の論理展開が随所に見られる。特に1986年のプラザ合意以降の日本繊推産業全体に見られる国内衣料産業での占有率の低下を受けて、非繊維へのシフトが鮮明に打ち出されている。1)土木 2)医療 3)通信 4)輸送 等への用途展開は、細く(薄く)、強く、しなやかの要素を持つ繊維、とりわけ合成繊維での展開は、合繊メーカが得意とする高分子化学の技術を駆使して21世紀の活路を見いだそうとしていることは明白に読みとれる。しかし、繊維の用途で絶対多数を占める衣料品ならびに身の回り品(カーテン、寝装品)についての展開には今一つ迫力を欠く表現であり加工・製造課程の「環境調和」「地球環境保全」の部分と介護商品に限定されているようである。

総 括

 世界市場を席巻した日本の繊維製品は、糸から縫製までの高度の技術と品質管理に於いて1985年までは、その地位を揺るぎ無いまでに高めた。これには、繊維製造から縫製に至る垂直的な関係が希薄な状況下でも競合相手が無い状況ではそれぞれの分業領域で十分にビジネスの展開を可能とした。さらに、そのパワーが繊維産業を取り巻くサポート産業をも活性化させ、本体の更なる進展の原動力となっていた。これらのサポート産業は繊維機械、染料・助剤メーカ、マテハン装置メーカ等であるが今日ではこれらの産業は、繊維分野のみでは事業の存続が困難となっており、他産業へのシフトにより企業の生き残りに賭けている。このことは、繊維産業全体の衰退を早めることにつながってきている。繊維産業の中にあって労働集約型の分野は、今後とも国内に留まることは困難であり、(1)付加価値追求型 (2)環境低負荷型 (3)知識集約(機能追求)型等の分野に活路を見出すことが閉息感打開のベクトルであろう。そのためには、染色整理業が単独でビジネスチャンスを構築することは難しく、垂直連携や水平集約が必然的に求められる事態となりつつある。このためには、この産業が21世紀において魅力有るものに再生するためのモチベーションを官民共同で検討する場を設ける必要がある。現在、経済産 業省を主体に「繊維産業のタスクフォース」が昨年に引き続き全繊維産業を網羅して進められている。(染色に関する意見書は日本染色協会のHP http://www.nissenkyo.or.jp をご覧下さい)

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染色加工高度化セミナー報告(2) バイオテクノロジーで拓く21世紀の繊維

日本化学繊維検査協会 生物試験センター センター長 和田邦身

はじめに

 これまで天然繊維の改良には、優れた品種による伝統的な交配によっていた。しかし、近年遺伝子を操作する技術がめざましく発展し、新しい可能性を持った繊維の誕生が期待できる状況になった。ここではバイオテクノロジーによって期待される新しい繊維について紹介する。
○綿
・害虫抵抗綿
・除草剤抵抗綿
・カラード綿
・その他のトランスジェニック綿
○羊毛
バイオテクノロジーによる羊毛の研究は、オーストラリアとニュージーランドに集中している。技術的には優れた性能を持つクモの遺伝子を導入することも可能で大きな期待が寄せられている。
マイクロインジェクション法という非常に細いガラス製のピペットを使って、外来遺伝子を細胞の核の中に入れる方法がある。この手法を用いた研究によると、羊のインスリン様増殖因子(IGF1)とマウスの超高イオウケラチンプロモーターをリンクし591個の胚にマイクロインジェクションを行った結果、5匹のトランスジェニック羊が誕生し、オス・メス一匹ずつの皮膚にIGF1の発現がみられた。このオスと非トランスジェニック羊のメス43匹と掛け合わせた結果、85匹の子羊が誕生し43匹(50.6%)がトランスジェニック羊であった。満一歳の子羊のフリース重量は、非トランスジェニック羊と比べて平均6.2%増加した。また、オスのトランスジェニック羊はメスのそれよりステープル強度が低く、非トランスジェニック羊では大きな違いはなかった。
また、羊毛が皮膚の中で発生する濾胞の部分に対して、外来遺伝子の形質発現の可能性を探るため、細菌クロラムフェニコールーアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子を用いた研究が行われた。それによると、31匹の子羊が誕生し、4匹がトランスジェニック羊であった。2匹のトランスジェニックとメスの非トランスジェニック羊2匹と掛け合わせ、その子孫に遺伝子が伝達したことが確認された。CAT遺伝子は子羊と掛け合わせた子孫の26匹のうち9匹の皮膚に形質が発現した。in situ ハイブリダイゼーションによると、皮膚に発現した導入遺伝子は羊毛の濾胞の角質領域に限定していることが確認された。
この他、羊毛のタイプ中間径フィラメント(IF)ケラチン遺伝子K2.10を皮質に発現させると、羊毛の微細構造とマクロ構造を変えることができ、羊毛は光沢が増し、クリンプが減少したという研究が報告されている。
○スパイダーシルク

