FDCアーカイブ - テキスタイル&ファッション Vol.19 (2002)-
ウール新製品開発の動向と今後の羊毛産業の展開
講 師 IWSノミニー・コンパニー・リミテッド アジア開発センター 顧問 堀 満夫 氏
1.グローバル化の進むテキスタイル・アパレル産業
(1)消費価格低下による海外生産拡大と国内産業の空洞化
〈アパレル産業からテキスタイル産業まで〉
○イタリアの感性(デザイン、色柄、風合、斬新さ)対日本の品質・機能性加工 ○韓国・中国ではウール品質(クオリティー)を訴求
(2)中国企業の成長と日系工場のインパクト低下
(3)フィリピン、インドネシア、ベトナム、ミャンマーへの進出
(4)日系企業の行方
2.新製品開発の動向
(1)新製品開発の問題点
日本では主に機能性を中心に実施されている。製品の生産拠点が海外に移転し、開発チャンス、チャレンジが低下している。また今までウール製品、加工技術の開発の中心であったオーストラリアのCSIROあるいは各国の羊毛研究所ではスポンサー付き開発が主になっており、成果が公開されず、折角開発されても業界全体のインパクト(業界、マーケットを動かす)には結びつかない。
(2)製品開発対策
カジュアル化(フォーマルウエアーのシェア−縮小)に伴い、衣料品の価値低下と低価格商品の容認、繊維素材の着用性能重要度の低下などが進行中である。これは衣料文化の低下を意味し、ウール需要減の大きな要素になっている。
近い将来インパクトのある開発が簡単に応用できる見込みはないと思われる現状に対して、過去日本では世界で類を見ない加工技術、製品が開発(新世代ウール)されてきた経緯から、シーズン、マーケットを絞り込み、もう一度これらの開発製品、技術を洗い直し、再開発を行い、新しい戦略、手法を用いてマーケティングすべきである。
ウール製品開発の方向として、
○ジェヌイン・ウールによる本物のウールガーメントの供給
○特殊加工による環境・イージーケアー性(ドイツ・オランダにおいても消費者の節約によりクリーニング需要が低下)の付与
*脱塩素防縮処理
*非クロム染色(日本がトップランナー)
*形状安定・セット加工(日本がトップランナー)
*ストレッチ(基本性能)
国内製のウール織物・製品の需要が今後大きく回復する見込みは小さく、従来のアパレル 分野だけではなく、新規マーケット進出が望まれる。
○ウール本来の機能を利用した新分野への挑戦
*吸湿性(断熱材、建築資材)
*疎水性・親水性(レジャー、スポーツ)
*難燃性(幼児、老人衣料)
*抗菌・消臭性(肌着、靴下、医療、福祉)
*生分解性(園芸、農業資材)
*有害物質吸収性(フィルター、シックハウス用インテリア)
*オイル吸着性(オイル吸収マット)
○ウール蛋白を部分的に切断したペプチドから、化粧品、養毛剤あるいは薬剤(腸管吸収性があり、抗アレルギー性に優れ、花粉症状の軽減、血圧降下作用)、そして有用アミノ酸(L‐システイン)などを製造。
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