おわりに

 20世紀の天然繊維の利用は化学的な修飾に止まり、限界があった。一方、合成繊維にはその原料である石油の枯渇という問題が浮上した。しかし、近年、急速に進展のみられるバイオテクノロジーによって、これまで夢の繊維であったものが現実となる日が来ると考えられる。21世紀は情報科学や生命科学、材料科学などの異分野の協力の下、新しい力による繊維化学が誕生することを期待したい。

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染色加工高度化セミナー報告(3) 超臨界流体の繊維加工への応用

日阪製作所産機プロジェクト室 室長 小森賢一

超臨界流体とは

超臨界水の水酸化
アルコール系の特徴
溶媒としての二酸化炭素
プロセス技術における課題

プロセスとして二酸化炭素や熱の回収などの複合した全体システムを構築すると共に、安全上の問題や経済的な問題から、各工程を自動制御・自動操作にする必要がある。そして、高圧下での気体、液体、固体の3態の取扱いシステムや高圧力を自由に制御する安全に配慮したプロセス技術が重要な課題である。
そのなかで、繊維加工で研究が進められている二酸化炭素については、臨界条件は比較的緩和であり、取扱い技術は既存の二酸化炭素抽出プロセスでの経験などによって、実用的なレベルに近い。そこで、繊維加工に対する装置の設計上の技術的な課題について、以下にあげる。
・二酸化炭素の注入圧の自在コントロール
・循環ポンプの大型化
・染料溶解の最適化
・被処理物の形態保持の最適化
・蓋のシールと蓋開閉の自動化
・加熱、伝熱手段の最適化
・圧力解法手段の最適化
・洗浄手段の最適化
・回収手段の最適化
しかし、超臨界水の取扱い技術は簡単でない。その第一は装置材質問題である。SUS等の鉄べースの金属素材は、超臨界水で特に塩素などが共存すると腐食が激しく、利用可能性がかなり狭められる。Ni系合金などの高価な素材も万能でない。不動態処理、セラミックスの利用なども含めた抜本的な検討が必要である。超臨界水のプロセスにおいては、金属の腐食に対応した装置設計、析出する可能性のある塩類への対策、処理などが必要である。塩が析出して配管の閉塞を起こす可能性などは重要な検討課題となる。最近この問題に対する研究も進められている。

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染色加工高度化セミナー報告(4) 羊毛繊維の表面構造に関する最近の研究

平安女学院短期大学 伊藤 啓

はじめに

羊毛に代表されるケラチン繊維は、内部本体のコルテックス(cortex)と周辺部のクチクル(cuticle)からなり、前者は高度に親水性であるのに対し、後者、特にその表面はきわめて疎水性である。このことがケラチン繊維の多くの特徴を生み出している。ここではクチクル表面の疎水性の発現機構に関する最近の研究成果を中心に解説し、羊毛の表面特性、物性や加工性との関連についても概説する。
クチクルの構造と細胞膜複合体
エピクチクル上の共有結合性の脂質
羊毛の損傷による結合性脂質の変化および表面特性、物性との関係
損傷羊毛への脂質再結合による脂質、表面特性および物性を回復させる試み

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急変する中国物流の最新動向と今後の見通し

講 師 日新運輸株式会社  管理本部 海外部 河 田 洋 一

1.中国の物流の推移
輸送機関別に、日本と比較した貨物輸送量の推移を示す(表1)。1991~1996年で日本の総貨物輸送量が横ばいであるのに対し、中国は約33%の伸びを示している。輸送機関では鉄道輸送の比率が高い。
○物流の背景
中国の物流の背景には次のような視点があ
る。
・中華人民共和国建国後の30年間
・文化大革命終了後現在迄

2.輸送手段
輸送手段は鉄道輸送が大きなウェイトを占め、道路輸送、水運輸送が次に続く。
3.主要5大港の状況
○上海港  ○天津港 ○大連港 ○青島港 ○広州黄埔港
4.国際複合一貫輸送
○日中間の複合輸送の歴史
○輸送ルート
5.日本の繊維製品輸入の推移
6.中国からの繊維製品輸入業務の仕組み
・流通加工の仕組みと作業工程
・工場設備の事例
・検品・検針工場の業務内容

7.中国物流の今後の課題と動向

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ウール新製品開発の動向と今後の羊毛産業の展開

講 師 IWSノミニー・コンパニー・リミテッド アジア開発センター 顧問 堀 満夫 氏

1.グローバル化の進むテキスタイル・アパレル産業
(1)消費価格低下による海外生産拡大と国内産業の空洞化
〈アパレル産業からテキスタイル産業まで〉
○イタリアの感性(デザイン、色柄、風合、斬新さ)対日本の品質・機能性加工
○韓国・中国ではウール品質(クオリティー)を訴求
(2)中国企業の成長と日系工場のインパクト低下
(3)フィリピン、インドネシア、ベトナム、ミャンマーへの進出
(4)日系企業の行方
2.新製品開発の動向
(1)新製品開発の問題点
日本では主に機能性を中心に実施されている。製品の生産拠点が海外に移転し、開発チャンス、チャレンジが低下している。また今までウール製品、加工技術の開発の中心であったオーストラリアのCSIROあるいは各国の羊毛研究所ではスポンサー付き開発が主になっており、成果が公開されず、折角開発されても業界全体のインパクト(業界、マーケットを動かす)には結びつかない。
(2)製品開発対策
カジュアル化(フォーマルウエアーのシェア-縮小)に伴い、衣料品の価値低下と低価格商品の容認、繊維素材の着用性能重要度の低下などが進行中である。これは衣料文化の低下を意味し、ウール需要減の大きな要素になっている。
近い将来インパクトのある開発が簡単に応用できる見込みはないと思われる現状に対して、過去日本では世界で類を見ない加工技術、製品が開発(新世代ウール)されてきた経緯から、シーズン、マーケットを絞り込み、もう一度これらの開発製品、技術を洗い直し、再開発を行い、新しい戦略、手法を用いてマーケティングすべきである。
ウール製品開発の方向として、
○ジェヌイン・ウールによる本物のウールガーメントの供給
○特殊加工による環境・イージーケアー性(ドイツ・オランダにおいても消費者の節約によりクリーニング需要が低下)の付与
*脱塩素防縮処理
*非クロム染色(日本がトップランナー)
*形状安定・セット加工(日本がトップランナー)
*ストレッチ(基本性能)
国内製のウール織物・製品の需要が今後大きく回復する見込みは小さく、従来のアパレル分野だけではなく、新規マーケット進出が望まれる。
○ウール本来の機能を利用した新分野への挑戦
*吸湿性(断熱材、建築資材)
*疎水性・親水性(レジャー、スポーツ)
*難燃性(幼児、老人衣料)
*抗菌・消臭性(肌着、靴下、医療、福祉)
*生分解性(園芸、農業資材)
*有害物質吸収性(フィルター、シックハウス用インテリア)
*オイル吸着性(オイル吸収マット)
○ウール蛋白を部分的に切断したペプチドから、化粧品、養毛剤あるいは薬剤(腸管吸収性があり、抗アレルギー性に優れ、花粉症状の軽減、血圧降下作用)、そして有用アミノ酸(L‐システイン)などを製造。

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生活者のニーズと百貨店の対応策

講 師 株式会社JR東海高島屋 営業第3部 グループマネージャー 石塚康紀 氏

1.生活者のニーズ
○有史以前の生活では、「生活者のニーズ」とは「生きる為に必要なもの」
○その後の「もの」の発達
○生活者の欲望
2.小売が担う生活者のニーズ
○百貨店の生立ち
○百貨店の役割の変化
3.生活者が百貨店に求めているものは
○館として求められるもの
○ソフトの部分
4.百貨店が生活者に応えるべきことは
○モノを買わなくっても「そこに居るのが楽しくなる」場の提供
(話題性のある場所の創造)
○憧れの〇〇がある
○憧れの生活スタイルがある
○多様化した要望に対応できるサービス
○営業時間での対応(深夜)
5.百貨店のメンズフロアが応えるべきことは
○顧客側から見たMD(購買の根拠)
○今後の百貨店として進むべきMD
○商品から  a .付加価値がある   b .需要の変化に対応できるスピード
○「百貨店では今こんな売れ方ですよ」と言うお話
○生活者は今、こんな買い方をしている
○「百貨店の現場からこんなものを作れば売れるよ」という提案のお話
a .テキスタイルメーカーへの提案  b .アパレルメーカーへの提案

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